さて、フードコンサルタントの大城美加さんに教えていただく旬の食材を使ったかんたんレシピの第2弾は、秋の食材の代表格「さつまいも」を使ったごはんに合うおかずです。浜松は古くからさつまいもの産地として知られ、毎年この時期になると、どこのご家庭でも学校やご親戚、お知り合いからさつまいもを沢山いただきますよね。
さつまいものレシピといえば、大学いもやスイートポテトなど定番スイーツが思い浮かびますが、毎日食べるのはちょっと辛いところ。お家のお芋がなかなか減らない、と困ったことはありませんか?
そこで今回は、毎日の食卓に並ぶおかずの一品としてさつまいもを食べることで、手軽に栄養いっぱいの秋の味覚をいただきましょう。とっても簡単な春巻きの皮を使った絶品アップルパイも合わせてご紹介します。
大城美加さん(フードコーディネーター)
フードコーディネーター、製菓衛生師、ジュニア野菜ソムリエ、静岡県6次産業専門家。
お菓子の商品開発の仕事を経験後、パリのリッツエスコフィエで、パティスリーコース全過程修了しディプロマ取得。
2007年から食の教室「おいしいアトリエ」を主宰し、本格的なフランス菓子や子供向けお菓子教室、野菜教室を開講。また、飲食店舗のレシピ開発や食育講座の開催など、食をテーマに活動の場を広めている。浜松市在住、2児の母。
栄養満点のさつまいも
秋に収穫を迎えるさつまいもは、腸内環境を整え、便秘解消に役立つ食物繊維や、お肌の調子を整えるビタミンが豊富で、女性に嬉しい食材です。このほか、血圧を下げ、むくみを予防するカリウムも多く含まれており、栄養満点の健康食材といえます。
さつまいもは、収穫したあとに天日で乾かし、2〜3週間おいた方が甘くなります。また、日本で最も多く流通している「紅あずま」は、収穫後一定期間貯蔵され、12月〜2月頃に出回るものが甘みが強いそうです。
とはいえ、収穫したお芋を家庭で上手に長期貯蔵するのは難しいもの。甘みが足りないと感じたさつまいもは、じゃがいも感覚でおかずとしてどんどん調理していきましょう。
浜松のさつまいも
浜松市のさつまいも栽培の歴史は古く、江戸時代まで遡ります。地温が高くなる遠州灘の砂地で育つさつまいもは、7月から8月にかけて出荷される「早掘り甘藷(かんしょ)」として有名です。
近年、さつまいもの品種改良が進み、甘みの強い様々な品種のさつまいもが出てきてきますが、ここ浜松でも、浜名湖産のうなぎの骨や頭などを肥料にして育てた「うなぎいも」という甘くて美味しいさつまいもの品種も誕生しています。
保存方法
さつまいもの鮮度を保つ、上手な保存方法のコツを紹介します。
泥は洗わず保存
収穫したばかりのおいもは天日で乾かし、泥は洗わず払い落とした状態で保存します。さつまいもは水が付いたところから傷んでしまうので、水洗いは厳禁です。比較的涼しい時期なら、一本ずつ新聞紙で包み、穴をあけた段ボールやかごに入れて、風通しの良い冷暗所で保存しましょう。
暑い時期は冷蔵庫で保存
暑い時期は冷蔵庫がおすすめです。乾燥を防ぐため、新聞紙で包んだおいもを保存バッグにいれて保存しましょう。
冷凍保存もOK
マンションなど、冷暗所と呼ばれるような場所がなく、冷蔵庫もいっぱいの時は、思い切って冷凍保存にチャレンジしましょう。
生のさつまいもを料理で使いやすい輪切りや乱切りにカットし、水にさらしてからペーパータオルで良く水分をふき取りましょう。フリーザーバッグに入れて冷凍し、使う時は凍ったまま調理します。
さつまいものそぼろ和え(4人分)
我が家の定番料理「じゃがいものそぼろ和え」をさつまいもでアレンジ。しっかり味付けしたそぼろと和えることで、さつまいもの甘味とそぼろの塩味が白いごはんにぴったりな秋のおかずになりました。ほかにもカレーやコロッケなど、じゃがいもの代わりにさつまいもを使うことで、さつまいも料理のレパートリーが一気に増えそうです。
材料
(4人分)
- さつまいも 約350g(中サイズ2本くらい)
- 豚ひき肉 150g
- 生姜 ひとかけ(すりおろし)
- きび砂糖 大さじ2
- 水 大さじ3
- みりん 大さじ1
- しょう油 大さじ2
- 片栗粉 小さじ1/2(同量の水と合わせる)
- サラダ油 揚げ用適宜
- ねぎ(小口切り) 適宜
作り方
- さつまいもは乱切りにして水にさらす。
- 水気をきって中温(170℃前後)で素揚げする。
- フライパンを熱し、豚ひき肉を少量の油で炒め、生姜のすりおろしを加える。
- きび砂糖、水、みりん、しょう油を加える。
- 同量の水で溶いた片栗粉を加え、ひと煮立ちさせる。
- 素揚げしたさつまいもを合わせ、小口切りのねぎを散らす。
時々まぜながら5分ほどじっくり揚げます
水分を飛ばし過ぎないように手早く和えます
りんごの春巻き(4人分)
誰でも手軽に楽しめるように、春巻きの皮を使ったアップルパイを考案してみました。春巻きの皮と侮るなかれ。これがなかなかの美味しさで、家族の太鼓判もいただきました。夜ごはんの献立が揚げ物の日は、おやつにささっと手作りアップルパイを作りませんか?
材料
(4人分)
- りんご 1/2個 (約100g)
- きび砂糖 20g
- シナモンパウダー 小さじ1/3
- パン粉 10g
- 春巻きの皮 4枚
(接着用)
- 小麦粉 5g
- 水 5g
作り方
- りんごの皮は剥かずに、4㎜程度にスライスし、細切りにする。
- きび砂糖、シナモンパウダーを加えてさっと混ぜる。
- りんごの水分が出てきてキラキラしてきたらパン粉を加えてさっと混ぜる。
- 春巻きの皮で包む。
- 接着用の小麦粉と水を混ぜ、春巻きの閉じ終わりを接着する。
- 中温の油で両面を揚げる。(約4分)
りんごは皮つきのまま厚めにスライス
パン粉がりんごの水分を吸って、外はカリッ、中はしっとりの仕上がりに
約18㎝の仕上がりを目指して細長く巻きます
りんごのワックスのお話
国産りんごにワックスは使用されていません
食の安全に関心が高まる中、りんごの皮をそのまま使うことに、抵抗がある方も多いと思います。時々見かける表面が光ってベトベトしたりんごは、いかにもワックスが沢山塗ってありそうですよね。でもじつは勘違い。国産のりんごにはワックスは使用されていません。
ではあのベタベタの正体は?
りんごの表皮は、透明で滑らかな天然のろう物質の膜で覆われています。りんごが熟するにつれて表皮細胞からリノール酸やオレイン酸という脂肪酸が分泌されます。これらの脂肪酸が、そのろう物質を溶かすために、表面が光りベタベタした状態になります。
りんごは、天然のワックスで自ら水分の蒸発を防ぎ、病原菌から身を守っているのです。
りんごの皮にはポリフェノールがいっぱい
ワックスの問題が解決しても、農薬が心配という方も多いと思います。日本のりんごに関しては、残留農薬の基準がとても厳しいので、しっかり水洗いしたものであれば、問題なく皮ごと食べられるそうです。
また、りんごの皮には100種類以上のポリフェノールが実の4倍の量で含まれているそうです。そのほかカリウム、食物繊維、ビタミンCなど栄養たっぷり含まれでいますので、食べずに捨てるのはもったいないかもしれません。
季節を感じる家庭料理を食卓に
新しい季節を迎えるたびに、何を作ろうかと心が躍ります。秋は特に食材が豊富で、レシピを絞るのが大変でした。
毎日の食事だからこそ簡単に楽しめる工夫を見つけて、季節を感じる家庭料理をお楽しみください。
大城美加 「おいしいアトリエ」
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