中古マンションを購入する場合、国や地方自治体が実施する補助金制度を利用できると、金銭的な負担を軽減できます。
資金計画を立てる際は、申請が可能な補助金制度を探してみると良いでしょう。
本記事では、2022年9月現在で中古マンションを購入するときに申請できる補助金の種類や内容を解説します。
遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級
【2022年最新】中古マンション購入やリフォームで使える補助金
2022年9月現在で申請が可能な補助金は、以下のとおりです。
- こどもみらい住宅支援事業
- 既存住宅の断熱リフォーム支援事業
- 次世代省エネ建材の実証支援事業
上記のほかにも、自治体が独自に実施する補助金制度を申請できる場合があります。
こどもみらい住宅支援事業
こどもみらい住宅支援事業は、注文住宅を新築したときや新築分譲住宅を購入したとき、所定のリフォーム工事をしたときに、要件を満たすと補助金を受けられる制度です。
主に子育て世帯や若者夫婦世帯を対象にした制度ですが、要件を満たせば一般世帯も補助金の支給対象となります。
住宅をリフォームする場合、補助金の支給対象になるのは以下の工事の補助額が5万円を超えた場合です。
改修工事の種類 | |
A.省エネ改修 | 以下のいずれか必須
・内窓設置や外窓交換、ガラス交換など開口部の断熱改修 ・「外壁」、「屋根・天井」または「床」の断熱改修 ・節水型トイレや高断熱浴槽などエコ住宅設備の設置 |
B.必須工事と同時に行う場合のみ補助対象 | ・子育て対応改修
・バリアフリー改修 ・耐震改修 ・空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置 ・リフォーム瑕疵保険等への加入 |
Bの子育て対応改修やバリアフリー改修などは、Aの省エネ改修と同時に行った場合のみ補助の対象となります。
1戸あたりの補助上限額は、以下のとおりです。
〇子育て世帯・若者夫婦世帯
- 既存住宅を購入してリフォームをする場合:最大60万円/戸
- 上記以外のリフォームをする場合:最大45万円/戸
※子育て世帯とは、申請時点において、2003年4月2日以降に出生した子を有する世帯
※若者夫婦世帯とは、申請時点において夫婦であり、いずれかが1981年4月2日以降に生まれた世帯
※既存住宅の購入は「不動産売買契約の締結時に完成から1年以上経過している住宅である(不動産登記で確認します)」「不動産売買契約の締結が、2021年11月26日(令和3年度補正予算案閣議決定日)以降である」「売買代金が100万円(税込)以上である」などの要件をすべて満たすものです
〇一般世帯
- 安心R住宅を購入してリフォームをする場合:最大45万円/戸
- 上記以外のリフォームをする場合:最大30万円/戸
こどもみらい住宅支援事業は、工事を発注した人ではなく施工業者が交付の申請や手続きを行います。
また事前に「こどもみらい住宅事業者」として事前に登録した施工業者でなければ、申請手続きができません。
申請期限は2023年3月31日までですが、予算の状況に応じて変動する可能性があります。
既存住宅の断熱リフォーム支援事業
既存住宅の断熱リフォーム支援事業は、断熱材や窓、ガラスなどの対象製品を用いて断熱改修をするときに受けられる補助制度です。
所定の要件を満たすと、支援事業の対象となる資材の購入経費や施工費などの1/3を補助してもらえます。
中古マンションを含む集合戸建て住宅の補助上限額は、以下のとおりです。
補助対象製品 | 補助金の上限額 |
高性能建材
(ガラス・窓・断熱財・玄関ドア) |
集合住宅1戸ごとに15万円
※このうち玄関ドアは集合住宅1戸ごとに5万円 |
熱交換型換気設備等 | 5万円 |
※家庭用蓄電システムや家庭用蓄熱設備は戸建て住宅のみが補助の対象です
補助金の申請手続きは、2022年(令和4年)11月18日までに行う必要があります。
※本記事は2022年9月現在の情報に基づいて作成しています。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
次世代省エネ建材の実証支援事業
次世代省エネ建材の実証支援事業は、次世代省エネ建材を用いてリフォームをした際に所定の要件を満たすと補助金が支給される制度です。
対象となる改修方法には、外張り断熱・内張り断熱・窓断熱があります。
このうちマンションをはじめとした集合住宅が補助対象に含まれているのは内張り断熱のみです。
補助の要件や補助率、補助金額などは、以下のとおりです。
事業の内容 | |
要件 | 断熱パネル・潜熱蓄熱建材のいずれかを室内側から導入した改修 |
必須製品 | 断熱パネルまたは潜熱蓄熱建材 |
補助率 | 補助対象となる経費の1/2以内 |
補助金額 | ・上限額:125万円/戸
・下限額:20万円/戸 |
※参考:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和4年度 次世代省エネ建材の実証支援事業」
補助を受けるためには、以下の公募期間内に申請をする必要があります。
- 二次公募期間:2022年9月5日(月)から同年10月21日(金)
- 三次公募期間:2022年10月31日(月)から同年11月30日(水)
※本記事は2022年9月現在の情報に基づいて作成しています。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
各自治体が実施する支援制度
自治体によっては、中古マンションを購入する人やリフォームをする人向けに補助金をはじめとした独自の支援制度を実施している場合があります。
中古マンションの購入を検討している人は、補助金や助成金制度の有無や内容をもとに購入エリアを検討するのも方法でしょう。
例えば静岡県浜松市では、静岡県労働金庫から住宅ローンを借り入れた勤労者に対して利子を補助する制度を実施しています。
「市県民税額が30万円以下である」などの要件を満たすと、年0.6%の利子を最長で10年間にわたって補助してもらえます。
利子補助の対象となるのは、借入金のうち50万円以上300万円以内の部分です。
参考:住宅ローン利子補給制度(浜松市勤労者住宅建設資金等償還利子補助制度)
※本記事は2022年9月現在の情報に基づいて作成しています。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
中古マンション購入時は住宅ローン減税も利用できる
住宅ローンを組んで中古マンションを購入する場合、所定の要件を満たすと住宅ローン減税(住宅ローン控除)を利用できます。
控除額・控除期間
購入した中古マンションに2022年1月から2025年12月31日までに入居する場合、控除額は「年末時点の住宅ローン残高×0.7%」です。
例えば年末時点の借入残高が1,500万円である場合、1,500万円×0.7%=10万5,000円が所得税と一部の住民税から控除されます。
中古マンションの場合、控除を受けられる期間は最長10年です。
不動産会社が既存住宅を買い取り、所定のリフォーム工事を実施して再販する住宅を購入した場合、控除期間は最長13年となります。
借入限度額
住宅ローン控除の対象となる借入限度額は、以下のとおり住宅の種類に応じて異なります。
〇買取再販住宅・新築住宅の借入限度額
2022〜2023年に入居 | 2024〜2025年に入居 | |
認定長期優良住宅
認定低炭素住宅 |
5,000万円 | 4,500万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 |
その他の住宅 | 3,000万円 | 0円
※2023年までに新築の建築確認がされていた場合は2,000万円 |
〇既存住宅(中古マンションなど)
2022〜2025年に入居 | |
長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 |
その他の住宅 | 2,000万円 |
制度の対象となる中古マンションの要件
住宅ローン控除の対象となる中古マンションは、建築後使用されたことがあり、かつ以下の1と2のどちらかを満たしたものです。
- 1982年1月1日以後に建築されたもの
- 耐震基準適合証明書や建築住宅性能評価書の写しなどで地震に対する安全性に係る基準に適合することが証明されているもの
※参考:国土交通省「住宅ローン減税制度について」
他にも「住宅の引き渡しから6ヶ月以内に居住の用に供する」「申請する人の合計所得金額が年間2,000万円以下」「床面積が50㎡以上である」などの要件を満たす必要があります。
住宅ローン控除の申請方法
住宅ローン控除は、初年度については必ず確定申告をしなければなりません。
申告期間は、中古マンションを取得した翌年の2月16日から3月15日までです。
確定申告で住宅ローン控除を申請する際は、確定申告書や本人確認書類などを提出します。
会社員や公務員などの給与所得者は、2年目以降であれば勤務先の年末調整で住宅ローン控除を申請することも可能です。
資金援助を受ける際の贈与税の非課税措置
両親や祖父母などから、中古マンションを購入するための資金援助を受ける場合、贈与された財産の金額が年間で110万円を超えると贈与税がかかります。
そこで活用したいのが「住宅資金贈与の贈与税の非課税措置」です。
住宅資金贈与の贈与税の非課税措置は、2023年3月31日までに資金贈与を受けた場合、年間110万円に以下の金額を加えた贈与額まで非課税となる制度です。
- 耐震、省エネまたはバリアフリーの住宅用家屋 1,000万円
- 上記以外の住宅用家屋 500万円
※出典:財務省「令和4年度税制改正の大綱」
【まとめ】中古マンション購入時は補助金や減税制度を活用しよう
中古マンションを購入する場合は、所定のリフォーム工事をすると「こどもみらい住宅支援事業」「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」「次世代省エネ建材の実証支援事業」による補助金を受けられる可能性があります。
また「住宅ローン控除」や「住宅資金贈与の贈与税の特例」を適用できれば、中古マンションの取得にともなう金銭的な負担をさらに軽減できるでしょう。
中古マンションの購入を検討している方は、利用できる可能性がある補助金制度や減税制度などを不動産会社の担当者に確認してみることをおすすめします。
(執筆者:品木 彰)