年末の忙しさからクリスマスの飾り付けは後回しにしていても、街路樹のイルミネーションを見かけると「うちも何か飾ろうかな」という気持ちになってきます。今から大がかりな飾り付けは大変ですが、本物の植物を使ったクリスマスのアレンジメントなら大丈夫。クリスマスを過ぎても楽しめるような、大人なアレンジメントで年末年始を楽しみましょう。そこで今回は、静岡県浜松市で花作家・植物療法士として活躍する大石朋子さんに、常緑樹の爽やかな香りに包まれた、クリスマスリースやスワッグのアイデアと、ガーランドの作り方を教えていただきました。
新しい年を迎えるための花支度
クリスマスリースの歴史は古く、キリスト教以前の古代ヨーロッパの自然信仰から、新しい年を迎えるための飾りとして脈々と受け継がれてきた習慣です。
大石さん「無病息災を願って常緑樹を使ったり、豊穣の意味合いを込めて実が付いた植物をあしらったりと、日本のしめ縄飾りと意味や使う素材が良く似ていると感じます」
常緑樹は生命力の象徴
クリスマスと言えば、モミの木のツリーが有名ですが、クリスマスの飾りには、モミの木以外にもヒイラギやスギ・ヒノキなど、緑の植物が良く使われています。これは、寒い冬も枯れることなく青々と茂る常緑樹が、強い生命力の象徴とされているからです。また常緑樹から発せられる、殺菌作用のある香り成分(フィトンチッド)によって、病などの災いから身を守る「魔除け」として、飾られてきたそうです。
お部屋に飾るだけで、空気を浄化し、殺菌・消臭・防虫の効果がある常緑樹は、ウイルス性の風邪が流行するこの時期にピッタリな植物なのです。
大石さん「わが家のクリスマスデコレーションには、やはり毎年本物の植物を使っています。リースはもちろん、クリスマスツリーも市販のツリーではなく、コニファー(スギ・ヒノキの総称)を生けて、オーナメントを飾り付けます。コニファー以外にも、柳やヤシャブシの枝にオーナメントを付けても可愛いですよ」
ひとつひとつ表情が違う枝や木の実、葉っぱの香り。本物の植物に癒されながら、自分らしいクリスマスアレンジを楽しんでみませんか。
いつもと違う、自分のための大人リースを飾る
まるで雪が積もったようなグリーン×ホワイトのリース。クリスマスや新年にふさわしい清雅な雰囲気が漂います。
飾りには、質感や形、大きさが違う白の素材を集めてみましょう。白で統一しているので、全体がまとまりやすく、清潔感のあるアレンジになります。
グリーン×ブルー系の大人なハーフリース。ボリュームを半分に寄せることで、リースに動きやメリハリが生まれます。少ない素材で作ることができるのも嬉しいですね。
リースを平置きにして、真ん中にキャンドルを置くと、クリスマスのテーブルコーディネートの主役・キャンドルリースに変わります。
リースをケーキスタンドに乗せて、立体感のあるアレンジメントに。
さりげなさが魅力、クリスマスのスワッグ
ドイツ語で「壁飾り」を意味するスワッグ。お花や葉、実を束ねて、壁やドアに飾ります。束ねるだけの手軽さから、スワッグ作りを楽しむ人も増えてきました。ドライフラワーに適した生花で作ったスワッグは、長く飾ることができるので人気があります。
スワッグをテーブルに置いて、クリスマスの食卓を彩るフラワーアレンジメントとして使ってみてはいかがですか?
木の実やトウガラシの飾りは、固定せず差し込むだけでも大丈夫。まるでクリスマスツリーのような華やかなテーブルコーディネートが完成します。
身近な植物でつくる、クリスマスガーランド
パーティーやキャンプサイトの飾りつけとしてお馴染みの、三角旗が連なったひも状の装飾品「ガーランド」。今年は本物の花や植物をひも状につないだクリスマスのガーランドはいかがですか?お庭や公園で見つけた身近な素材を使って簡単に作れるのでぜひ挑戦してみてください。
材料
- コニファーやユーカリは、お庭や鉢植えで楽しんでいらっしゃる方も多いと思います。
- ヤシャブシやナンキンハゼ、シャリンバイは公園の木や街路樹として植わっているので、道端に落ちているかもしれません。(公園等の落ちている実は、拾っていいかどうか確認してください)
- シナモンや八角、トウガラシは、スーパーで手に入ります。
- 木工用ボンドは乾くまでに一晩かかります。グルーガンがあればそちらをご利用ください。
- ワイヤーは、細いゴールドのワイヤーを使用しています。
作り方
①順番に並べる
材料が揃ったら、どの順番にするかを決めて、並べてください。一番下になる植物は、長細い物の方が、先端がスッとのびて格好が良くなります。ヤシャブシやスターアニス(八角)、シナモンなど、同じ色や形状が続くと寂しくなります。間にグリーンや赤い実を挟むことでメリハリが生まれます。長さのあるものは長いまま使ってもらって大丈夫です。ユーカリも一枚じゃなく何枚かくっついていて大丈夫ですよ。
②ワイヤーで括る
下から順番にワイヤーを巻きつけていきます。ワイヤーを5周巻いたら、一番下だけはそのままだと取れてしまうので、根元からねじります。ワイヤーを巻いたところを隠すように、次の植物をおいてまた5周巻いていきます。ドライフラワーの難しいところは、きつく縛ると折れてしまうことです。かといって緩く縛ると取れてしまうので、その辺の力加減がちょっと難しいのです。抜けない程度に折れないように注意して巻いていきます。
生の植物を使う場合は、乾くと水分が抜けて茎が痩せてくるので、しっかりきつく巻いてください。
茎がないものは、本体に直接ワイヤーを巻きつけ、ねじって固定します。
一番上の終わりは、葉っぱで隠すようにするとスッキリ見えます。
③仕上げ
最後にフックに引っ掛けるための輪を作ってワイヤーを切ります。
ボンドは付けすぎると目立ってしまうので、裏側のワイヤーを巻いた場所にちょっとずつ付けてください。一晩乾かすと、ボンドは透明になって目立たなくなります。
ボンドが乾いたら完成です。ガーランドは縦・横どちらにに吊るしても大丈夫。ツリーに巻きつけても素敵です。
鏡の前に飾ると、鏡に映ってさらに美しく見えます。またリビングだけでなく、キッチンの窓辺やお手洗いのドアなど、気持ちがフッと緩む場所に飾ると癒されますよ。
暮らしに花をそえて
大石さん「お花をもっと楽しんでもらいたい、毎日の暮らしに花を飾ってもらいたい。そんな想いで毎日お花のアレンジメントを作っています。
リースやガーランドは、屋外に飾るとあまり日持ちはしませんが、屋内の日陰で涼しい場所なら長く楽しんでいただけます。せっかく作ったリースやガーランドは、クリスマスが過ぎてもぜひ飾ってくださいね」
植物作家/フィトセラピー協会認定フィトセラピスト(植物療法士)植物療法の視点からもお花を楽しむ「植物のワークショップ」を浜松近辺で開催。 月1回ドライフラワーとお花のアトリエ(浜松市西区)をオープンしています。
10年以上花屋、園芸店で勤務。出産を機に自然療法に興味を抱く。主婦湿疹になったことがきっかけでより深く植物に興味を抱いて植物療法(フィトセラピー)を学ぶ。植物の持つ力を広める為「植物に寄り添う暮らしの提案」をコンセプトにワークショップの開催、リースなどを制作、販売しています。浜松市在住 3児の母。