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中古住宅の内見のポイントは?持ち物や居住中物件の注意点を解説

気になる中古住宅が見つかったときは、内見で室内や建物、周辺施設などをよく確認することが大切です。

十分に準備することなく内見に臨むと、重要なことを見落としてしまい、中古住宅の購入に失敗してしまうかもしれません。

本記事では、中古住宅の内見時にチェックすべきポイントや持参物、押さえておきたいマナーなどを解説します。

遠鉄の不動産・浜松ブロック長
石岡 靖雅(いしおか やすまさ)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、家族信託コーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

中古住宅の内見とは?内覧との違いも解説

内見は「内部見学」の略称です。
購入を検討している物件を実際に訪れて、室内や建物の状態などを見学することであり、内覧といわれることもあります。

ただし、内覧は、新築戸建住宅や新築マンションが引き渡される前に、室内や建物などを確認するときに用いられることもあります。

内見をする際は、不動産会社に問い合わせて予約をし、担当者に同行してもらうのが一般的です。

中古住宅の購入前に内見をする主な目的は、次のとおりです。

  • 具体的な生活のイメージをつかむ
  • 文字情報だけでは分からない現場の良し悪しを判断する
  • 公開されている情報に不備や齟齬がないか確認する

次に、現地でチェックするべき項目を整理します。

中古住宅の内見で確認すべきポイント

中古住宅の内見で確認すべきポイントは、以下のとおりです。

<チェックリスト>

室内 ・日当たり
・間取り・広さ
・におい
・窓やドアの建付け
・風通し
・眺望
・収納
・水回り
・コンセントの位置や数
・部屋の傾き
・設備の稼働
・遮音性
外観・周辺 ・外壁や基礎などの状態
・生活施設
・近隣の住戸
・交通関係(電車、バス、自家用車)

室内のチェックリスト

日当たり

日当たりが良いと、部屋が明るく感じられるだけでなく、湿気がこもりにくくなるため、カビや結露の発生も抑えやすくなります。
日当たりは、生活の快適性や物件の資産価値に影響するため、内見時によく確認しておきましょう。

間取り図には、基本的に物件の向きも記載されているため、ある程度の日当たりは予測できます。
しかし、周辺の建物や地形、窓の大きさなどによる影響は、実際に確認してみなければ分かりません。

内見の際は「洗濯物に日は当たるのか」「部屋の中に明かりが入るのか」などをよく確認することが大切です。

間取り・広さ

間取り図を見るだけでは、間取りや広さが家族構成やライフスタイルに適しているかどうか判断するのは難しいでしょう。

実際に室内を見てみることで「居間と寝室が離れていた」「間取り図で見るよりも狭く感じた」など、さまざまな発見があるかもしれません。

内見の際には、室内を実際に歩いたり座ったりして、自分自身や家族が理想とする暮らしが実現できるかどうかを考えることが大切です。

におい

周辺の環境や建築資材などによって生じるにおいは、現地に行かなければ分からないポイントの一つです。

内見の際は、可能であれば換気扇やエアコンを付けたり、窓を開けたりして、どのようなにおいがするかを確認しましょう。

窓やドアの建付け

築年数が経過している中古住宅の場合、窓やドアの建付けに問題があり、スムーズに開閉できないことがあります。
また、隙間風が入り冷暖房が効きにくくなるかもしれません。

玄関や室内のドア、収納設備の扉、窓などが、問題なく可動するかどうかも可能な限り確認しておくと安心でしょう。

風通し

風通しも、実際に室内に入ってみなければ分かりません。
風通しが良いと、空気が淀みにくく、湿気やニオイがこもりにくくなります。また、カビや結露の発生を抑えやすくなるでしょう。

内見の際は、窓を開けて室内の空気の流れを確認することをおすすめします。

眺望

高層階にある部屋や高台にある物件であったとしても、眺望が良いとは限りません。
窓やベランダの前に建物があり、眺望があまりよくないケースも想定されます。

内見の際は、窓からの眺めをよく確認することが大切です。

収納

収納が十分にあれば、室内に物が散乱しにくくなります。
また、決まった季節にしか使用しない衣服や家電、日常生活ではあまり使うことのない趣味の道具などを片付けやすくなり、部屋を有効活用できるでしょう。

家族構成やライフスタイルから考えて、十分な収納があるかどうかも内見の際に確認しておくことが重要です。

売主の許可が得られるのであれば、収納を開けて実際の容量や、使い勝手を確認するのも有効です。

水回り

水回りとは、キッチン、トイレ、浴室、洗面所などのことです。

内見の際にはほとんどの場合、実際に水を出してみることができます。
排水の流れが悪いところはないか、水漏れはないか、シャワーの水圧が弱くないか、などを確認しましょう。
可能であれば、配管部分に水垢やカビなどがないか見ることもおすすめします。

コンセントの位置や数

コンセントの位置や数によって、家具の配置や電化製品の使い勝手が変わってきます。
コンセントが少なく延長コードを使わざるを得なくなると、見た目が悪くなるだけでなく、つまずきによる転倒や火災のリスクも高まってしまいかねません。

「自分の生活スタイルに合った位置に設置されているか」「十分な数の差し込み口があるか」は必ず確認し、図面にメモしておきましょう。

部屋の傾き

稀に物件が傾いていることがあります。
水平器やビー玉などを使って、傾きがないか調べましょう。

設備の稼働

インターホンやガス給湯器など、備え付けの器具がきちんと動くかどうかも可能な限り確認しましょう。

器具が適切に作動しない場合、修繕や買い替えに費用がかかる可能性があります。

遮音性

遮音性が低いと、騒音によるストレスが増えてしまいかねません。
また、睡眠の質が低下したり、仕事や勉強に集中できなかったりと、日常生活に支障をきたす恐れがあります。

内見の際は、室内やベランダ、屋上などの音の響き方をチェックしましょう。

外観・周辺のチェックリスト

外壁や基礎などの状態

内見の際は、室内だけでなく建物の外観も確認することが重要です。

戸建て住宅の場合は、外壁や屋根などに色あせや破損、サビ、雨染み、塗装のはがれなどがあると、購入後に多額の修繕費用がかかるかもしれません。

また、地面と建築部分をつなぐ基礎部分の状態もよく確認しておきましょう。
床下部分や小屋根についても、目で見える範囲で汚れやサビ、カビなどがないか確認するのが望ましいです。

マンションの場合は、外壁や廊下、エントランスなどの共用部分を確認します。
共用部分の汚れや破損などが目立つ場合、適切に管理されていない可能性があります。

生活施設

スーパーやコンビニ、病院、公園など、日常的に利用することになる施設へのアクセスも、内見時に確認しましょう。

地図上では距離が近く感じられたとしても、信号や踏切があることで到着まで時間がかかるかもしれません。
また、高低差があることで行き来に苦労する可能性も考えられます。

内見の際は、物件の周辺を歩いたり車や自転車などで走行したりして、周辺施設へのアクセスを確認してみるとよいでしょう。
子育て世帯の場合、幼稚園や保育園、小中学校などのルートを確認しておくこともおすすめします。

近隣の住戸

戸建て住宅を検討している場合は、近隣の住戸を見て回るのも有効です。

「小さな子どもがいる」「犬を飼っている」など、現地に出向かなければ分からない発見があるかもしれません。
また、周辺の道路や施設の人通りの多さもチェックしておくとよいでしょう。

交通関係(電車、バス、自家用車)

最寄り駅やバス停との距離や到着までにかかる時間が、不動産会社の作成した広告と相違がないかも、内見時に確認しておくことをおすすめします。

実際に自分自身の足で確かめてみると、広告に記載されている時間よりも短い時間で最寄り駅やバス停に着くかもしれません。
反対に、広告より到着に時間がかかる可能性も考えられます。

自家用車を持っているのであれば、駐車スペースの広さも確認しておきましょう。
例えば「2台分の駐車が可能」と広告に記載されていたとしても、車幅が広い車は1台しか駐車できないこともあります。

中古住宅を内覧する際の持ち物

効率的に内見・内覧を行うためには、次のものを必ず持参しましょう。

スマートフォン(カメラ・懐中電灯)

内見の時間を有効活用するためには、室内や外観などを撮影できるカメラと、暗い場所を明るく照らせる懐中電灯が必須です。

近年のスマートフォンには、高性能なカメラと必要十分な明るさのライトが搭載されています。内見の際には、途中で電池切れとならないよう、十分に充電したスマートフォンを持参しましょう。

物件の図面

不動産会社から事前に共有してもらった物件の図面を持参するのがおすすめです。

図面を持参していれば、実物と異なる部分を見比べやすくなります。
また、コンセントの位置や気になるポイントなどを直接書き込むことも可能です。

メジャー

メジャーがあれば、室内の細かい寸法を測ることができます。

家具や家電などが、想定している位置に収まるのか、カーテンの長さはどのくらいか、などを確認するときに役立つでしょう。
5〜10mほど測れるメジャーであれば問題ありません。

筆記用具

ボールペンや鉛筆などの筆記用具があれば、内見で気がついた点や室内の寸法などを図面にメモしやすくなります。

スリッパ

内見の際は、訪問する家族や親族の人数分のスリッパを準備しましょう。

スリッパがないと、床に落ちているゴミが靴下や足裏に付着してしまうかもしれません。
また売主によっては、見ず知らずの他人に靴下や素足で自宅に上がられることを、快く思わないことがあります。

不動産会社や売主がスリッパを用意してくれることもありますが、もしなかったときのために、自分自身でもスリッパを準備しておくと安心です。

中古住宅の内見は不動産会社が同行する?

中古住宅の内見を行う際、不動産会社の担当者が同行するのが一般的です。

不動産会社の担当者が同行することで、間取りや設備、周辺環境などを実際に見ながら詳しく説明してもらえるでしょう。
また、物件の気になる点や不明点があれば、その場で担当者に質問することも可能です。

質問をすると不明点がすぐに解消されやすくなるだけでなく、回答の内容をもとに担当者の良し悪しを判断しやすくなります。
リフォームや修繕の必要な箇所や、住む上での注意点なども現地でアドバイスしてもらえることもあります。

中古住宅は居住中でも内見できる?

住み替えをする人の多くが、住んでいる家を先に売却する「売り先行」を選びます。
そのため、売主が住んだまま販売されている居住中物件も少なくありません。

売主が居住中の物件でも、内見はできますが、いくつかの注意点があります。
内見時に、売主に聞いた方がよいこととあわせてご紹介します

居住中の内見の注意点

売主が居住中である場合、内見の日時は売主の都合に合わせることをおすすめします。

売主は販売中の物件で日常生活を送っています。
プライバシーに配慮し、売主の都合が良い時間に内見を実施することで、売主との信頼関係が損なわれにくくなるでしょう。

また、売主の私物に触れたり、許可なく写真を撮ったりしないようにすることも重要です。
幼い子どもを内見に同行させる場合は、売主の所有物を勝手に触らないよう充分に注意しましょう。

長時間にわたって内見をしてしまうと、売主の生活に支障が出てしまうこともあります。
そのため、居住中物件の内見は、必要最小限の時間に留めるのがベターです。

売主に聞くべきポイント

居住中の物件を内見する場合、売主が立ち会うケースが多いです。
内見に売主が立ち会っているのであれば、売主に以下のような質問をしてみるとよいでしょう。

  • 物件の住み心地:日当たりや騒音、室温など実際に住まなければ分からない物件の情報
  • 生活の利便性:スーパーやコンビニ、ドラッグストアの営業時間・病院の位置や評判など
  • 実際の交通事情:周辺の道路が混む時間帯・最寄り駅から乗車できる電車の混雑状況など

検討している物件がマンションであれば、上記に加えて日ごろの清掃やメンテナンスの状況、上下左右に住んでいる住民について聞くのもよいでしょう。

戸建て住宅を検討している場合は、近隣に住んでいる住民や町内会などに聞いてみるのも良い方法です。

ただし、売主のプライバシーに関わる質問は控えましょう。
また売買価格については、売主と直接交渉するのではなく、不動産会社にあいだに入ってもらうのが一般的です。

売主と直接会話をすることで、物件に関する詳細な情報を得られますが、質問内容によっては売主の心象を悪くしてしまいかねません。
事前に不動産会社とも相談し、売主に質問する内容を決めておくのも1つの方法です。

中古住宅を内見する際のマナー

中古住宅を内見する際には、売主の心象を悪くしないためにも、マナーを守ることが大切です。

まず、内見に売主が立ち会う場合、約束の時間は必ず守りましょう。
遅刻や突然のキャンセルをすると、売主に迷惑がかかってしまいかねません。

内見を始める際は、必ず売主に挨拶をします。

「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」といった、一言添えるだけでも、売主の印象が良くなる可能性があります。

また、内見中は、売主や仲介業者の案内にしたがいましょう。
室内や建物を勝手に見て回ったり写真を撮影したりすることは、失礼にあたります。

物件や設備の欠点を見つけたとしても、売主の前では口にしない方が良いでしょう。
内見が終わったあと、不動産会社の担当者にのみ伝えることをおすすめします。

中古住宅購入前の「インスペクション」とは?

インスペクションとは、設計や施工の専門家であるインスペクターが、建物の状態を調査・診断・評価するサービスのことです。

インスペクションを実施するメリットと費用相場

インスペクションを実施すると、外壁や屋根、床下、配管などのあらゆる箇所が隅々までチェックされるため、住宅の状況をより詳しく把握できます。

雨漏りやシロアリ被害といった素人では見落としてしまうような欠陥も、プロの目で詳細に調べてもらえます。

そのため、購入した住宅が引き渡されたあとに、新たな欠陥が発覚して売主とトラブルになる事態を防ぎやすくなるでしょう。

目視のみの簡易的な検査であれば、インスペクションの費用は5万〜6万円ほどですが、大がかりな調査になると10万円以上かかることもあります。

不動産会社にはインスペクションの告知義務がある

2018年(平成30年)4月からは、宅地建物取引業法の改正により、不動産会社にインスペクションの告知が義務化されました。

このため、売主は売却活動を始める際に、不動産会社からインスペクションの内容と業者の斡旋可否についての説明を受けます。

売買契約を結ぶ前にインスペクションが実施されていた場合、重要事項説明(取引の当事者に契約において重要な事項を説明すること)のときに、不動産会社はその結果を買主に説明しなければなりません。

また、売買契約を締結する際、建物の状況を売主と買主の双方が確認するとともに、確認した内容が書面で交付されます。

買主がインスペクションを実施するタイミング

インスペクションは、買主が行うこともできます。
その場合、中古住宅の購入の申込みをしてから、売買契約を結ぶまでにインスペクションを実施するのが望ましいです。

売買契約前であれば、インスペクションの実施により建物に重大な欠陥が見つかったときにキャンセルがしやすいためです。

中古住宅を購入する際は、契約を結ぶ前に売主や不動産会社にインスペクションを実施してもらえないか交渉してみるとよいでしょう。

【まとめ】中古住宅の内見はポイントを押さえることが重要

中古住宅を内見する際は、日当たりや間取り、広さ、におい、風通しなどをよく確認しましょう。

また、外壁や基礎の状態、周辺施設へのアクセスなども確認することで、中古住宅を買うべきか判断しやすくなります。
限られた時間で効率的に物件をチェックするためには、スマートフォンや図面、メジャーなどの持ち物を準備することも大切です。

住宅の内見には、不動産会社の担当者が同行することが一般的です。
担当者の説明をよく聞き、疑問点があればその場で質問してみると良いでしょう。

(執筆者:品木 彰)

 

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