そこで今回は、身体への負担を配慮した軽量ランドセルに注目し、浜松発のナイロン製ランドセルブランド<ことゆくraccu>をご紹介します。従来のランドセルにはない軽さと収納力を追求した新しいランドセルについて、開発者の影山恵さん、和久田麻衣さんにお話しを伺いました。
小学生の荷物はどうしてこんなに重いの?
小学生が毎日通学で持ち歩く荷物が、年々増加しています。
重さの原因のひとつに、増え続ける教科書のページ数があります。一般社団法人教科書協会の報告では、令和3年度の小学校で使う教科書のページは、平成17年度に比べ、47.1%も増加しているそうです。さらに副教材や新しく追加された英語教材、タブレット端末など、子どもたちは親が驚くほどの荷物を背負って通学しています。
アメリカの小児科学会が出した数値によれば、成長期の子どもが背負う荷物は、体重の10~20%までが限度とのこと。それに対し、日本のランドセルの重さは天然皮革で1100g~1500g、人工皮革で900~1200gほどあり、荷物と合わせた重量は、小学1年生で平均3.6㎏、小学6年生で平均5.4㎏(参照:ランドセル工業会)と言われています。
「ランドセル症候群」とは?
「ランドセル症候群」という言葉を耳にしたことがありますか?
これは、体格に合わないランドセルや、重い荷物の影響を受けておきる、児童の身体や心の不調を表す言葉です。特に身体が小さい低学年の児童や通学距離が長い児童の負担は大きく、荷物の重さが原因で肩こりや腰痛を訴えたり、不登校になる児童が増加しています。2018年には文部科学省から教材を学校に置く「置き勉」を認める通知が出るなど、小学生の荷物の重さが原因の健康障害が関心を集めています。
最軽量モデルわずか680g!<ことゆくraccu>とは?
<ことゆくraccu>は、毎日の登下校をもっと楽しく快適に過ごしてほしいという、母親たちの願いから生まれた浜松発のランドセルブランドです。子どもを持つ親の目線でランドセルを一から見直し、軽くて大容量、教材を持ち運ぶことに最適なランドセルを提案しています。
最大の特徴は、業界トップクラスの軽量化ランドセル。本体の素材に強撥水加工のナイロン生地を採用したことで、重さわずか660g~770gに仕上げました。ランドセルのフォルムを踏襲したデザインとリュックのような使い心地が魅力の新しいランドセルです。
<ことゆくraccu>を企画・販売する合同会社ことゆく社は、小学生の子どもを持つ浜松市在住の母親2人が設立したランドセルメーカーです。『ことゆく』とは、古語で『ものごとがうまくいく、納得がいく』という意味。親と子の希望を詰め込み、子どもたちにとって本当に使いやすいランドセルを追求します。
浜松市在住。商品企画販売メーカーで商品開発・デザインを16年担当。育児をきっかけに退職後、meri designとしてデザインやイラストを製作。2018年、〈ことゆくraccu〉の商品化を契機に「合同会社ことゆく社」を設立。
(左)和久田麻衣さん浜松市在住。影山さんと同じ商品企画販売メーカーで販売・バイヤーとして勤務。出産をきっかけに退職後、ベビーグッズメーカーで商品企画を担当。「合同会社ことゆく社」の共同代表として、影山さんと<ことゆくraccu>を開発。
わが子の『肩が痛い』という声がきっかけ
<ことゆくraccu>のうれしい特徴
国内の鞄縫製のシェア7割を占める『かばんの街』で生産
革製品より軽くて柔らかなナイロン製のランドセルには、重い荷物を支えるための強度が必要です。<ことゆくraccu>では、国内の鞄縫製のシェア7割を占める兵庫県豊岡市でランドセルに適した素材を厳選し、丁寧に縫製することで、重い荷物に耐えうる軽くて丈夫なランドセルを実現しています。
兵庫県豊岡市は『豊岡鞄』で有名なかばんの街。豊岡市には鞄の縫製メーカーだけでなく、鞄作りに必要な生地やパーツ、鞄のスペシャリストが集まる街です。<ことゆくraccu>の縫製メーカーも、中学校、高校の通学かばんやデパートで販売されているかばんなど様々なかばんを縫製してきた実績があり、丁寧に仕上げてくれる安心のメーカーにお願いしています。
コンパクトでも大容量!
「ランドセルって重くて大きいのに意外と荷物が入らない」というお悩みは多いそうです。
一般的なランドセルは6年間使用するため、型崩れを防ぐ頑丈な作りになっています。ノートや教科書を入れるには適した四角い収納スペースですが、デッドスペースを活かすことには不向きです。<ことゆくraccu>はマチと背面に芯材を入れ、さらに軽量の底板を入れることで、ランドセルより柔らかく、リュックのように型崩れすることもありません。マチが広がるのでA4ファイルはもちろん、上履きや体操服、水筒までラクラク収納できます。
「体感重量」を軽くする
荷物を軽くするには、実際の重量を軽くすることに加え、身体で感じる「体感重量」を軽くすることが大切です。そのためには、荷物をできるだけ身体にフィットさせ、肩にかかる重さを背中や腰に分散させることが大事になります。
クッション性をアップした幅広肩ベルト
荷物の負担が大きい肩は、幅広でクッション性をアップした柔らかな肩ベルトでしっかりホールドします。
一般的なランドセルと比べ、長さの調節がしやすいので、こまめに長さを調節するのに便利です。
胸バックルで肩のずれ落ちを防止し、背中にフィット!
重さを分散させる胸バックルはワンタッチで着脱もカンタン。荷物が安定するので身体への負担が軽減されます。
夏は涼しく雨に強い!丈夫で軽い強撥水生地
<ことゆくraccu>に採用される生地は、ナイロン生地の中でもパソコン収納を想定したビジネスバッグなどに採用される傷や汚れに強い生地です。また、一般的なスクールバッグに採用される「弱撥水」とは異なり、「強撥水」にこだわることで、雨から荷物をしっかり守ります。背面は通気性の良いメッシュ地になっているので、夏でも蒸れません。
充実のポケット収納
リュックのようにポケットが充実しているのも<ことゆくraccu>の特徴です。適材適所に収納することで、荷物を効率よく収納することができます。
2023年4月入学用モデルは「もっと便利に」
ランドセルに本当に必要な機能だけを残し、軽さを追求してきた<ことゆくraccu>。2023年4月入学用モデルは、さらに使いやすさがアップしています。
ドイツ製マグネットホック
ランドセルといえば、ワンタッチ錠前など最新ギミックを搭載したパーツにも特徴があります。本革と相性の良いメタルパーツは、永く使用できる堅牢さと高級感を感じさせてくれますが、軽量化には不向きといえます。
<ことゆくraccu>では、かぶせ部分の開閉にプラスチック製のひねりホックを使用していましたが、最新モデルでは軽くて使いやすいドイツFIDLOCK製のマグネットホックを採用。近づけるだけでピタッとはまるので低学年の子どもでも簡単に開閉できます。
雨の日でも安心!固定できる「内ぶた」
雨よけ用の「内ぶた」が大きくなり、マジックテープで固定できるようになりました。これで雨の日でも安心して荷物をたくさん詰め込めるようになりました。
浜松のショールームで体感しよう!
百聞は一見にしかず。<ことゆくraccu>の開発者から直接お話を聞くことができるのは、地元浜松ならではの特権です。浜松市南区卸本町のショールームは、予約制でいつでも来店可能。浜松の小学校事情など、より具体的な先輩ママのお話を聞きながら、<ことゆくraccu>の軽さと使い勝手を実感してみましょう。
ランドセルは誰のため?
ことゆく社さんのお話で驚いたことは、じつは小学生の通学バックには、一部の地域や学校を除き、何の決まりもないということでした。使う本人が学校に通うのが楽しくなるのであれば、形や素材は何だっていいのかもしれません。
小学生だから、女の子だから、男の子だからと大人の価値観を押し付けるのではなく、子どもにとって何が必要なのかをじっくり考えるところから「ラン活」をはじめてみてはいかがでしょうか?
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