中古マンションと新築マンションの違いは、価格だけではありません。
それぞれ特徴やメリット、デメリットが異なっているため、よく比較したうえで自分に合ったほうを選ぶことが大切です。
本記事では、中古マンションと新築マンションのメリットとデメリットを比較します。
遠鉄の不動産・浜松北ブロック長 恒吉 俊哉(つねよし しゅんや)
宅地建物取引士
中古マンションと新築マンションのメリットを比較
まずは中古マンションと新築マンションのメリットをみていきましょう。
中古マンションのメリット
中古マンションのおもなメリットを3つご紹介します。
新築マンションよりも価格が割安
中古マンションは、新築マンションよりも価格が割安です。
特に築年数が経過したマンションほど、手頃な価格で購入できる可能性があります。
ここで築年数とマンション価格(㎡単価)の推移をみていきましょう。
※出典:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」
価格の推移をみると、築10年を過ぎたあたりから下落幅が緩やかになり、築20年を過ぎるとほぼ横ばいになっていることがわかります。
よって築年数が経過した中古マンションのほうが、価格が安いだけでなくその後の資産価値を維持しやすいといえます。
立地が良い物件の選択肢が増える
日本は土地が少なく、新築マンションに絞ると立地が良い物件の選択肢は少なくなります。
たとえ見つかったとしても、価格が高すぎて手が出せないかもしれません。
中古マンションも含めて検討すると、予算内で好立地な物件が見つかりやすくなります。
リフォーム・リノベーションで室内の壁や床、キッチン、バスルームなどを刷新して、新築マンションと同等の魅力がある物件にすることも可能です。
実物を見て購入できる
中古マンションは、購入前に日当たりや風通し、窓からの眺め、周辺の物音などを確認したうえで購入を判断できます。
また売主が退去しておらず、家具や家電などが置かれた状態であれば、マンションの内覧時に購入後の生活を想像しやすいでしょう。
新築マンションのメリット
次に新築マンションを選ぶ主なメリットをみていきましょう。
設備や建物の構造が最新
新築マンションは、建物が新しいため外観がきれいです。
室内に設置されたキッチンやバス、トイレなどは、各メーカーが取り扱う最新の製品が使用されているため、快適な暮らしを得られるでしょう。
また建物の構造にも基本的に最新の技術が使われているため、耐震性能や耐久性能が優れている傾向にあります。
修繕積立金が割安
修繕積立金とは、管理費とともにマンションの入居者が支払うお金であり、10〜15年に一度のタイミングで実施される大規模修繕に備えて積み立てられます。
マンションの戸数などで異なるため一概にはいえませんが、築年数が経過した物件ほど修繕積立金は高い傾向にあります。
新築マンションは、修繕積立金が安いときに入居でき、毎月の住居費を抑えやすいです。
住宅ローン控除の条件が良い
住宅ローン控除は、年末時点の借入残高の0.7%に相当する金額を、所得税と一部の住民税から控除してくれる減税制度です。
2022年1月〜2025年末までに入居する場合、新築マンションの購入時は、最大13年にわたって控除が受けられます。
一方で中古マンションの控除期間は、基本的に最長10年です。
(※不動産会社が買い取って再販するマンションについては、控除期間は13年)
また住宅ローン控除の対象となるローンの借入限度額も、新築マンションのほうが高い傾向にあります。
そのため新築マンションを選んだほうが、住宅ローン控除による高い節税効果を得られる可能性があるのです。
中古マンションと新築マンションのデメリットを比較
中古マンションと新築マンションには、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
1つずつ解説します。
中古マンションのデメリット
中古マンションの主なデメリットをみていきましょう。
建物や設備が古い
中古マンションは、新築マンションよりも経年劣化が進んでいるため、外壁や廊下、エントランスなどに古さを感じられるかもしれません。
室内についても、水回りや床、壁などは、経年劣化により、入居時に修繕やリフォームが必要となる場合があります。
住宅ローンの審査に通りにくくなることがある
金融機関は、住宅ローンを借りる人の年収や勤続年数だけでなく、物件の担保価値も審査します。
物件に十分な担保価値がなければ、住宅ローンの返済を滞納されたとき、競売によって融資資金を回収できなくなるためです。
中古マンションは、担保価値が低い傾向にあるため、住宅ローンの審査に通りにくくなることがあります。
修繕積立金が高いことがある
築年数が経過したマンションのほうが、修繕費は高くなる傾向にあります。
またマンションによっては、築年数の経過にともなって修繕積立金が段階的に値上げされる場合があります。
そのため中古マンションの購入後は、新築マンションよりも割高な修繕積立金を支払っていくことになる可能性があるのです。
新築マンションのデメリット
次に新築マンションを選ぶ主なデメリットを解説します。
中古マンションよりも価格が割高
新築マンションの販売価格には、利益や人件費、広告費が上乗せされているため、中古マンションよりも価格が割高な傾向にあります。
また人件費や建築資材の費用の高騰により、新築マンションの販売価格が高くなることがあります。
特に首都圏にある新築マンションは、高くて手が届かないという方も少なくありません。
購入前に実物を見られないことがある
新築マンションの多くは、完成したころには完売となっているように、工事が始まると同時に販売も開始されます。
そのため多くの新築マンションは、購入前に実物を見られず、日当たりや窓から見える風景、部屋の仕様などは確認できません。
モデルルームやホームページなどを確認し、購入後の生活をイメージして、購入を判断することになるでしょう。
資産価値が下がりやすい
新築マンションは、販売価格に新築という付加価値が上乗せされています。
購入後に玄関の鍵を回して新築から中古になるだけで、資産価値が10〜30%ほど低下するといわれているのです。
住宅ローンを組んで新築マンションを購入した場合、売却価格がローン残高を下回り、思うように売却できないかもしれません。
中古マンションと新築マンションにはどれだけの価格差がある?
ここでは中古マンションと新築マンションの価格差について、物件価格と諸費用に分けて解説します。
物件価格の違い
東京カンテイの調査によると、首都圏における新築マンションと中古マンションの平均価格は、以下のとおりに推移しています。
※出典:東京カンテイ「マンションデータ白書 2020」
首都圏においては、新築マンションと中古マンションに大きな価格差があり、さらにその差が年々開いていることがわかります。
一方で新築マンション価格の高騰の影響で、中古マンションの価格も上昇してきています。
東日本不動産流通機構の調査によると、首都圏における2022年1〜3月の中古マンション成約単価は4,110万円です。
これは前年同期比+8.2%であり、38期連続で前年同期を上回っています。
※出典:東日本不動産流通機構「月例速報 MarketWatchサマリーレポート 2022年1〜3月度」
諸費用の違い
新築マンションと中古マンションでは、購入時に支払う諸費用の一部が異なります。
例えば中古マンションの購入時は、売主を仲介してくれた不動産会社に支払う「仲介手数料」がかかるのが一般的です。
仲介手数料の金額は不動産会社によって異なりますが、法律で定められた上限である「物件価格×3%+6万円(税別)」にしているところもあります。
一方で、新築マンションは、販売価格に消費税が含まれています。
中古マンションの場合は、個人が売主であれば消費税はかかりません。
中古マンションと新築マンションはどちらを選ぶべき?
中古マンションと新築マンションは、それぞれどのような人が選ぶと良いのでしょうか。
購入が向いている人の例を解説します。
中古マンションが向いている人
中古マンションの購入が向いている人の例は、以下のとおりです。
- 購入価格を抑えたい人
- 立地にこだわりがある人
- 実物を見た上で購入を判断したい人 など
新築マンションが向いている人
新築マンションの購入が向いている人の例は、以下のとおりです。
- 建物や設備が新しいマンションに住みたい人
- より条件の良い住宅ローン控除を受けたい人
- 住宅ローンの返済以外にかかる金銭的な負担を抑えたい人 など
【まとめ】中古マンションと新築マンションには一長一短がある
中古マンションと新築マンションのメリットをまとめると、以下のとおりです。
中古マンション | 新築マンション |
・新築マンションよりも価格が割安 ・立地が良い物件の選択肢が増える ・実物を見て購入できる |
・設備や建物の構造が最新 ・修繕積立金が割安 ・住宅ローン控除の条件が良い |
ご自身の中で何を優先するのかによって、マンション選びは変わってきます。
中古マンションと新築マンションを選ぶ前に、マイホーム購入における優先事項を考えてみることをおすすめします。
中古マンションと新築マンションのどちらを選べば良いか迷うのであれば、不動産会社の担当者に相談をすると良いでしょう。
(執筆者:品木 彰)