「不動産買取は高額な手数料がかかる?」
不動産買取に対して、このような疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
しかし不動産買取では売却の手数料は不要です。
この記事では不動産買取に手数料がかからない理由や、買取に必要な費用、買取をおすすめできるパターンを解説します。
遠鉄の不動産・浜松北ブロック長 影山 裕紀(かげやま ひろき)
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、ITパスポート
不動産買取では「仲介手数料」がかからない
仲介手数料とは、売買契約締結後、不動産会社の仲介業務に対して支払う成功報酬です。
不動産会社の仲介業務
- 不動産売買の相談対応
- 売買の相手先を探して条件交渉
- 契約締結
- 決済
- 引き渡しと一連の業務
仲介手数料は、売買金額が400万円超であれば、売買金額の3%に6万円を足した金額に消費税を加えた金額が上限と定められています。
例えば3,000万円の売買金額であれば、仲介手数料の上限は1,056,000円となります。
一方不動産買取とは、不動産会社が売買当事者である買主となって直接売主から不動産を買い取ることをいいます。
仲介による売買とは異なり、仲介業務も発生していないため仲介手数料が不要となるのです。
不動産買取で発生する税金
不動産買取による売却でも、次に挙げる税金は仲介による取引と同様に発生します。
印紙税
印紙税とは、売買契約書の作成にともない国に納める税金です。
不動産買取では、売主は買主となる不動産会社と売買契約を締結する際、売買金額に応じた額の収入印紙を売買契約書に貼付しなければいけません。
この収入印紙購入の際に支払った金額が、印紙税となります。
印紙税は、記載された額が1万円以上の契約書から課税されます。
ただし売買契約書に発生する印紙税には、税率を軽くする「軽減税率」が講じられています。
2022年3月31日までの間に作成される売買契約書では、売買金額によって下表の通り税額が変わります。
売買金額 | 印紙税額 | |
本則 | 2022年3月31日まで | |
500万円超1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000千万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円を超1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
(参考:国税庁ホームページ)
登録免許税
登録免許税とは、土地の売買、家屋の所有権の保存登記や移転登記、ローンを利用した場合の抵当権設定登記や抹消の手続きなどに際して国に納める税金です。
不動産を売買したら所有権の移転登記、不動産に抵当権の登記があれば抵当権の抹消登記も必要になります。
譲渡所得税・住民税(売却で利益が出た場合)
不動産の売却によって得た所得を譲渡所得といいます。
譲渡所得は所得税と住民税の課税対象ですが、売却で利益が出ない(譲渡所得がマイナスになる)場合には課税対象となりません。
譲渡所得は、不動産を売却した金額から購入した不動産の取得費に譲渡費用を足した金額を差し引いて求めます。
このとき算出した金額が、特別控除の適用範囲内であれば、さらに特別控除額を差し引きます。
譲渡所得は「分離課税」といって、給与所得など他の所得と分けて単独で税金を計算します。
その際、税額の計算では注意しなければならないポイントがあります。
所有期間
所得税と住民税の税率は、不動産を売却した年の1月1日時点で、売却した不動産の所有期間が5年以下か5年を超えているかで大きく変わります。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% |
(引用元:国税庁ホームページ)※上記税率には復興特別所得税が合算されています。
所有期間が10年以上の場合は、軽減税率の特例によって税率が変わります。
所有期間 | 課税譲渡所得額 | 所得税率 | 住民税率 | |
10年超所有軽減税率の特例 | 10年超 | 6000万円以下の部分 | 10.21% | 4% |
6,000万円超を超える部分 | 15.315% | 5% |
(引用元:国税庁ホームページ)※上記税率には復興特別所得税が合算されています。
マイホームを売却した場合
マイホームを売却した場合、一定の要件を満たすと最大3,000万円の特別控除が受けられます。
この他、特定のマイホームの買い換えにおいて要件を満たす場合には、譲渡で得た利益に対する課税を将来に先延ばしできる特例などがあります。
譲渡損が出た場合
譲渡損が出た場合には所得税、住民税の課税対象とはなりません。
マイホーム及び敷地の買い換えや取得の際に譲渡損失が発生した場合、一定の要件を満たせば、譲渡損失と他の所得を合算して翌年以降へ繰越可能です。
不動産買取では売却価格が安くなる
一般的に不動産買取による取引価格は、およそ7割前後になるといわれており、不動産仲介で成立する取引価格と比較すると安くなります。
不動産仲介によって売買が成立した場合、不動産会社は仲介手数料を報酬として受け取れますが、不動産買取の場合には仲介手数料がありません。
物件を売却できなかった場合、在庫として抱えるリスクを避けながら、不動産会社が買取で利益を得るためには、買い取った不動産にリフォーム工事やリノベーション工事を施して付加価値を付けて、買取価格よりも高く売却しなければなりません。
またリフォーム工事やリノベーション工事の設計費用や管理費用、物件を売却するための広告宣伝費、人件費など、不動産会社が支払うさまざまな費用も売却価格に影響します。
さらに不動産買取を行った不動産会社は不動産取得税、登録免許税などの税金を納めることになります。
以上のことから、不動産会社がリスクや費用を負う分、利益も得られるように不動産買取での売却価格は仲介よりも安くなるのです。
不動産買取の売却価格については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
不動産の売却方法は、不動産会社に買主を探してもらう「仲介」と、不動産会社に物件を直接買い取ってもらう「買取」の2種類です。 買取は、仲介のように買主を探す必要はありませんが、売却価格が相場の7割程度になってしまいます。 […]
不動産買取はこんな人におすすめ
不動産買取がおすすめなのは、以下のようなケースです。
- 不動産をすぐに売りたい
- 周囲に知られずに不動産を売りたい
- 仲介ではなかなか買主が見つからなかった
- 不動産を相続したが早く現金化したい
詳しく見ていきましょう。
不動産をすぐに売りたい
転居などで不動産をすぐに売りたい方に、早期に売却が完了する不動産買取がおすすめです。
不動産仲介による売却は、開始から完了まで数か月以上要することがあります。
不動産会社が広告宣伝を行い、購入希望者を探し、売却物件の内覧、条件交渉を経て契約という手順が必要であること、売主が転居すると、内覧対応や条件交渉を行いにくいことなどがその理由です。
不動産買取では不動産会社と条件で合意できれば、すぐに売却できます。
周囲に知られずに不動産を売りたい
不動産の売却活動を周囲に知られたくない方にも、不動産買取はおすすめです。
仲介による売却では、仲介の不動産会社が買主を探す際にチラシやインターネットなどを使って宣伝活動を行うため、不動産の売却が周囲に知られてしまう可能性があります。
一方不動産買取では不動産会社が買主となるので、周囲に知られることなく不動産を売却可能です。
仲介ではなかなか買主が見つからなかった
あまり人気のないエリアだったり、間取りが特殊なために大規模なリフォームが必要だったり、事故物件として告知義務が必要だったりする不動産は需要が限定的なため、仲介ではなかなか買主が見つからないことがあります。
しかし不動産買取であれば、不動産会社ならではの視点による活用を見込むことで、スムーズに売却できる可能性があります。
不動産を相続したが早く現金化したい
相続税を納めるため、早期に不動産を現金化しなければならないケースがあります。
相続税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告・一括納付しなければなりません。
不動産を相続した場合、不動産の評価額(=相続税評価額)が相続税の算出方法として用いられます。
相続税は土地と建物、それぞれに発生するので、土地と建物を分けて評価額を算出します。
相続税の概算に基づき納税予定額を確認しますが、手元に一括納付可能な額の現金が不足していれば、現金化が見込めそうな不動産から売却して、納税資金を確保します。
まとめ
不動産買取では早期に売却が完了し、仲介手数料不要というメリットがある反面、売却価格が実際の取引価格より安くなる可能性が高いというデメリットもあります。
しかし売主や売却したい不動産の状況によっては、デメリットを大きく上回るメリットを享受できます。
不動産買取は、不動産会社に資力と不動産取引の豊富なノウハウが必要です。
不動産買取を検討する場合、信頼のおける不動産会社に相談することをおすすめします。
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