中古マンションを購入する際は、価格相場を調べることが大切です。
価格相場を調べると、検討している物件の販売価格が妥当かどうか判断しやすくなります。
それでは中古マンション価格の相場は、どのように調べればよいのでしょうか?
本記事では、中古マンション価格相場の調べ方や価格推移などをわかりやすく解説します。
遠鉄の不動産・浜松北ブロック長 恒吉 俊哉(つねよし しゅんや)
宅地建物取引士
【2022年最新】中古マンション価格相場の推移
まずは中古マンションの価格がどのように推移しているのかみていきましょう。
中古マンション価格は上昇傾向
東京カンテイの調査によると、首都圏における中古マンションの平均価格は、以下のとおり2013年から右肩上がりを続けています。
※出典:東京カンテイ「マンションデータ白書 2020」
特に2020年は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響があったにもかかわらず、中古マンションの平均価格は前年より上昇しました。
また東日本不動産流通機構によると、2021年10月における首都圏の中古マンション価格は平均で3,897万円(前年同月比+3.8%)であり、2020年6月から18ヶ月連続で前年同月を上回っています。
中古マンションの成約㎡単価は、60.92万円/㎡(前年同月比+3.8%)となっており、2020年5月から19ヶ月連続で上昇しています。
※出典:東日本不動産流通機構「月例速報 MarketWatchサマリーレポート 2021年11月度」
中古マンション価格が上昇する背景
中古マンション価格が上昇し続けているのは、以下の3点が重なって需要が増えたためと考えられます。
- 新築マンション価格の高騰
- 低金利の住宅ローン
- 住宅ローン控除の特例措置
首都圏における2020年の新築マンション価格は平均で6,055万円であり、2010年と比較して約1,690万円も上昇しました。
※出典:東京カンテイ「マンションデータ白書 2020」
住宅ローンの金利は、2021年12月現在も歴史的な低金利が続いています。
特に返済期間中に金利が変動する「変動金利」は、おおむね0.4%台であり、金融機関によっては0.3%で提供している状況です。
また2019年10月には、住宅ローンを組んだ人の税負担を優遇する「住宅ローン控除」の特例措置が実施されました。
所定の要件を満たすと、特例措置により控除を受けられる期間が10年から13年に延長されて節税効果を高められます。
新築マンション価格の高騰に加え、低金利の住宅ローンと節税効果が高まった住宅ローン控除が後押しとなり、中古マンションを選ぶ人が増えたと考えられます。
中古マンションの値下がりを待つべき?
中古マンション価格の上昇がいつまでも続くとは限らないため、 待っていれば価格が下がる可能性はあります。
しかし将来的に、中古マンション価格が値下がりしている保証はなく、むしろ上昇する可能性もあります。
また中古マンションは基本的に一点ものであるため、欲しいと思っていた物件が売れてしまうと、似たような条件の物件に二度と巡り会えないかもしれません。
貯蓄の状況や今後のライフプランなどを踏まえて考慮した結果、購入しても問題なさそうなのであれば、中古マンションの値下がりを待つ必要はないでしょう。
中古マンション価格の決まり方
中古マンションの販売価格は、売主と不動産会社が相談して決めるのが一般的です。
新築マンションのように、定価があるわけではありません。
一方で売主が中古マンションの販売価格を決めるときには、周辺の価格相場を参考にするケースがほとんどです。
マンションの市場価値は、おもに立地や築年数、部屋の広さで決まるといわれています。
内装や設備のグレードも多少は影響するものの、立地や築年数ほどは影響しません。
中古マンションは、購入後にリフォームされるケースが少なくないためです。
中古マンション相場の調べ方
中古マンション価格の相場を知りたいのであれば、販売価格だけでなく成約価格を調べることが大切です。
成約価格とは、実際に買主がマンションを購入した金額です。
中古マンションの取引においては、売主と買主のあいだで価格交渉が行われることで、成約価格が販売価格よりも下がるケースが少なくありません。
また中古マンションの成約価格に加えて、成約した当時と現在の市況を比較することでさらに相場を把握しやすくなります。
ここでは中古マンションの販売価格や成約価格、市況を調べる方法について解説します。
不動産ポータルサイト・チラシ
中古マンションの販売価格は、SUUMOやat Homeなどの不動産ポータルサイトで検索して調べられます。
エリアや築年数、部屋の広さを指定したうえで検索すると、短時間で販売価格を比較できるでしょう。
またポストに投函されたマンションのチラシを見るのもおすすめの方法です。
チラシには、不動産ポータルサイトに掲載されていない物件情報が載っていることもあるため、複数の媒体を活用して情報収集すると良いでしょう。
レインズマーケットインフォメーション
レインズマーケットインフォメーションは、不動産流通機構が運営する不動産取引情報サイトです。
建物の種類をマンションに指定し、都道府県やエリアを選択することで相場を調べられます。
そもそもレインズとは、不動産会社が閲覧できる不動産情報の取引サイトです。
レインズには、物件の売却情報だけでなく顧客情報なども掲載されています。
レインズマーケットインフォメーションは、レインズに登録された個人情報が閲覧できないように加工されたうえで、不動産の取引情報が一般向けに公開されています。
土地総合情報システム
国土交通省が提供する「土地総合情報システム」では、不動産の取引価格や都道府県地価調査の価格を検索できます。
土地総合情報システムにある「不動産取引価格情報検索」を選択すると、時期やエリアなどを指定して、中古マンションの取引価格を確認できます。
また専有面積の広さや駅からの距離など、任意の条件で検索結果を並び替えできるのも、土地総合情報システムの便利な点です。
東京カンテイ 市況レポート
東京カンテイは、全国にあるマンションの価格情報や図面などを配信するインターネットサイトであり、市況を調べるのに役立ちます。
例えば「価格天気図」では、中古マンション価格が上昇傾向にあるエリアは晴れマーク、下落傾向にあるエリアは雨マークで表示されており、市況を直感的に把握しやすいです。
他にも「70㎡換算価格推移」や「沿線別・駅別価格」などさまざまな視点で、中古マンション価格を調べられます。
公益財団法人不動産流通推進センター
不動産流通推進センターのホームページでは、レインズのデータを分析した結果がまとめられています。
またエリアごとのマンション価格の推移が、グラフで分かりやすくまとめられており、購入を検討しているエリアの市況を確認しやすいです。
相場より安い中古マンションは購入しても大丈夫?
物件探しを進めていると、相場よりも安いマンションを目にすることがあります。
少しでも安くマンションを買いたいと思う一方で「価格が安いのは、何か特別な理由があるのではないか」と不安に思われるかもしれません。
しかし販売価格が相場よりも安いからといって、必ずしもリスクが高いとは限りません。
例えば売主がすでに新居を購入しており、急いで売却したいと考えている場合は販売価格を相場よりも安くすることがあります。
また「売り出し価格の設定を誤った」などの理由で半年以上売れ残っている物件も、値下げを続けたことで相場を下回ってしまうことがあります。
一方で「歓楽街や線路が近い」「治安が悪いエリアにある」「事故物件」などの理由で価格が安くなるケースがあるのも事実です。
後悔しないためには、マンションの販売価格が相場よりも安いか調べ、理由を理解したうえで購入することが大切です。
【まとめ】中古マンションの購入時は相場の把握が不可欠
中古マンションの平均価格は、2013年から2021年現在まで上昇を続けています。
ただし中古マンション価格が、今後どのように推移するのか、確かなことは誰にもわかりません。
価格相場だけでなく、ご自身の貯蓄や今後のライフプランなども踏まえて購入するタイミングを決めることが大切です。
中古マンションの相場を把握するためには、過去の成約価格や現在の販売価格、市況などさまざまな情報を確認すると良いでしょう。
(執筆者:品木 彰)