中古マンションの購入に失敗したくはないものの、どのように選べば良いかわからない方も多いのではないでしょうか。
中古マンション購入では、いくつかのポイントを押さえて選ぶことで、失敗しにくくなります。
また築古のマンションも選択肢に含めることで、希望に合ったマイホームが手に入る可能性を高められます。
本記事では、中古マンションの賢い選び方や築古物件も選択肢に含めると良い理由をわかりやすく解説します。
遠鉄の不動産・浜松ブロック長
石岡 靖雅(いしおか やすまさ)
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、家族信託コーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
中古マンションの賢い選び方!ポイントは3つ
中古マンション選びの失敗を防ぐポイントは、以下の3点です。
- 購入する目的や条件、予算などを事前に決める
- 内見で管理状況や周辺環境などを確認する
- マンションに関する書類を確認する
1.購入する目的や条件、予算などを事前に決める
中古マンションを探し始める前に購入する目的を決め、それをもとに希望する条件を考えます。
また中古とはいえマンションを購入するためには多額の資金が必要となるため、入念に資金計画を立てることも大切です。
購入する目的
まずは、何のために中古マンションを購入するのか考えてみましょう。
「職場の近くに住みたい」「子育てしやすい場所に引っ越したい」など、中古マンションを購入する理由は人それぞれです。
最初に購入する目的を明確にしておくと、中古マンションに求める条件の優先順位が付けやすくなります。
希望条件
購入目的をもとに、立地や間取り、周辺施設などの希望条件を決めます。
子育てがしやすい場所に住む目的でマンションを購入するのであれば、近くに公園や学校、病院などがあるかどうかが選ぶポイントとなるでしょう。
室内の間取りや広さについては、子どもが成長しても家族でゆったりと暮らすにはどれほど必要になるかを考えます。
職場に通いやすい場所に住みたいのであれば、職場や最寄り駅からの距離を優先してマンションを選ぶことをおすすめします。
予算
価格が高いマンションほど、魅力は増していきます。
年収から考えて返済可能な金額いっぱいまで借りてしまうと、収入が下がったり支出が増えたりしただけで、生活が苦しくなることがあります。
貯蓄や親族からの資金援助でいくらの自己資金を準備できるのか、いくらの住宅ローンなら最後まで返せるのか、などを考えて予算を立てたうえで中古マンションを探しましょう。
2.内見で管理状況や周辺環境などを確認する
購入目的や希望条件、予算が決まったら中古マンション探しを始めます。
不動産ポータルサイトで検索したり不動産会社に相談したりして、条件に合う中古マンションを探していきます。
気になるマンションが見つかったら、内見を申し込みましょう。
内見では、部屋の間取りや広さ、設備などは多くの方が確認します。
それらに加えて以下の点も確認することで、よりマンション選びに失敗しにくくなります。
- 管理状況
- 周辺環境
- 日当たり・環境音
- 同じマンションに住んでいる人
管理状況
中古マンションを選ぶ際は、建物の外観や共用部分を見て適切に管理されているかどうかをチェックすることが大切です。
例えば外観にヒビが入っている場合「修繕費用の積立が足りていない」「管理組合の修繕意識が低い」のいずれかに当てはまるかもしれません。
自転車置き場に古い自転車が放置されていたり、ゴミステーションにゴミが散乱していたりすると住人のモラルが低い可能性があります。
マンションは適切に管理されていれば100年はもつといわれていますが、管理に問題がある場合は、建物の老朽化が進みやすくなり早く寿命を迎えるかもしれません。
また資産価値が下がりやすくなり、将来的に住み替えが必要になったとき希望する価格で売却できない可能性もあります。
以上の点から内見の際に、マンションの管理状況を確認することは非常に重要といえます。
周辺環境
周りにあるスーパーや公園、病院などの周辺施設の状況を確認することも重要です。
内見時にマンションの周辺を歩き、どのような施設があるか確認すると良いでしょう。
生活に車が欠かせない人は、マンション周辺のエリアを走行するのも有効です。
また周辺の状況を確認するときは、10年後、20年後の将来をイメージすると良いでしょう。
例えば将来的に子どもが欲しいと考えているのであれば、マンションの周辺に保育園や公園など、子育てをするうえで欠かせない施設があるかを確認します。
日当たり・風通し・環境音
内見の際は、車や電車の走行音がどれほど聞こえてくるかを確認しましょう。
また両隣や上下の住居から聞こえてくる生活音を確認するのも有効です。
日当たりの良さも、内見時にチェックすることをおすすめします。
日当たりが良ければ、照明を付けなくても部屋の明るさが保たれるだけでなく、洗濯物を外に干したときに良く乾くでしょう。
マンションに住んでいる人
マンションにどのような人が住んでいるのかも、内見をする際に確認します。
例えば、子育てのしやすさを重視してマンションを選ぶのであれば、ファミリー世帯がどれほど住んでいるのかをリサーチしましょう
ファミリー世帯が多く住んでいるマンションであれば、子育てへの理解が得られやすく、子どもが少々騒がしくてもトラブルに発展しにくいといえます。
3.マンションに関する書類を確認する
中古マンションを検討するときは、室内や建物だけでなく長期修繕計画や管理規約などの書類を確認することも重要です。
長期修繕計画
長期修繕計画は、大規模修繕をする時期や修繕箇所、必要な費用、積立の計画などが記載された書類です。
大規模修繕をするためには、一般的に数百万円ほどの費用がかかるため、マンションに住んでいる人から修繕積立金を集めて将来の修繕に向けて積立をしています。
修繕積立金は、築年数の経過とともに段階的に値上がりするのが一般的です。
また大規模修繕の工事費用を賄えるだけの資金が積み立てられていないと、入居者から一時金を徴収するケースがあります。
そのため不動産会社から長期修繕計画を取り寄せ、大規模修繕の予定や修繕積立金が値上がりするタイミングなどを確認しておくと良いでしょう。
加えて計画通りに修繕資金が積み立てられているかどうかも確認するのが望ましいです。
管理規約
管理規約には、ペットの飼育や楽器の演奏、リノベーション工事などマンションに関するルールが記載されています。
特にリノベーション工事をする予定がある方は、管理規約の確認が必須であるといっても過言ではありません。
使用できる床材や資材の搬入経路など、工事に関するルールが管理規約で定められていることがあるためです。
不動産会社を選ぶときのポイント
中古マンションの購入時は、物件だけでなく不動産会社選びも重要です。
ここでは中古マンション探しをサポートしてもらう不動産会社を選ぶときのポイントを解説します。
中古マンションの売買実績が豊富な不動産会社を選ぶ
中古マンションの売買が得意な不動産会社であれば、新規物件や未公開物件の情報をいち早く提供してもらえることがあり、希望に合った物件が見つかりやすくなります。
中古マンションの売買が得意かどうかは、ホームページやチラシ、店頭などに掲載されている物件情報を確認するのがおすすめです。
またホームページに掲載された売買実績を確認するのも、方法のひとつです。
営業担当者の実力も重要
営業担当者の知識やスキル、顧客への接し方などは人によって異なります。
実力が高い営業担当者ほど、情報提供や質問に対する回答が早い傾向にあります。
また希望するエリアの物件情報に精通していることも、実力が高い営業担当者の特徴です。
中古マンション選びの際は、不動産会社だけでなく担当者の実力にも注目してサポートしてもらう人を選ぶと良いでしょう。
中古マンションの築年数の選び方
中古マンション選びでは、築年数も重要なポイントです。
安易に築浅マンションを選ばない
築浅の中古マンションは、新築マンションに近い性能を有しており見た目もきれいです。しかし以下の通り資産価値の下落幅が大きいため、安易に選ぶのはおすすめできません。
※出典:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」
築浅のマンションを選ぶと、将来的に売却が必要になったとき、購入時よりもはるかに安い価格での売却となるかもしれません。
将来的に売却する可能性があるのなら、資産価値が下がりにくい築30年ほどの中古マンションも選択肢に含めることをおすすめします。
築古の物件も選択肢に加えると理想のマンションが見つかりやすい
日本の土地は面積が限られており、立地が良い場所には築20年や築30年といった築古のマンションが多く建っています。
そのため、築古のマンションを選択肢に含めると好立地にある物件を購入しやすくなります。
築古のマンションでも、リノベーション工事をすることで新築や築浅のマンションに近い性能を得られる可能性があります。
立地にこだわってマンションを選ぶのであれば、築古の物件も選択肢に含めてはいかがでしょうか。
築年数が同じであっても、マンションの価格や寿命が同じとは限りません。 中古マンションを選ぶときは、築年数だけでなく、管理の状況や地震に耐えられる強度など、さまざまな点を比較することが大切です。 本記事では、中古マンションの築[…]
【まとめ】物件だけでなく不動産会社選びも重要なポイントとなる
中古マンションを選ぶときは、購入する目的を考えたうえで希望条件や予算を決めます。
マンション探しを始めて気になる物件が見つかったときは、内見をして室内や管理状況、周辺環境などをチェックします。
長期修繕計画や管理規約といった書類もあわせて確認しておきましょう。
また中古マンション選びでは不動産会社や担当者選びも重要です。
売買実績が豊富な不動産会社や実力がある担当者のサポートを得ることで、中古マンション選びに失敗しにくくなるでしょう。
(執筆者:品木 彰)