‌ ‌ ‌ ‌

売る?貸す?決め手となる3つのポイント

  • 2020.04.01
  • 2023.07.07
  • 売る
「住宅を売るか貸すか、どうやって決めたらいいのだろう」
「せっかく購入したマンション、売るのと貸すのはどちらがお得なの?」所有している戸建て住宅やマンションを手放すには「売る」と「貸す」という2つの選択肢があります。
売るか貸すかを決めるときは、お金の収支はもちろん、それぞれのリスクを考慮することも重要です。今回は住宅の「売る」「貸す」を決める際のポイントをご説明します。

遠鉄の不動産・浜松ブロック長
石岡 靖雅(いしおか やすまさ)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、家族信託コーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

ポイント1.所有者全員の意向を明確に

まずは住宅所有者の意向を確認しましょう。
複数で所有している場合は、全員の意向を確認してから手続きを進めることになります。
所有者全員で一致すればスムーズに進められますが、意見が分かれる場合は納得いくまで話し合いをして意向をまとめる必要があります。

売るか貸すかの基本的な違いは「売却して現金を得るか」「賃貸にして継続的な収入を得るか」です。
他にも売却か賃貸かを決めるための基準として、次のような点が挙げられます。

【売るのに適している場合】

  • 物件管理が面倒だ
  • すぐにまとまった現金を手にしたい
  • 金融商品や保険で資産運用したい

【貸すのに適している場合】

  • 思い入れがあって手放したくない
  • 将来また住む可能性がある
  • 賃貸収入を得たい

まずは「どのように住宅を扱いたいか」という所有者の意向のすり合わせが大切です。

また投資活用したい場合でも、所有している物件の投資価値が低い場合もあります。
その場合は所有物件を一度売却してから、投資用として新たに価値の高い物件を購入する方法も考えましょう。

ポイント2.収支を計算する

次に売る場合と貸す場合の収支を計算します。
不動産会社に収支の計算を依頼すると、売却と賃貸それぞれの査定を出してくれます。

10年前後の期間で計算するのが一般的です。
収支や固定資産税、所得税などを含めて試算しておきましょう。
税務署や無料税務相談などを利用すれば、自分でも税額の確認ができます。

売る場合と貸す場合の具体的な計算内容について詳しく解説します。

売る場合の費用計算

売った際は売却代金が入りますが、不動産会社への仲介手数料などの費用が差し引かれます。
売却によって利益が出た場合は、譲渡所得に対して税金がかかります。

ただし譲渡所得には特例があり「居住用の不動産は3,000万円まで特別控除の対象」となるため、実際に税金が発生するケースは少ないでしょう。

売るときにかかる費用

  • 不動産会社への仲介手数料(上限は売買代金の3%+6万円)
  • 所得税(譲渡所得が発生した場合)
  • 売買契約書の印紙税
  • 住宅ローンの残債(ある場合)
  • 抵当権抹消等登記費用(ローン残債がある場合)
  • 不用品の処分費
  • 修繕費・クリーニング費
  • 測量費・解体費(戸建ての場合)

賃す場合の費用計算

貸す場合には入居者の賃料や共益費、礼金が収入となります。
一方、貸し出す前のリフォーム費用や管理費をはじめ、固定資産税や所得税なども発生するため、支出も含めた収支計算が必要です。

収支の計算式は下記のようになります。
(賃料・共益費×12ヶ月×10年間)+(礼金・更新料×頻度)

ただし賃貸運営では空室が続く可能性もあります。
入居しやすいようにと、敷金や礼金を下げることもあるでしょう。

敷金や礼金を下げると、入居のハードルは下がるものの更新時に退去され、リフォーム費用や仲介手数料が発生し利益が少なくなることが考えられます。

仕事をしながら賃貸収入を事業収入として得る場合は、税金の計算方法が変わる点にも注意が必要です。
給与所得などに不動産所得が加わり、税率が上がる可能性もあります。

貸すときにかかるお金

  • 入居前の修繕・クリーニング費
  • 仲介手数料(基本1ヶ月分)
  • 入居者管理・建物管理の委託料(相場は賃料の5〜10%ほど)
  • 管理費・修繕積立金(マンションの場合)
  • 固定資産税・都市計画税
  • 故障・トラブル対応費用
  • 保険料や通信費など

ポイント3.リスクを考慮する

売る場合にも貸す場合にもリスクが伴います。

売る場合のリスク

住宅を売却する際のリスクとなるのが「契約不適合責任」です。
万が一売却物件に契約の内容に適合しないものがあった場合、買主が売主に対して修繕費や損害賠償費用などを請求できることが法律で定められています。

契約不適合責任を回避するためには、売却前に不動産会社に相談をして住宅診断を受けて細かく調べておくことがおすすめです。

貸す場合のリスク

賃貸にする場合には、主に3つのリスクが考えられます。

  • 空室のリスク
  • 滞納のリスク
  • 劣化のリスク

入居者が退去してしまい、次の入居者が決まらない間は家賃収入はありません。

家賃滞納が発生する可能性もゼロではありません。
滞納された場合、維持費用は大家が負担することになります。
何ヶ月も滞納が続くときは、夜逃げなどの可能性も出てくるので要注意です。

住宅の劣化もリスクのひとつです。

劣化は時間とともに生じるものですが、住まいの使い方が悪いと劣化が加速してしまいます。
モラルのない入居者の場合、ペット禁止や禁煙などのルールを無視することも考えられます。

契約によっては退去時の修理を入居者負担にできますが、ケースバイケースなので大家が支払う可能性もあるでしょう。

「売る」も「貸す」も将来を見据えて

売る場合も貸す場合も「最終的にどう不動産を活用したいか」を重視して、今後の人生設計の一部として考える必要があります。

将来的に結婚や出産を考えている30代前半の方と、定年が近い50代後半の方とでは選択肢が異なるように、状況によって選ぶべき不動産の活用方法も違います。

また「投資のゴールをどこに定めるのか」という出口の検討も必要です。
あくまでも人生設計の一部として、将来を視野に入れながら、有益な資産運用ができるように検討しましょう。

まとめ

住宅を売るか貸すか決めるためには、収支だけでなく所有者の意向やリスク対策も含めて検討しましょう。

一見すると売却はリスクが低く感じられますが、希望価格で売却できなかったり、契約不適合責任が生じたりする可能性もあります。
また賃貸の場合は継続的な収入が期待できますが、物件管理や空室時の対応、家賃滞納のリスクなどが発生します。

売る場合も貸す場合も、まずは住宅のプロである不動産会社に相談しましょう。

▼不動産の売却をご検討の方 詳しくはこちら▼

売りたい人も買いたい人も
▼遠鉄の不動産へお問合せください▼