‌ ‌ ‌ ‌

【年収別・早見表付き】住宅ローン控除の金額をシミュレーション!控除を受けるための年収制限は?

住宅ローンを組んで家を購入するときは、要件を満たせば「住宅ローン控除」が受けられます。
しかし住宅ローン控除は内容が複雑なうえに、制度内容が変更されることもあるため「住宅ローン控除の額はいくら?」「年収制限はあるの?」とお悩みの方も多いでしょう。

そこでこの記事では、年収・借入額別にシミュレーションした「住宅ローン控除の金額早見表」をご紹介します。住宅ローン控除の制度を利用するための要件についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)


宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級

【年収・借入金額別シミュレーション】住宅ローン控除額早見表

住宅ローン控除 年収

住宅ローン控除額は、年収やローンの借入金額によって変わります。
そこで、次の条件において「年収・借入金額別の住宅ローン控除額」をシミュレーションし、早見表を作成しました。

【世帯構成】

  • 夫:会社員
  • 妻:配偶者控除対象
  • 子ども:なし

【住宅購入情報】

  • 住宅の種類:認定長期優良住宅(新築)
  • 入居開始月:2022年12月

【住宅ローンの借入条件】

  • 返済期間:35年(元利均等返済)
  • 金利:1.65%(全期間固定金利)

以上の条件で、住宅ローン控除の最大控除額を試算すると、以下のとおりとなりました。

住宅ローン控除額早見表

住宅ローンの借入額
年収  

3,000万円

 

3,500万円

 

4,000万円

 

4,500万円

年収400万円 約222万円 約235万円 約237万円 約237万円
年収500万円 約229万円 約267万円 約292万円 約304万円
年収600万円 約229万円 約267万円 約305万円 約343万円
年収700万円 約229万円 約267万円 約305万円 約344万円
年収800万円 約229万円 約267万円 約305万円 約344万円

(単位:千円以下四捨五入)

※住宅ローン控除額は「1~13年間の総額」です。
※年収や勤続年数、その他の借入状況などによっては、希望する金額を借り入れできない可能性があります。

上記のシミュレーションを見ると、借入額や返済条件が同じにも関わらず年収によって控除額に差があることがわかります。
これは住宅ローン控除が、所得税より直接控除される仕組みだからです。

年収が高ければ所得税の額も多くなり、その分控除できる金額が増えます。
一方、年収が低ければ所得税の額も少なくなるため、控除額が所得税額を上回るケースもでてきます。
所得税で控除しきれなかった分は翌年の住民税より控除可能ですが、上限額が最大97,500円と決められています。
そのため、控除額のすべてを控除できないこともあるのです。

そもそも住宅ローン控除とは

住宅ローン控除 年収

取得したマイホームに2022年1月以降に住む場合、年末の「住宅ローン残高」の0.7%が所得税から直接控除される仕組みです
所得税から控除しきれなかった額については、一定額を上限として翌年の住民税より控除が可能です。

2021年12月31日以前は、年末時点の住宅ローン残高の1%を控除する制度でしたが、2022年の税制改正で0.7%へと変更されました。

控除期間

改正後の住宅ローン控除では、控除期間が以下のとおりとなっています。

  • 新築住宅・買取再販の中古住宅(要件を満たすもの):13年
  • 中古住宅(既存住宅):10年

新築住宅または宅地建物取引業者が買い取って一定の増改築等が行われ、再販した中古住宅を購入すると、控除期間は原則として13年となります。
一方で売主が個人である中古住宅を購入したときの控除期間は、最長10年です。

【改正前の情報】
改正前の住宅ローン控除は、控除期間が原則10年でした。
さらに、消費税が10%に増税されたことを機に実施された特例措置を適用することで、控除期間は13年へと延長されました。

控除額

改正後の住宅ローン控除では、所得税から控除する金額を「年末時点の借入残高×0.7%」で計算します。
所得税から引き切れなかった金額は住民税から控除されますが「所得税の課税所得の5%」または「97,500円」のどちらか大きい金額が上限です。

【改正前の情報】
改正前の住宅ローン控除では、控除額は「年末時点の借入残高×1%」で計算されていました。
特例措置を適用した場合、控除額の算出方法は、次のとおりです。

  • 1〜10年目:「年末時点における住宅ローン残高の1%」
  • 11〜13年目:「年末時点における住宅ローン残高の1%」または「建物購入価格の2%÷3」のいずれか少ない金額

また住民税から控除できる金額の上限は「所得税の課税所得の7%」または「136,500円」のどちらか大きいほうとなっていました。

借入限度額

住宅ローン控除には、控除額を計算する際の借入額に上限が設けられています。
改正後の住宅ローン控除の借入限度額は、以下のとおりです。

〇新築住宅・買取再販の借入限度額

2022〜2023年に入居 2024〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他の住宅 3,000万円 0円

※2023年までに新築の建築確認がされていた場合は2,000万円

〇既存住宅の借入限度額

2022〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅

ZEH水準省エネ住宅

省エネ基準適合住宅

3,000万円
その他の住宅 2,000万円

上記の金額をもとに、年間控除額の上限を計算すると以下のとおりとなります。

〇新築住宅・買取再販の控除額の年間上限額(借入限度額×控除率)

2022〜2023年に入居 2024〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円×0.7%=35.0万円 4,500万円×0.7%=31.5万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円×0.7%=31.5万円 3,500万円×0.7%=24.5万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円×0.7%=28.0万円 3,000万円×0.7%=21.0万円
その他の住宅 3,000万円×0.7%=21.0万円 2,000万円×0.7%=14.0万円※

※2023年までに新築の建築確認がされていた場合のみ

〇既存住宅の控除額の年間上限額(借入限度額×控除率)

2022〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅

ZEH水準省エネ住宅

省エネ基準適合住宅

3,000万円×0.7%=21万円
その他の住宅 2,000万円×0.7%=14万円
【改正前の情報】
改正前の年間最大控除額の上限は40万円であり、低炭素住宅や長期優良住宅などの「認定住宅」取得時は50万円でした。

住宅ローン控除の条件についての詳しい内容は、以下の記事をご覧ください。

関連記事

住宅ローンを組んでマイホームを購入しても、住宅ローン控除を受けられるとは限りません。 住宅を購入した人や住宅ローンの借入条件、建物の床面積など、住宅ローン控除にはさまざまな適用要件が設けられているためです。 また2022年の[…]

住宅ローン控除 条件
関連記事

住宅ローン控除は、令和4年(2022年)の税制改正で利用できる期限が延長されました。 住宅ローン控除とは、消費税増税にともなう税負担を軽減する制度です。 所得税からの控除が受けられるため、マイホーム購入者にとってメリットの大きな[…]

住宅ローン控除 いつまで

住宅ローン控除を受けるための年収制限は?

住宅ローン控除 年収

住宅ローン控除が受けられるかどうかは、年収ではなく「合計所得金額」で判断されます。
合計所得金額とは、給与所得や不動産所得、事業所得、配当所得など1年間の所得を合計した金額です。

所得とは、収入から経費を差し引いた金額を指します。
給与所得や不動産所得、事業所得の計算方法は、以下のとおりです。

  • 給与所得:年収−給与所得控除
  • 不動産所得:年間の家賃収入−必要経費
  • 事業所得:年間の売上−必要経費

給与所得控除の金額は、給与や賞与の合計金額に応じて決まります。
給与所得を計算するときは、必要経費ではなく給与所得控除を差し引きます。

住宅ローン控除を受けるためには、控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下でなければなりません。
新築住宅または買取再販住宅を取得する場合、住居部分の床面積が40㎡以上50㎡未満であると、控除を受ける年の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件となります。

合計所得金額が2,000万円を超えた年以降は?

住宅ローン控除適用中に合計所得金額が2,000万円を超過した年は、控除の対象外となります。
しかし、翌年以降に合計所得金額が2,000万円以下となった年については、再び住宅ローン控除の対象となります。

詳しくは、国税庁の「合計所得金額2,000万円の判定」を参照してください。

令和3年度の税制改正による控除期間13年延長分の年収制限

住宅ローン控除については、コロナウイルス蔓延による入居遅れを考慮して、所定の条件を満たした場合に限り、「控除期間13年の措置の延長」が認められます。
また今回の特例措置では、所得制限を設けたうえで「床面積」についても緩和要件が追加されています。

通常は床面積50㎡以上が控除対象のところ、控除期間13年の措置の延長分についてのみ「床面積40㎡以上」から控除が受けられます。
ただし、床面積40㎡以上50㎡未満の控除対象者は「合計所得金額が1,000万円以下」の人です。

住宅ローン控除を受けられる条件

住宅ローン控除 年収

ここでは、住宅ローン控除を受けるための条件について解説します。

住宅ローンに関する条件

住宅ローン控除を受けるためには、対象となる住宅のローンが10年以上あることが条件です。
住宅ローンは、銀行などの金融機関のほか勤務先からの融資(利子に条件あり)も対象となりますが、親族や知人から借りた金銭は対象外です。

住宅に関する条件

住宅ローン控除を受けるための、住宅に関する主な条件は次のとおりです。

  • 住宅を新築した日または購入した日から6か月以内に居住している
  • 住宅ローン控除の適用を受ける年の12月31日まで引き続き居住している
  • 登記簿に記載の床面積が50㎡以上かつ、床面積の半分以上が居住用である など

※出典:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

上記は、新築住宅に関する適用条件の一部です。
居住する家が「新築・中古・リフォーム」などにより、それぞれ条件が異なる項目があります。
住宅ローン控除の条件についての詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事

住宅ローンを組んでマイホームを購入しても、住宅ローン控除を受けられるとは限りません。 住宅を購入した人や住宅ローンの借入条件、建物の床面積など、住宅ローン控除にはさまざまな適用要件が設けられているためです。 また2022年の[…]

住宅ローン控除 条件

住宅ローン控除を受けるためには

住宅ローン控除 年収

住宅ローン控除を受けるためには「確定申告」と「年末調整」の2つの方法があります。

1年目は確定申告を忘れずに!

住宅ローン控除を受ける最初の年は、事業所得者・給与所得者を問わず確定申告をしなければなりません。

会社員や公務員などの給与所得者の場合、通常は勤務先が年末調整にて税金の清算を行い、代わりに納めてくれるため、確定申告は不要です。

しかし住宅ローン控除を受けるにあたっては、給与所得者であっても初年度は確定申告が必要です。

住宅ローン控除の確定申告についての詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事

「住宅ローン控除はどのように申請すればよいのだろうか」 住宅ローンを組んでマイホームを購入した方は、一定の条件を満たすと、住宅ローン控除を適用できます。 住宅ローン控除を受けるためには、必要書類をそろえて確定申告をしなければ[…]

住宅ローン控除 確定申告

2年目以降は確定申告または年末調整

事業所得者など所得税を確定申告する人は、2年目以降についても、住宅ローン控除も併せて確定申告しましょう。

一方給与所得者の場合は、2年目以降の確定申告は不要です。
住宅ローン控除を受けるための必要書類を勤務先に提出すれば、会社が年末調整にて清算してくれます。

住宅ローン控除の年末調整についての詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事

住宅ローンの返済中は、借入額に応じた所得税の税額控除を受けられます。 この手続きは1年目と2年目では内容が異なるため、注意が必要です。 今回は、住宅ローン控除の2年目の手続き方法や必要書類などを解説します。 […]

住住宅ローン控除 年末調整

まとめ

2022年1月以降にマイホームに居住する場合、住宅ローン控除を受けるためには「控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下」であることが条件の1つです。
年収ではなく、1年間の合計所得金額で住宅ローン控除を受けられるかどうかが決まります。

また取得する新築住宅または買取再販住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満であると、控除を受ける年の合計所得金額が1,000万円以下でなければ住宅ローン控除は受けられません。

他にも、住宅ローン控除を受けるために満たすべき要件はあります。
住宅ローン控除を受ける際は、最寄りの税務署や不動産会社などに相談し、借り入れをする人や取得する住宅が要件に該当するのかを確認しましょう。

(執筆者:茶谷利津子)

▼不動産購入をご検討の方 詳しくはこちら▼

売りたい人も買いたい人も
▼遠鉄の不動産へお問合せください▼