「片付けなさい!」と注意しなくても、子どもが自発的にお片付けをしてくれたら、ステイホームをもっと楽しめるはずです。
そこで今回は、子どもの成長に合わせた「自分で片付けたくなる子供部屋」のレイアウトについて、フリーランスインテリアコーディネーターとして活躍中の山賀史子さんに教えていただきました。春休みは親子で片付けをするのに良い機会です。美しく片付いた部屋で、気持ちよく新年度をスタートさせましょう。
横浜市生まれ。高校在学中にカナダのホームステイ先で、ライフスタイルに合わせた生活空間づくりを楽しむ様子に感銘を受け、短大で生活造形・インテリア学を学ぶ。浜松の設計事務所およびハウスメーカーで15年勤務したのち、フリーランスのインテリアコーディネーターとして活動を開始。2015年に自宅新築とともに「in F」イン・エフ として独立。一児の母。長く愛着を持って快適に過ごせるインテリアの提案を行っている。
お部屋が整うと楽しい!
子どもに自ら片付けてもらうためには、綺麗に整った部屋で過ごす心地良さを理解してもらうことが一番の近道です。
遊びや勉強に集中でき、物を探しまわる必要もなく、何より親からうるさく注意されないということは、子どもにとって嬉しいこと。親も片付けや掃除が楽になり、不要な買い物が減るなど、お互いに良いことづくしです。
子どもが小さいうちは、親が空間を整え、片付けたくなる仕掛け作りを考えます。その後、子どもの成長に応じて一緒に空間づくりに挑戦するのが理想的です。
親子で話し合い、素敵な部屋の画像で検索したり、レイアウト図を書いたりと楽しみながら部屋の使い方を考えることで、ものを大切にする心や、整理整頓のスキル、美的感覚が育まれます。
「片付けなさい」と言う前に。
勉強机や収納スペースを用意しても片付かないということは、片付けを判断する基準やルールが決まっていないからです。
「片付けさない!」と言う前に、子どもが片付け易いレイアウトを考え、親子でルールを考えるところから始めてみましょう。
親子で決めておきたいお片付けのルール
- どこに片付けるか
- どのタイミングで片付けるか
- いつ処分するか
自分で片付けたくなる子ども部屋
子ども部屋は、成長と共に臨機応変にレイアウトを変化できる間取りにしておく必要があります。また、お片付け上手になるためには、片付けのスキルを段階を踏んで身に付ける必要があります。ここでは、幼少期、児童期、思春期と3つの年齢に分けて、それぞれの時期に最適な片付け方法や子ども部屋のレイアウトを考えてみましょう。
幼少期のお片付け
保育園や幼稚園に通い始めると、生活のリズムが生まれ、毎日身に付けるものや使うものが出てきます。また、沢山のお友達と一緒に過ごす中で、“私のもの”“私のロッカー”といった感覚も芽生えてきます。
この時期に、お出かけの準備や帰宅後のお片付けなど、毎日の生活習慣として「お片付けのルール」を身に付けておくと良いでしょう。
幼少期の収納は、片付ける場所がひと目で確認できるわかりやすさと、片付けの手間を極力省いた簡単さを心がけましょう。細かく分類しすぎず、片付けのハードルを下げることで、自分でできると感じることが大切です。
幼少期のお片付けには、まだまだ親のサポートが必要ですが、お母さんは子育ての負担も大きく、お片付けまで十分手が回りません。おもちゃが散らかっていてもあまり気にせず、できる時に整える程度に気楽に構えましょう。
- 収納は、子供の目線に合わせた高さや配置し、ワンアクションで片付けられるものを意識しましょう。
- 引き出しは中身がしっかり見える低い位置に配置しましょう。
- 引き出しや収納箱は、ラベリングして物の定位置を決めてあげましょう。兄弟や姉妹がいる場合は、色違いのシールなどで分ける工夫も有効です。
- 収納は、綺麗にたたんだり、ぎゅうぎゅうに詰めなくてもいいように、容量に余裕を持たせましょう。
- 幼稚園の身支度に必要なもの、スイミングのセット、お風呂上がりに着るパジャマと下着など、目的ごとにまとめて収納しましょう。
- おもちゃは大雑把でもラクして片付けられる収納グッズを活用しましょう。見た目も可愛いバケツ型の蓋付き収納があれば、急な来客時もさっと仕舞えて移動もできるのでおススメです。
幼少期の子ども部屋
幼少期は、遊びの中から多くを学び、感受性や創造性を育みます。子どもが安心して夢中になれる遊びのスペースを確保してレイアウトを考えましょう。
また幼少期の子ども部屋は、子どもの健やかな成長を願うご両親の想いが反映される場所です。色彩感覚を育む壁紙や、肌触りが良く洗い替えができるファブリック、アレルギーに配慮した内装材など、素材や色彩を意識してインテリアを選びましょう。
- 親の目線の届くリビングから近い場所に、子ども専用のスペースを用意しましょう。
- 部屋の入口に身支度スペースを設置することで、帰宅したらすぐに片付ける習慣を付けましょう。
- 飛んだり跳ねたりして身体を動かしたい時期は、厚みのある丈夫なマットレスを床に敷き、遮音性を高めましょう。汚れてもお手入れが楽な素材を選ぶことで、ママのストレスがないよう工夫しましょう。
児童期のお片付け
小学生になると、生活の中に「勉強の時間とスペース」が追加され、家庭での過ごし方が、より複雑になってきます。また学用品だけでなく、習い事の道具やおもちゃ、書籍など、物もどんどん増えてきます。
この時期には、収納場所に合わせて無理に子どもの生活習慣を変えようとせず、生活習慣に合わせた位置に収納を設置することで、ストレスなく片付けをさせる工夫が必要です。子どもの行動パターンをよく観察し、適材適所にものを配置しましょう。
児童期の子ども部屋
児童期のレイアウトは、ゾーニングを意識しましょう。家や部屋の中で、“ここはおもちゃを広げて遊んでいい場所”、“ここは勉強する場所”と子どもに認識させます。場所と行動を結び付けることで、生活にメリハリが生まれ、勉強や遊びに集中することができます。
- 勉強、寛ぎ、遊びの3つのゾーンを作りましょう。
- それぞれのゾーンに適した収納を配置しましょう。
- 遊びのゾーンでは、勉強机とは別に、遊びや趣味のグッズを持ち運び、広げられるスペースを確保しましょう。折り畳み式のテーブルがあれば、遊び用のほかに、友達が来た時の座る場所や、おやつを食べるテーブルにも使えて便利です。
- 動線を意識したレイアウトで、スムーズに行動できるよう工夫しましょう。
思春期のお片付け
思春期に入ると、親から「片付けなさい」と言われるほど嫌なことはありません。また、自我に目覚め、趣味や好みが確立する時期でもあります。
この時期は、彼らの好みや趣味を理解し、好きなディスプレイで部屋をコーディネートすることによって、部屋への愛着を持ってもらうことが大切です。自分の城(部屋)を整える楽しさを知れば、おのずと片付けたくなるものです。
思春期の子ども部屋
思春期のレイアウトは、勉強に集中できる部屋と、自分らしい部屋を意識しましょう。
収納の配置はできるだけ本人にまかせ、親は照明やエアコンの位置など、子どもが意識しない部分をサポートするようにします。
また、子ども部屋が広く設備が整いすぎると、どうしても部屋にこもりがちになってしまいます。リビングにパソコンやゲーム、子どもが寛げるスペースを用意することで、家族と過ごす時間を取れるよう工夫しましょう。
- 勉強机は窓辺を避けて、壁に向けて配置することで集中力を高めます。ベッドや漫画など、寛ぎのスペースが視界に入らないようにするとさらに集中力が増します。
- 勉強机の前には、予定表などを掲示できるタスクスペースを確保します。
- 勉強のテキストは、収納量を把握したうえで収納スペースを確保しましょう。
- 手元が暗くならないように、利き手と反対側に照明スタンドを設置しましょう。
- ベッドやデスクへ直接風があたらないようエアコンの配置を考えましょう。
- 兄妹や姉弟のような異性同士の場合は、性の違いを自覚する小学生の高学年には、別室にしましょう。
まとめ
部屋は、暮らす人の「好き」が詰まった心地良さと美的な感覚、その時の心情が現れます。また逆に、部屋のコンディションが住む人の心情に影響を与えてしまうこともあります。
ステイホームも家族で楽しく、前向きに、心穏やかに過ごすためにも、この春休みにまずはお部屋のお片付けから始めてみてはいかがでしょうか。
in F(イン エフ) フリーランスインテリアコーディネーター 山賀史子
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