中古マンションを購入するときは、物件の購入費用の他にも税金や手数料といった諸費用を支払わなければなりません。
購入時の資金計画を立てる際は、税金の種類や税額を把握することが重要です。
本記事では、中古マンション購入時にかかる税金や手数料などをわかりやすく解説します。
遠鉄の不動産・浜松北ブロック長 恒吉 俊哉(つねよし しゅんや)
宅地建物取引士
中古マンションの購入・取得時にかかる税金
中古マンション購入時にかかる税金は、以下のとおりです。
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 印紙税
- 消費税
- 固定資産税や都市計画税の清算金
不動産取得税と登録免許税については「固定資産税評価額」をもとに計算されます。
固定資産税評価額は、市区町村の固定資産税課税台帳に登録されている不動産の価格です。
土地の固定資産税評価額は、国が年に1回算出する公示価格の70%程度、建物については再び同じ建物を建てるときの価格(再建築価格)の70%程度が目安です。
不動産取得税
不動産取得税は、土地や建物などの不動産の所有者となった人に課せられる税金です。
税額は、土地と建物のそれぞれで計算をします。
計算方法は、以下のとおりです。
- 建物の税額:(固定資産税評価額-控除額)×税率(3%)
- 土地の税額:固定資産税評価額×1/2×税率(3%)-控除額
※上記の税率は2024年(令和6年)3月31日までに中古マンションを取得した場合
※土地の固定資産税評価額に2分の1が乗じられるのは2024年(令和6年)3月31日まで
中古マンションの床面積が50㎡以上240㎡以下であり、かつ所定の耐震改修が施されている場合、建物部分の税額を計算する際に固定資産税評価額から一定金額が控除されます。
控除額は100万〜1,200万円であり、マンションが新築された年月日によって変わります。
また土地部分については、所定の要件を満たしていると、以下のうちどちらか高い金額が控除されます。
- 45,000円
- 土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2×住宅の床面積×2×3%
※「住宅の床面積×2」は1戸あたり200㎡が上限
※ 2024年3月末までに取得した場合
登録免許税
中古マンションを購入した場合、所有権移転登記をします。
また住宅ローンを組んだ場合は、抵当権設定登記をしなければなりません。
※抵当権とは、住宅ローンの返済を滞納したときに金融機関が担保となっている不動産を差し押さえできる権利
不動産に関する登記をする際に支払う税金が「登録免許税」です。
登録免許税の税額は、以下のとおりです。
計算式 | |
所有権移転登記 | 土地:固定資産税評価額×1.5%
※2023年(令和5年)3月31日までの軽減税率を適用した場合 建物:固定資産税評価額×0.3% ※2024年(令和6年)3月31日までの軽減税率を適用した場合 |
抵当権設定登記 | 借入金額×0.1%
※2024年(令和6年)3月31日までの軽減税率を適用した場合 |
※軽減税率を適用するためには「床面積が50㎡以上」「新築または取得後1年内の登記である」「自己居住用の住宅」などの一定の要件を満たす必要があります
購入する中古マンションが、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅といった環境性能が高い住宅である場合、所有権移転登記の建物部分の税率が0.1%となります。
印紙税
印紙税は、中古マンションの売買契約書に収入印紙を貼付して納める税金です。
住宅ローンを組む場合は、金銭消費契約書にも印紙税がかかります。
税額は、以下のとおり契約書に記載された契約金額によって決まります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
10万円超 50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超 100万円 | 1,000円 | 500円 |
100万円超 500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超 1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円超 1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
※出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」をもとに作成
不動産の売買契約書に記載された金額が10万円を超えており、かつ2024年(令和6年)3月31日までに作成された場合は軽減税率の対象となります。
例えば契約書に記載された金額が3,000万円である場合、本来の印紙税額は20,000円ですが、軽減税率が適用されると10,000円となります。
一方で住宅ローンの金銭消費貸借契約書については、軽減税率の対象外です。
消費税
消費税は、モノやサービスなどの取引に対して課せられる税金です。
中古マンションの売主が個人である場合、消費税はかかりません。
一方で不動産会社のような事業者が売主である場合、消費税の課税対象となります。
固定資産税や都市計画税の清算金
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物などを持つ人に課せられる税金です。
所有するマンションが市街化区域というエリアにある場合は、都市計画税も納める必要があります。
中古マンションの売主が、すでに1年分の固定資産税や都市計画税を支払っている場合、買主とのあいだで精算をするのが一般的です。
あくまでも一般的な事例ですが、買主が売主に支払うのは、通常はマンションの引き渡し日から起算日(一般的に1月1日または4月1日)の前日までの日割り計算した金額です。
中古マンションの購入後にかかる税金
中古マンションを購入したあとは、固定資産税や都市計画税を毎年支払います。
税額の計算方法は、以下のとおりです。
- 固定資産税:課税標準額×税率(1.4%)
- 都市計画税:課税標準額×税率(0.3%)
※自治体によっては上記とは異なる税率に設定している場合があります
課税標準額は、基本的に固定資産税評価額と同じです。
土地の上に人が居住するための建物が建っている場合「住宅用地の特例措置」が適用され、固定資産税評価額に以下の減額割合をかけた金額が課税標準額となります。
1戸あたりの土地の面積 | 固定資産税 | 都市計画税 |
200㎡以下の部分(小規模住宅用地) | 1/6 | 1/3 |
200㎡超の部分(一般住宅用地) | 1/3 | 2/3 |
※1戸あたりの土地の面積は、マンションの敷地面積を戸数で割って算出します。
固定資産税と都市計画税は、毎年4〜6月のあいだに送付されてくる納税通知書に記載された方法にしたがって納付します。
中古マンション購入にかかる税金以外の諸費用
中古マンションの購入時は、税金だけでなく手数料や保険料などの支払いも発生します。
仲介手数料
不動産会社に仲介を依頼してマンションを探してもらった場合は、購入時に仲介手数料がかかるのが一般的です。
仲介手数料の金額は不動産会社によって異なりますが、法律で定められた上限である「物件価格×3%+6万円(税抜)」を超えることはありません。
また仲介手数料には消費税がかかります。
住宅ローンに関する費用
住宅ローンを借り入れる際は、事務手数料や保証料を支払う必要があります。
- 事務手数料:住宅ローンを申し込む銀行などに支払う手数料
- 保証料:保証会社に支払う手数料
事務手数料や保証料の金額や計算方法は、金融機関によって異なります。
火災保険料・地震保険料
火災保険は、火災や自然災害などで建物やその中にある家財(家具・家電・衣服など)が負った損害を補償する保険です。
地震保険は、火災保険の補償対象外である地震や噴火、津波による損害を補償します。
火災保険や地震保険の保険料は、補償内容や補償額、マンションがあるエリアによって異なります。
司法書士への報酬
所有権移転登記や抵当権設定登記は、法律や不動産の専門知識が求められるため司法書士に代行してもらうのが一般的です。
登記手続きを司法書士に依頼する場合は、5万〜10万円ほどの報酬を支払います。
管理費・修繕積立金の清算金
中古マンションが引き渡されたとき、売主はすでに1か月分の管理と修繕積立金を支払っている状態です。
そこで買主は、売主に対して引き渡し日から月末までの日割り計算した金額を支払って精算するのが一般的です。
中古マンション購入に利用できる税額控除(税金控除)と特例制度
中古マンションを購入するときは、住宅ローン控除や住宅資金贈与非課税の特例を利用することで、金銭的な負担を軽減できる可能性があります。
住宅ローン控除(住宅ローン減税)
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人が所定の要件を満たすと受けられる税の優遇制度です。
2022年(令和4年)1月1日から2025年(令和7年)12月31日までに居住する場合「年末時点における住宅ローン残高×0.7%」が、所得税と一部の住民税から減額されます。
中古マンションの場合、控除期間は最長10年ですが、業者が買取をして一定のリフォーム工事を施して再販しているマンションを購入したときは最長13年となります。
住宅取得資金の贈与税の非課税措置
両親や祖父母から資金の援助を受ける場合、本来であれば1年間で贈与された財産の金額が110万円を超えると贈与税がかかります。
住宅資金贈与非課税の特例を適用できると、贈与税の基礎控除額110万円と合わせて以下の金額まで非課税となります。
- 耐震、省エネまたはバリアフリーの住宅用家屋 1,000万円
- 上記以外の住宅用家屋 500万円
※出典:財務省「令和4年度税制改正の大綱」
非課税措置は、2023年(令和5年)3月31日までに行われた贈与が対象です。
【まとめ】税金も考慮して資金計画を立てよう
中古マンションを購入するときは、不動産取得税や印紙税、登録免許税などがかかります。
また仲介手数料や住宅ローンの借入費用、火災保険料なども支払うのが一般的です。
中古マンションを購入するときは、税金や手数料、保険料などがいくらかかるのかを試算したうえで入念に資金計画を立てましょう。
(執筆者:品木 彰)