しかし空き家の解体には費用が発生するため、気軽に決断はできません。
この記事では、空き家の解体にはどの程度の費用がかかるのか、メリットやデメリットはあるのかなど、空き家の解体を検討するために必要な情報を紹介します。
遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級
空き家の解体費用の相場
一般的な空き家の解体費用は以下のとおりです。
【構造別空き家の解体費用の相場】
空き家の構造 | 費用相場(坪単位) |
木造 | 3万円から5万円 |
鉄骨造 | 4万円から7万円 |
RC(鉄筋)造 | 6万円から8万円 |
ただし空き家の解体費用はさまざまな理由で変動するため、上記の価格には当てはまらないこともあります。
空き家の解体費用を左右する要素として、以下のようなポイントがあげられます。
- 建物の構造
- 建物の階層(何階建てか)
- 建物の立地
- 解体を依頼する会社の方針
正確な費用を知りたいときは、不動産会社や解体業者に見積もりを依頼しましょう。
同じ解体工事でも会社によって料金が異なるため、複数社の見積もりを比較すると適切な費用がわかります。
空き家を解体するメリット
空き家に資産価値がない場合、解体することにはさまざまなメリットがあります。
古家付き土地よりも高く売却できる
一般的に、古家付きの土地は似た条件の更地より安い価格で売却されます。
既存の空き家を住宅として活用することが難しい場合、新たに家を建てる際には解体が必要になるためです。
解体には相応の費用がかかるので、同じ価格であれば古家付きより更地の方が需要は高くなります。
また空き家を解体し更地で売却すれば、買い手も付きやすくなるでしょう。
空き家の管理が不要になる
人の住んでいない空き家は、放置していると傷んでしまいます。
適切な状態を維持するためには、空き家の定期的な修繕や清掃、草刈りなどの管理が必要です。
そのため活用が難しい空き家を解体することで、管理の費用や手間を省けます。
土地として活用できる
空き家を解体すれば、土地としての活用が可能になるため用途が大きく広がります。
駐車場経営や土地の貸し出しなど、エリアの需要に応じた活用方法を選択すれば、継続的な収入源にもなるでしょう。
空き家を解体するデメリット
メリットが存在する一方、空き家の解体にはデメリットもあります。
解体を決定してから後悔しないよう、あらかじめ注意すべきポイントを把握しておきましょう。
解体費用がかかる
一般的に空き家の解体には、まとまった額の解体費用が発生します。
金額は建物の構造や面積で異なりますが、100万円を超えることも珍しくありません。
放置される空き家が増加する背景には、高額な解体費用も一因としてあげられます。
固定資産税の軽減措置が受けられない
固定資産税は土地と建物それぞれに課税される税金です。
住宅が建っている土地には、通常「住宅用地の特例」が適用されており、固定資産税が最大で6分の1に軽減されます。
住宅用地の特例は一部を除き空き家も対象のため、建物を取り壊すことで土地にかかる税金が跳ね上がる恐れがあります。
空き家は所有しているだけで「固定資産税」がかかります。また、空き家があるエリアによっては「都市計画税」も課税の対象です。 また、空き家を適切に管理せずに放置すると、固定資産税や都市計画税の負担が6倍に増加する恐れがあります。 […]
空き家の解体に補助金は利用できる?
放置された空き家は、地域の治安維持や防犯に悪影響を及ぼします。
この問題を解決すべく、多くの地方自治体で、空き家の解体に補助金を用意しています。
補助の金額や割合は市町村によって異なり、解体にかかった費用のうち1/3~1/2程度、金額にして30万円から100万円前後を補助するケースが一般的です。
自治体によっては、空き家のなかでもとくに老朽化が著しい「特定空家」のみを補助金の対象にしていることもあります。
このほかにも市町村によって異なる要件が設けられているため、空き家の建っている市町村の制度を確認してみましょう。
空き家の解体費用がない場合は?
空き家の解体費用が捻出できない、補助金を利用しても解体は難しいというケースでは、どのように対処すればよいのでしょうか。
解体費用が用意できない場合の選択肢を考えてみましょう。
ローンを利用する
空き家問題の深刻化を受け、地方銀行を中心に多くの金融機関で「空き家解体ローン」が用意されています。
空き家解体ローンは「担保や保証人は不要」かつ「金利1.5%から3.5%」が契約条件となっていることが一般的です。
ただし契約条件は利用する金融機関やご自身の経済状況によっても変化します。
古家付き土地として売却
仲介を利用して、空き家の建っている土地を「古家付き土地」として売却する方法です。
空き家の立地や状態などの条件が需要と合っていれば、古家付き土地でも買い手が見つかる可能性があります。
ただし「古家付き土地」の建物は中古物件としての価値がほとんどないことから、同じ立地条件の更地と比べて売却価格は安くなります。
新たに家を建てる場合は、購入後の空き家の解体が前提となります。
そのため同じ価格であれば、古家付き土地ではなく更地を選ぶ人が多いでしょう。
また古家付きであることを理由に、購入希望者から売却希望価格より低い価格で指値(価格指定)が入ることも考えられます。
仲介を利用して売却する場合、更地より不利な条件での売却となる可能性も視野に入れておきましょう。
不動産会社に「買取」を依頼する
仲介を利用した個人間売買のほかに、不動産会社の買取サービスを利用して売却することもできます。
- 「古家付き」「残置物あり」など不利な条件でも買取可能
- 購入希望者を探す必要がなく現金化が早い
- 売却価格が明確
現金化を急ぎたい、購入希望者がなかなか現れないといったケースでは、不動産会社の買取りサービスを活用しましょう。
ただし買取は仲介と比較して売却価格が低くなる傾向にあります。
それぞれのメリット・デメリットを把握した上で、ご自身の条件に合った選択肢を検討しましょう。
まとめ
空き家の解体にはさまざまなメリットがある反面、解体費用の発生や土地の固定資産税の増加など経済的なデメリットも存在します。
しかし空き家の放置は近隣への悪影響など、さまざまなリスクをはらんでいます。
空き家の活用が難しいのであれば、解体や売却など何らかの対策を取ることが望ましいでしょう。
解体費用が捻出できない場合、ローンの利用や古家付き土地としての売却も選択肢に入ります。
対応に悩んだときは、信頼できる不動産会社に相談してみましょう。
(執筆者:いちはらまきを)
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