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路線価とは?利用する場面や調べ方、計算方法などをわかりやすく解説

相続や贈与によって土地を取得したときは、相続税や贈与税を計算する際に土地の評価額を求める必要があります。
土地の評価額は「路線価」という公的な価格を用いて求めます。

相続税や贈与税を正確に計算するためには、路線価について理解することが重要です。
本記事では、路線価を用いる場面や調べ方などをわかりやすく解説します。

遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)


宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級

路線価とはわかりやすくいえば国が公表する土地価格

路線価とは

まずは路線価を用いる場面や決まり方などをみていきましょう。

土地の相続税評価額を計算する際に用いる

相続や贈与が発生したときは、財産の価額である「相続税評価額」を求めます。
土地の相続税評価額を求めるときは、路線価を用います。

路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことです。
千円単位で表示されており、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用います。

例えば土地が面している道路の路線価が20万円、土地の面積が100㎡である場合、土地の評価額は「20万円×100㎡=2,000万円」となります。

路線価の決まり方

路線価は、毎年1月1日時点における土地の価格であり、毎年7月1日に発表されています。

路線価を決定しているのは「国税庁」です。
実際の取引価格(実勢価格)や不動産鑑定士による鑑定結果なども参考に、路線価は算出されています。

公示価格や固定資産税評価額などとの違い

国や自治体が公表する土地価格には、路線価を用いて算出する相続税評価額の他にも公示地価や基準地価、固定資産税評価額があります。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。

相続税評価額 公示価格

(公示地価)

基準地価 固定資産税評価額
調査主体 国税庁 国土交通省 都道府県 市町村
調査時点 1月1日 1月1日 7月1日 1月1日

(3年に1度)

公表日 7月1日 3月下旬 9月下旬 3月または4月

公示価格は、土地が適正な価格で取引されることを目的として国土交通省が公示する土地価格です。
土地の取引価格の目安として公開されているものの、実際の取引価格(実勢価格)とは異なる場合もあります。

基準地価は、都道府県が調べる土地価格のことです。
公示地価の調査対象には含まれていないエリアも、基準地価の算出対象となっています。

固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税、不動産取得税などを計算するときに用いられる価格です。

公的な土地価格は調査主体や調査の基準日、公表されるタイミングなどが異なります。
なお路線価の目安は、公示価格や基準地価の8割です。

路線価を調べる方法

路線価とは

続いて路線価を調べる方法について解説します。

国税庁の「財産評価基準路線価図・評価倍率表」で調べられる

路線価は、国税庁のHPにある「財産評価基準路線価図・評価倍率表」で調べることができます。

財産評価基準路線価図・評価倍率表で路線価を調べる手順は、次のとおりです。

  1. 土地がある都道府県を選択する
  2. 「路線価図」を選択する
  3. 土地がある市区町村を選択する
  4. 地名(町または大字)を選択する

上記の手順で、静岡県浜松市中区富塚町の路線価図を調べると以下のように表示されます。

路線価とは

画像引用:国税庁HP「財産評価基準路線価図・評価倍率表

路線価図では、各道路上に1㎡あたりの路線価が1,000円単位で記載されています。

例えば路線価図に記載された数字が「67」である場合、1㎡あたりの路線価は67,000円となります。

全国地価マップで調べることも可能

一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で路線価を調べられます。

全国地価マップで路線価を調べるときは、画面の指示にしたがって土地の住所を入力していきます。
番地や枝番まで指定することも可能です。

また路線価の他にも、固定資産税評価額や地価公示・地価調査も、全国地価マップで調べられます。

路線価方式で相続税評価額を計算する方法

路線価とは

路線価を用いて相続税評価額を算出する方法は、土地に接している道路の本数や状況によって異なります。

ここでは路線価で土地の評価額を算出する方法をみていきましょう。

なお評価の際に必要な奥行価格補正率や側方路線影響加算率、二方路線影響加算率は国税庁のHPに掲載されています。

土地が1つの道路のみに面している場合

土地が1つの道路のみに面している場合、土地の評価額の計算式は以下のとおりです。

  • 土地の評価額=(路線価×奥行価格補正率)×土地の面積

奥行価格補正率は、土地の奥行きによって決まります。

奥行きが狭い土地は、通常の土地よりも用途が限られるため、利用価値が低いと考えられます。
そのため奥行きが狭い土地は、奥行価格補正率により通常の土地よりも評価額が低くなることがあります。

例えば1㎡あたりの路線価が50万円、奥行価格補正率が1.0、土地の面積が200㎡である場合、土地の評価額は以下のとおりです。

  • 土地の評価額:50万円×1.0×200㎡=1億円

土地の正面と側面に道路がある場合

土地の正面と側面に道路がある場合、1本の道路にしか接していない土地よりも利用価値が高くなります。
そのため1㎡あたりの路線価は、側方道路があることで高まったと考えられる価値分を加算します。

具体的な計算式は以下のとおりです。

  • 1㎡あたりの路線価=正面路線価+(側方路線価×側方路線影響加算率)
  • 土地の評価額=1㎡あたりの路線価×土地の面積

正面路線とは、奥行価格補正率を乗じて計算した金額が高い方の路線です。
正面路線ではない道路は、側方路線といいます。

例えば正面路線価が50万円、側方路線価が40万円、側方路線影響加算率が0.03、土地の面積が200㎡であるとしましょう。

この土地の1㎡あたりの路線価と評価額を計算すると、以下のとおりとなります。

  • 1㎡あたりの路線価=50万円+(40万円×0.03)=51万2,000円
  • 土地の評価額=51万2,000円×200㎡=1億240万円

土地の正面と裏面に道路がある場合

土地の正面と裏面に道路が面している場合も、1本の道路にしか接していない土地よりも利用価値が高いです。
そのため1㎡あたりの路線価を計算するときは、裏面道路の存在によって高められたと考えられる価値分が加えられます。

計算式は以下のとおりです。

  • 1㎡あたりの路線価=正面路線価+(裏面路線価×二方路線影響加算率)
  • 土地の評価額=1㎡あたりの路線価×土地の面積

路線価に奥行価格補正率をかけて算出した価額が高いほうが「正面路線価」となり、それ以外は「裏面路線価」となります。

例えば正面路線価が50万円、裏面路線価が40万円、二方路線影響加算率が0.02、土地の面積が200㎡であるとしましょう。

1㎡あたりの路線価と土地の評価額を計算すると、結果は以下のとおりとなりました。

  • 1㎡あたりの路線価=50万円+(40万円×0.02)=50万8,000円
  • 土地の評価額=50万8,000円×200㎡=1億160万円

路線価で借地権を評価する方法

路線価とは

路線価は、所有権の土地だけでなく借地権も評価することができます。
借地権とは、土地を借りる権利のことです。

借地権を評価するときは、路線価図に記載された借地権割合を用います。
借地権割合は、以下のとおりA〜Gのアルファベットで表記されています。

  • A:90%
  • B:80%
  • C:70%
  • D:60%
  • E:50%
  • F:40%
  • G:30%

例えば路線価頭に「200C」と書かれていた場合、路線価は20万円、借地権割合は70%です。
土地の面積が150㎡である場合、借地権の価格は「(20万円×150㎡)×0.7=2,100万円」となります。

路線価がない地域は「倍率方式」で計算する

土地によっては、路線価が設定されていないケースがあります。
路線価が設定されていない土地は「倍率方式」を用いて評価額を算出します。

倍率方式は、土地の固定資産税評価額に所定の倍率を乗じて相続税評価額を算出する方法です。

固定資産税評価額は、毎年送付される納税通知書または市区町村役場で確認できます。
倍率は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」または全国地価マップで調べられます。

【まとめ】路線価とは相続税評価額を算出する際の土地価格

相続や贈与によって土地を取得したときは、路線価を用いて土地の評価額を算出します。
路線価の目安は、公示地価や基準地価の8割です。

路線価を調べるときは、国税庁の「路線価図・評価倍率表」または全国地価マップを参照すると良いでしょう。

路線価を用いた土地の相続税評価額の算出方法は、土地と接している道路の状況によって異なります。
また路線価が設定されていない地域の相続税評価額は、倍率方式で算出します。

相続や贈与で取得された土地についてお悩みの方は、まずは不動産会社に相談してみてはいかがでしょうか。

(執筆者:品木 彰)

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