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セカンドハウスローンとは?金利や利用時の注意点を解説

別荘や親用・子ども用の住宅などを購入する際、通常の住宅ローンは利用できません。
そこで検討したいのが「セカンドハウスローン」です。

セカンドハウスローンと住宅ローンは、借入金利の使い道や金利や審査基準など、さまざまな点が異なります。

本記事では、セカンドハウスローンの基本的な内容や住宅ローンとの違い、利用する際の注意点を解説します。

遠鉄の不動産・浜松北ブロック長 恒吉 俊哉(つねよし しゅんや)


宅地建物取引士

セカンドハウスローンとは?住宅ローンとの違いを解説

まずは、セカンドハウスローンの基本的な内容や、住宅ローンと異なる点を解説します。

生活拠点とは別の住宅を購入できるローン

セカンドハウスローンとは、2軒目の住宅を購入・建築・増改築する際に利用できるローンのことです。

借り入れる人が一時的に利用する住宅や、家族などローンの借り手とは異なる人が住む家を購入する際に利用できます。

例えば、老後生活を送るための住宅や、離れて暮らす親や子どものための住宅、週末に休養するための別荘などの購入資金に充てられます。

融資金額の上限は2億〜4億円ほどであり、高額なセカンドハウスの住宅を取得する際にも利用が可能です。

セカンドハウスローンと住宅ローンとの主な違い

セカンドハウスローンと住宅ローンには、借入金の使い道や借入金利、審査基準など、さまざまな違いがあります。

まず、通常の住宅ローンは、借入金の使い道が「借り入れた人の生活の拠点となる住宅の取得」に限られます。

生活の拠点以外の住宅を購入するために、住宅ローンを借り入れることはできません。

その点、セカンドハウスローンであれば、借入金を別荘や別宅などの購入資金に充てられるため、住宅ローンより使い道は幅広いといえます。

また住宅ローンの場合、取得した住宅に住民票を移す必要がありますが、セカンドハウスローンについては必須ではありません。

その反面、セカンドハウスローンは住宅ローンよりも、借入金利が高く審査基準は厳しい傾向にあります。

セカンドハウスローンの金利水準

セカンドハウスローンの金利水準は、金融機関や金利タイプによって異なりますが、年1.0%台〜4.0%台※です。それに対して、住宅ローンの金利水準は年0.3〜年2.0%台※です。

※2024年7月現在

そのため、借入金額や返済期間などが同じである場合、住宅ローンよりもセカンドハウスローンの方が返済負担は重くなりやすいといえます。

一方で、金融機関によっては住宅ローンと同様の金利での借り入れが可能なケースもあります。

セカンドハウスローンを利用するのであれば、複数の金融機関を比較し、条件がよい借入先を探すことが大切です。

セカンドハウスローンを組むために必要な年収

セカンドハウスローンの審査基準は、住宅ローンよりも厳しいといわれているため、借り手にもより高い年収が求められる可能性があります。

家を2軒以上所有する場合、税金や修繕費、返済負担などのコストがかかります。
維持費が膨らんだとしても問題なく返済できるだけの高い返済能力が求められるため、セカンドハウスローンの審査は厳しくなりやすいのです。

金融機関によっては「前年度の税込年収が500万円以上」といった収入に関する要件が定められていることもあります。

セカンドハウスローンを申し込む際は、金融機関が定める要件をよく確認しましょう。

また融資の審査では、年収だけでなく勤続年数や保有資産(とくに預貯金)、借入状況なども確認されます。

例えば、他のローンの返済を長期にわたって滞納した履歴がある場合、年収が高くても審査に通過できないことがあります。

セカンドハウスローンを利用する際の注意点

セカンドハウスローンを利用する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 返済負担が重くなりやすい
  • 住宅ローン控除は適用されない
  • 投資用不動産は購入できない

返済負担が重くなりやすい

前述のとおり、セカンドハウスローンの金利は、通常の住宅ローンと比べて高い傾向にあるため、返済負担も重くなりがちです。

例えば、借入金額4,000万円、返済期間35年、元利均等方式(毎月の返済額を一定にする返済方法)のローンを組むとしましょう。

金利タイプが変動金利である場合、借入金利が年0.4%の住宅ローンと、年2.0%のセカンドハウスローンでは、毎月の返済額や返済総額に以下のような差が生じます。

住宅ローン
(年0.4%)
セカンドハウスローン
(年2.0%)
毎月の返済額 102,076 円 132,505円
返済総額 約4,287万円 約5,565万円
 うち利息総額 約287万円 約1,562万円

上記のシミュレーション結果は、返済期間を通じて金利が変わらない場合の金額です。

その場合、毎月の返済額は約3万円、返済総額は約1,275万円、セカンドハウスローンの方が高い結果となりました。

セカンドハウスローンを借り入れる際は、毎月の返済額や返済総額を試算し、返済計画を慎重に立てる必要があります。

住宅ローン控除は適用されない

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んだ人が受けられる税の優遇制度です。
所定の要件を満たすと、年末時点の住宅ローン残高に応じた一定金額が、所得税や一部の住民税から控除されます。

減税が受けられる期間は、最長10〜13年です。

住宅ローン控除を受けるためには、住宅ローンで自分自身が居住するための住宅を取得する必要があります。

そのため、セカンドハウスローンを借り入れて、別荘や別宅を購入した場合、住宅ローン控除は対象外となり、減税は受けられません。

投資用不動産は購入できない

セカンドハウスローンは、住宅ローンと同様に賃貸マンションや賃貸アパートなどの投資用不動産の購入時には利用できません。

セカンドハウスローンは、あくまで自己使用を目的とした物件購入用のローンであるためです。

投資用不動産を購入するためには、アパートローンやプロパーローンといった専用の融資を利用する必要があります。

セカンドハウスローンで購入した家を賃貸に出すとバレる?

セカンドハウスローンを用いて購入した住宅を賃貸に出すと契約違反となります。
もし契約違反が発覚した場合、金融機関から一括返済を求められるかもしれません。

自分自身や家族が使用すると偽り、セカンドハウスローンを用いて賃貸用の住宅を取得したとしても、高い確率で発覚します。

例えば、返済予定表などの書類をセカンドハウスローンで取得した物件に送付した際に、無断で賃貸に出していることが発覚するケースがあります。
これは、借主の名義と実際に住んでいる人が異なり、宛名違いで金融機関に返送されるためです。

セカンドハウスローンを利用する際は、金融機関が定める資金使途の範囲内で物件を取得することが大切です。

フラット35でセカンドハウスを購入することもできる

セカンドハウスを取得するときは、民間金融機関が独自に取り扱うローンに加えて「フラット35」を検討するのもひとつの方法です。

フラット35は、住宅金融支援機構と金融機関が提携しているローンです。
金利タイプは全期間固定金利であり、完済まで借入金利が変わらないため、世の中の金利が上昇しても返済額が増えないという特徴があります。

フラット35であれば、借り入れた人が住むための住宅を取得するときと同様の金利でセカンドハウスを取得することが可能です。

金融機関の多くは、フラット35の融資率が9割以下、返済期間21年以上35年の場合、借入金利を年1.840%としています。

民間金融機関が独自に取り扱うセカンドハウスローンよりも金利が比較的低く、かつ長期の固定金利である点は、魅力的といえます。

ただし、フラット35も投資用不動産の購入は対象外です。また、金融機関によってはフラット35を取り扱っていない場合もあります。

【まとめ】別荘や別宅の購入はセカンドハウスローンを活用しよう

セカンドハウスローンで借り入れた資金の使い道は幅広く、リタイア後の住宅や親元を離れて暮らす子どもの住宅など活用方法はさまざまです。

ただし、住宅ローンよりも金利が高い傾向にあり、返済負担が重くなりやすい点に注意が必要です。
加えて審査基準は、住宅ローンよりも厳しいといわれており、借り手に高い返済能力が求められます。

セカンドハウスローンを利用する際は、不動産会社や金融機関にも相談し、返済計画を慎重に立て、現実的に返済が可能な金額を考えた上で申し込みましょう。
(執筆者:品木 彰)

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