‌ ‌ ‌ ‌

古家付き土地は売却できる?注意点や解体費用などをわかりやすく解説

売却予定の土地に老朽化が進んだ建物が建っている場合、それを取り壊して更地にしたうえで売りに出されるケースは少なくありません。

一方で建物を取り壊さずに古家が付いた土地(古家付き土地)として売りに出した場合でも、買い手が見つかることがあります。

本記事では、古家付き土地として売却するメリットやデメリット、注意点などをわかりやすく解説します。

遠鉄の不動産・浜松ブロック長
石岡 靖雅(いしおか やすまさ)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、家族信託コーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

 古家付き土地とは

古家付き土地とは、築年数が経過した建物が経っている土地のことです。

建物は、基本的に築年数の経過とともに老朽化が進んで価値が減っていくため、木造住宅の場合は築22〜25年ほどで無価値になるといわれています。

築年数が古い家を相続したときや、長年にわたって居住した家を売却するときは、価値のない建物が付いた土地として売却されるケースがあります。

古家付き土地として売却するメリット

古家付き土地として売却する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 建物の解体費用がかからない
  • 土地の固定資産税が高くなる前に売却できる
  • 建物を建てたときのイメージがしやすい

建物の解体費用がかからない

建物を取り壊して更地にしてから売却する場合、解体費用がかかります。
土地を売却できたとしても、多額の解体費用がかかると手元に残る金額が少なくなるかもしれません。

その点、古屋付土地の場合、建物を解体するための費用や時間がかかることなく売りに出せます。

土地の固定資産税が高くなる前に売却できる

土地の上に人が住むための建物が建っている場合、固定資産税に「住宅用地の特例」が適用されて税額が軽減されます。

しかし建物を解体して更地にすると、住宅用地の特例は適用されなくなるため、固定資産税の負担が最大6倍に増えてしまいます。

古家付き土地として売りに出すことで、住宅用地の特例が引き続き適用されて固定資産税は減額されたままとなるため、じっくりと売却活動を進めやすくなるでしょう。

建物を建てたときのイメージがしやすい

更地として売却する場合、建物はすでにないため、購入希望者は実際の日当たりや騒音の有無、2階からの眺めなどを確認できません。

その点、古家付き土地であれば建物が建ったままであり、購入希望者は実際の状況を確認したうえで購入すべきか判断できます。
建物を取り壊して新居を建てたあとの暮らしも想像しやすいでしょう。

古家付き土地として売却するデメリット

古家付き土地として売却する主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 買い手が見つかりにくくなることがある
  • 価格が安くなりやすい

買い手が見つかりにくくなることがある

古屋付き土地を購入する人の多くは、購入後に建物を取り壊して更地に戻します。
建物の解体費用がかかる分、更地よりも買い手は見つかりにくい傾向にあります。

また建物の解体費用は、住宅ローンの借入額に含められません。
まとまった現金が必要になりやすいことも、古家付き土地の買い手が見つかりにくい主な要因といえます。

価格が安くなりやすい

古家付き土地の購入を検討している人は、基本的に建物の解体費用がかかることを想定しています。

そのため更地として売りに出す場合の価格から、少なくとも解体にかかる費用の分だけ安くしなければ買い手は見つかりにくいため、売却価格が割安になる傾向があります。

古家付き土地の売却にかかる費用と税金

不動産を売却するときは、費用や税金などがかかります。
ここでは古家付き土地の売却時にかかる主な費用や税金をみていきましょう。

売却時の主な費用

古家付き土地を売却するときは、以下の費用がかかります。

  • 不動産会社に支払う仲介手数料
  • 土地境界確定測量の費用
  • その他調査・工事の費用

仲介手数料は、不動産会社に仲介を依頼し売却活動をサポートしてもらったときにかかる手数料です。
金額は不動産会社によって異なりますが、法律により上限は「売却価格×3%+6万円」と定められています。

隣の土地との境界が明確でない場合は、土地家屋調査士に依頼して土地境界を確定し、地積測量図や境界確認書を作成してもらうのが一般的です。
土地の境界を確定するための測量や書類作成の費用は、数十万円ほどかかることがあります。

他にも、土地汚染の調査などをすると追加の費用がかかることがあります。

売却時の主な税金

古家付き土地を売却するときにかかる主な税金は、以下のとおりです。

  • 所得税・住民税:不動産の売却益(譲渡所得)にかかる税金
  • 印紙税:売買契約書に収入印紙を貼付して納める税金

所得税

課税の対象となる譲渡所得(課税譲渡所得金額)の計算方法は、以下のとおりです。

  • 課税譲渡所得金額=譲渡価額−(譲渡費用+取得費)−特別控除額

※譲渡価額:土地の売却価格
※譲渡費用:仲介手数料や測量費、建物の取壊し費用などの諸経費
※取得費:土地の購入価格
※特別控除額:マイホーム(居住用財産)を売った場合や、公共事業などのために土地や建物を売った場合などに受けられる特別控除

単に譲渡所得という場合は、基本的に特別控除額を差し引く前の金額を指します。

譲渡所得にかかる税金(いわゆる譲渡所得税)は「課税譲渡所得×税率」で計算します。
税率は、以下のとおり売却した年の1月1日時点における所有期間に応じて決まります。

  • 5年以下(短期譲渡所得):39.63%(所得税率30.63%+住民税率9%)
  • 5年超(長期譲渡所得):20.315%(所得税率15.315%+住民税率5%)

※2037年(令和19年)までは、所得税額の2.1%が復興特別所得税として徴収されます。上記は、復興特別所得税を合算した税率です。

印紙税

印紙税の税額は、売買契約書に記載された金額によって決まります。
また売買契約書が2014年(平成26年)から2024年(令和6年)のあいだに作成されている場合は、軽減措置が適用されます。

例えば売買契約書に記載された金額が2,000万円であり、かつ軽減措置が適用された場合の印紙税額は5,000円です。

古家付き土地を売却するときの注意点

古家付き土地を売却するときの主な注意点は、以下の2つです。

  • 契約不適合責任を免責にする
  • 適用できる特別控除や特例制度を確認する

契約不適合責任を免責にする

契約不適合責任とは、売買契約書に記載された契約内容に適合しないものを引き渡したときに売主が負う責任のことです。

例えば不動産が引き渡されたあと、売買契約書に記載されていないシロアリ被害が発覚した場合、買主は売主に対して該当箇所の修繕や修繕費用の請求などができます。

建物の老朽化が進んでいる場合、所有者がすべての欠陥を把握するのは困難です。
専門家に調査を依頼する方法もありますが、すべての欠陥を把握できるとは限りません。

そこで古家付き土地を売却する場合は、契約不適合責任を免責にすると良いでしょう。
買主との合意が得られると、特約によって契約不適合責任を免責でき、引き渡し後に売買契約書に記載されていない欠陥が発覚しても責任を負わずに済みます。

適用できる特別控除や特例制度を確認する

古家付き土地を売却する場合は、譲渡所得にかかる税金の負担を軽減できる特例制度を適用できないか確認しましょう。

例えば亡くなった人から相続した空き家を売却する場合は、所定の要件を満たすと「相続空き家の3,000万円特別控除」を適用でき、譲渡所得税を計算する際に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。

また居住していたマイホーム(居住用財産)を売却するときは「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を適用することで、最高3,000万円までの譲渡所得が非課税となります。

古家付き土地を売却するときは、不動産会社や最寄りの税務署などに相談し、適用できる制度や要件、申請方法を確認しておくと良いでしょう。

古家を取り壊して更地にしたほうが良い場合もある

建物を取り壊して更地にして売却したほうが良いケースは、以下のとおりです。

  • 早く売却したい場合
  • 高値で売却したい場合

古家付き土地よりも更地のほうが、買い手が見つかりやすい傾向にあります。
一刻でも早く売却したい場合は、建物の解体費用を負担してでも更地に戻すのもひとつの方法です。

また更地に戻したほうが高値で売却しやすいです。
古家付き土地のまま売却するよりも、解体費用を負担して更地として売却したほうが、多くの金額を手元に残せることがあります。

古家付き土地の解体費用

古家付き土地の建物を解体する費用は業者にもよりますが、木造住宅の場合は坪3万〜5万円が目安です。

例えば延べ床面積が40坪の木造住宅の場合、解体費用の目安は160万〜200万円となります。

古家付き土地と更地のどちらで売却するかを検討するときは、業者から解体費用の見積もりを取り寄せると良いでしょう。

【まとめ】古家付き土地を売却するときは不動産会社に相談しよう

古家付き土地として売却する場合、解体費用はかかりません。
また固定資産税に軽減措置が適用されるため、売却までの税負担が重くならずに済みます。

一方で解体費用は買主が負担することになるため、更地よりも売却しにくくなります。
加えて更地よりも売却費用を安くしなければ、買い手を見つけるのは困難でしょう。

古家付土地と更地のどちらで売却すべきか悩むときは、売却実績が豊富な不動産会社に相談することをおすすめします。
(執筆者:品木彰)

▼不動産の売却をご検討の方 詳しくはこちら▼

 

売りたい人も買いたい人も
▼遠鉄の不動産へお問合せください▼