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中古マンション選びは築年数が重要?買い時や建物の寿命をわかりやすく解説

築年数が同じであっても、マンションの価格や寿命が同じとは限りません。
中古マンションを選ぶときは、築年数だけでなく、管理の状況や地震に耐えられる強度など、さまざまな点を比較することが大切です。

本記事では、中古マンションの築年数と価格の関係や、築古マンションの選び方などをわかりやすく解説します。

遠鉄の不動産・浜松北ブロック長 恒吉 俊哉(つねよし しゅんや)


宅地建物取引士

中古マンションの価格は築年数と比例する

中古マンション 築年数

中古マンションは、経年劣化によって建物や設備の価値が年々下がっていくため、築年数の経過に伴って価格が安くなっていくのが一般的です。

一方で築年数が経過すればするほど、価格が下がり続けるわけではありません。
中古マンションの需要が高まれば、価格が上昇することもあります。

築20年を過ぎると価格は横ばいに

中古マンション価格は、築20年を過ぎたあたりからほぼ横ばいになります。

中古マンション 築年数

※出典:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)

ただしすべての中古マンションが、築20年で価格が横ばいになるわけではありません。
例えば人気のエリアにあるマンションは、築20年を過ぎていなくても価格は下がりにくいでしょう。

反対に需要が見込めないエリアの中古マンションは、築浅であっても価格が急激に下がることがあります。

中古マンションの平均価格は上昇中

首都圏でいえば中古マンションの平均価格は、年々上昇しています。
東京カンテイの調査によると、首都圏の中古マンション価格は2013年から上昇を続けています。

中古マンション 築年数

※出典:東京カンテイ「マンションデータ白書 2020

価格が上昇しているのは「新築マンションの価格高騰」や「歴史的な低金利の住宅ローン」など、さまざまな要因で中古マンションの人気が高まっているためです。

以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

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中古マンション 価格 推移

築年数から考える中古マンションの買い時

中古マンション 築年数

築年数が20年以上である中古マンションは、価格が下がりきったと考えられるのであれば買い時といえるでしょう。

一方で、必ずしも築20年で価格が下がりきるわけではありません。
また検討していた中古マンションが売れてしまうと、立地や間取りなどの条件が似た物件が、なかなか市場に出回らない可能性があります。

築年数は、あくまで中古マンションを購入するときの判断基準のひとつです。
立地や間取り、今後の開発状況など、さまざまな要素を考慮して中古マンションを選ぶことが大切です。

中古マンション購入で多い築年数平均

中古マンション 築年数

東日本不動産流通機構の調査によると、2022年1月から12月のあいだで成約した中古マンションの平均築年数は23.33年でした。

同調査によると、2021年における成約物件の平均築年数は22.67年であるため、前年よりも0.66年古くなっています。

また過去10年の推移をみると、成約物件の平均築年数は年々古くなっています。
このことから、築古の中古マンション物件の成約が増えてきているといえるでしょう。

東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」

※出典:東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)

中古マンションの築年数の限界は?

中古マンション 築年数

財務省によると、マンションを含む鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数は、47年とされています。

仮にマンションの寿命が耐用年数と同じ47年である場合、築20年のマンションを購入すると27年しか住めなくなってしまいます。
しかし、実際のマンションの寿命は47年ではありません。

耐用年数とは、減価償却の際に使用される数字であり、建物の寿命そのものを表す数字ではないのです。

マンションは、管理やメンテナンスがきちんと実施されていれば、100年はもつといわれています。
2013年に国土交通省が発表した資料には「鉄筋コンクリート造の建物の物理的寿命は117年と推定する」と記載されています。
※出典:国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会 報告書取りまとめ後の取組紹介

そのため、長持ちしそうな中古マンションを選ぶことで、購入後も長年にわたって住み続けられる可能性が高まるでしょう。

「限界マンション」とは?

中古マンション 築年数

限界マンションとは「物件の維持管理が限界を迎えた中古マンション」のことです

マンションの建物や設備は、時間の経過とともに経年劣化が進んでいきます。
適切に管理されていなければ、外壁や廊下などのひび割れや塗装の剥げが放置されたままになります。

経年による劣化が放置されると、住みにくさを感じた住人が次々と引っ越していき、空室の割合が増えていくでしょう。

入居者の数が減っていくと、管理費や修繕積立金を思うように集められず、マンションの管理がますますできなくなっていき、やがて限界マンションとなります。

購入した中古マンションが将来的に限界マンションになってしまうと、処分をしようにも売却したり賃貸に出したりするのが困難となります。

中古マンションを選ぶときは、管理状況がよく長期にわたって快適に住むことができる物件を探すことが大切です。

長持ちする中古マンションを見極めるポイント

中古マンション 築年数

それでは、どのようなマンションが長持ちするのでしょうか?
ここでは、長持ちするマンションを見極めるときに知っておきたいポイントを解説します。

耐震基準

耐震基準は、一定規模の地震が発生しても倒壊や損壊しない住宅が建築されるように定められている基準です。

1981年6月1日より前に建築確認申請が受理された建物には「旧耐震基準」が、1981年6月1日以降に申請が受理された建物には「新耐震基準」が適用されています。

旧耐震基準が適用された建物は震度5程度の地震まで、新耐震基準は震度7強でも耐えられるように建てられています。

より長持ちする可能性があるのは、新耐震基準で建てられたマンションでしょう。
一方で旧耐震基準が適用されたマンションでも、新耐震基準を上回る強度を有していることもあります。

長く住み続けたいのであれば、マンションの耐震基準や耐震性能を入念に確認して選びましょう。

管理・メンテンナンス

管理やメンテナンスの状況も、マンションの寿命に影響します。

マンションでは長期修繕計画が立てられており、それに沿って一定の周期で大規模修繕が行われるのが一般的です。

大規模修繕の費用は、マンションの住民から支払われる修繕積立金で大半が賄われます。
修繕費用が計画通りに積み立てられておらず、大規模修繕が実施されていないと、マンションの寿命は短くなってしまうでしょう。

中古マンションを検討するときは、長期修繕計画や修繕積立金の積立状況、修繕履歴などを確認することが大切です。

空室状況

マンションを適切に維持・管理していくためには、入居者から管理費や修繕積立金を適切に集めなければなりません。

空室が多いマンションは、管理費や修繕積立金を計画通りに集めることができず、建物や設備の修繕・メンテナンスが適切に実施されない可能性があります。

そのため中古マンションを選ぶときは、空室率を確認することが重要です。
空室の割合が低い中古マンションであれば、建物や設備の修繕・メンテナンスが適切に行われて、資産価値が下がりにくくなるでしょう。

また「人気のエリアにある」「将来的に人口が増加する見込みがある」などにあてはまるマンションは、将来的に空室率が下がりにくい傾向にあります。

配管・給水設備

建物が100年持ったとしても、配管や給水設備がメンテナンスできなければ寿命は短くなる可能性があります。

例えばマンションによっては、配管が下の階の天井裏を通っていることがあります。
配管の交換やメンテナンスをするときは、基本的に下の階の住人に協力してもらう必要があるため、実施が困難なケースは少なくありません。

また床のコンクリートに配管が埋め込まれているマンションも、メンテナンスは困難です。
配管をメンテナンスしたり取り替えたりするためには、大規模な工事が必要になるためです。

マンションが建てられた年代によって、配管の施工方法は異なります。
中古マンションを選ぶときは、不動産会社の担当者に配管の施工方法やメンテナンスの状況を確認すると良いでしょう。

築年数が経過した中古マンションを購入するメリット

中古マンション 築年数

築年数が経過した中古マンションには、新築マンションや築浅のマンションにはない多くのメリットがあります。

ここでは、築古の中古マンションのメリットを、1つずつ解説します。

資産価値と購入価格のバランス

「最寄り駅から近い」「人口が増える可能性があるエリアに建てられている」「設備のグレードが高い」など、高い資産価値があると考えられる新築マンションは購入価格が高くなりがちです。

将来の資産価値を重視して新築マンションを購入しようとすると、予算をオーバーしてしまうかもしれません。

その点、中古マンションであれば、資産価値が高い物件でも手ごろな金額で購入することが可能です。

築古の中古マンションを候補に含めることで、立地や設備などの条件が希望に合っている物件を予算内で入手しやすくなるでしょう。

管理状況が把握しやすい

新築マンションの多くは、売買契約を結ぶ時点で物件が建てられていないケースもあるため、基本的に管理状況を見て購入を判断するのは困難です。

中古マンションであれば、購入する前に外壁や廊下などの状態を見て、物件が適切に管理されているかを把握できます。

また修繕積立金が、計画通りに積み立てられているかどうかも確認したうえで購入することが可能です。

リフォーム・リノベーションで理想の住まいをつくれる

中古マンションによっては、室内の壁を取り壊して間取りを変更することが可能です。

また物件の構造や管理規約の範囲内で、キッチンやトイレなどの水回り設備を移動できるケースもあります。

リフォーム・リノベーションによって、自分自身や家族が理想とする住まいにつくり変えることができるのは、中古マンションならではのメリットといえます。

中古マンションの築年数別にかかるリフォーム費用の相場

中古マンションのリフォーム費用は、 室内の広さや間取り、工事内容などで異なるため一概にはいえません。

一方で、 築年数が古くなるほどリフォーム費用は高額になる傾向があります。
築年数ごとのリフォーム費用の目安は、以下のとおりです。

築年数 リフォーム費用の相場
20〜30年 200万〜400万円
30〜40年 300万〜600万円
40年以上 600万〜1,000万円

築年数が20〜30年前後の中古マンションで、キッチンや浴室などの水回り設備の交換のみであれば、200万〜400万円程度の費用で済むでしょう。

しかし、築年数が30年を超えており、水回り設備の交換だけでなく間取りの変更や壁紙の張り替えなどもする場合、費用が1,000万円を超えるケースもあります。

築年数が経過した中古マンションを購入するときの注意点

中古マンション 築年数

中古マンションによっては、住宅ローンの返済期間が制限されることがあります。
また物件によっては、税の優遇制度である「住宅ローン控除」の対象外になってしまうことがあります。

住宅ローンの返済期間が制限されることがある

住宅ローンの返済期間は、基本的に最長35年です。
しかし金融機関によっては、返済期間の上限を「中古マンションの法定耐用年数(47年)-築年数」としている場合があります。

例えば築年数が25年である場合、住宅ローンの返済期間は最長で47年-25年=22年となる可能性があるのです。

また借入限度額を制限する金融機関もあります。
中古マンションの購入を検討しているのであれば、返済期間や借入上限額を金融機関に確認しましょう。

住宅ローン控除が受けられなくなることがある

住宅ローン控除は、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人が受けられる税の優遇制度です。

マンションに入居する年が2022年1月以降である場合、基本的に「年末時点の住宅ローン残高×0.7%」が所得税と住民税から控除されます。

中古マンションを含む既存住宅の場合「昭和57年以降に建築された住宅」または「新耐震基準に適合した住宅」でなければ、住宅ローン控除を受けられません。

住宅ローンを組むのであれば、検討している中古マンションが住宅ローン控除の要件に当てはまっているか確認しましょう。

なお2021年以前は、築年数が25年以内のマンションでなければ住宅ローン控除の対象になりませんでした。
しかし2022年の税制改正によって、築25年を超えるマンションであっても、耐震性能が所定の基準を満たしていれば住宅ローン控除の対象となります。

条件に合う中古マンションが見つかったら早めに申し込む

中古マンション 築年数

立地や間取り、広さなどが希望する条件に合う物件を見つけても、購入すべきか迷っているうちに他の購入希望者に先を越されてしまう可能性があります。

中古マンションの場合、一度売れてしまうと同じ物件が再び売りに出されることはほとんどありません。

そのため希望する条件に合致した中古マンションを見つけたときは、できるだけ早めに内覧を申し込みましょう。
内覧をした結果、購入したいと思ったのであれば、他の購入希望者に先を越される前に申し込むことをおすすめします。

【まとめ】中古マンションを選ぶときは築年数を確認しよう

中古マンションの価格は、築年数の経過とともに年々下がっていきますが、築20年を超えたあたりから価格はほぼ横ばいとなります。

将来的に大きく値崩れするリスクを抑えたい場合は、築20年以上の中古マンションを選ぶのも方法のひとつです。
修繕やメンテナンスが行き届いているマンションであれば、100年以上持つとされているため、入念に物件を選べば長きにわたって住めるでしょう。

一方で中古マンションを選ぶときは、修繕状況や配管の構造、耐震性能などさまざまな点を確認しなければなりません。
そのため中古マンションの購入を検討している方は、中古マンションの取り扱い実績が豊富な不動産会社に相談するのがおすすめです。
(執筆者:品木 彰)

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