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不動産売却時の決済の流れとは?必要書類や決済方法などを解説

不動産の売買契約では、最後に「決済」という手続きをします。
不動産をスムーズに売却するためには、決済の流れや必要書類、事前に準備すべきことを確認しておくことが重要です。

本記事では、不動産を売却するときの決済の流れや必要となる書類、決済方法などをわかりやすく解説します。

遠鉄の不動産・浜松ブロック長
石岡 靖雅(いしおか やすまさ)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、家族信託コーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

不動産売却時の決済が行われると取引が完結する

不動産 決済 流れ

決済とは、不動産売却で最後に行う手続きのことです。
具体的には「残代金の授受」と「物件の引渡し」が行われます。

残代金の授受とは、不動産の購入代金のすべてを売主に支払うことです。
買主が残代金を支払うと、不動産の鍵や登記関連の書類などが引き渡されます。

不動産売却時の決済は、売買契約を締結してから概ね1~2か月後に行われるのが一般的です。

不動産売却時の決済の流れ

不動産 決済 流れ

不動産売却時の決済は、以下のような流れで行われます。

  1. 司法書士による本人確認と登記関連書類の確認
  2. 残代金の支払い
  3. 領収証の発行
  4. 不動産仲介会社への仲介手数料の支払い
  5. 抵当権抹消手続き
  6. 鍵や書類の引渡し

決済の手順をひとつずつ見ていきましょう。

1.司法書士による本人確認と登記関連書類の確認

最初に司法書士が売主と買主の本人確認をします。
本人確認の際は、運転免許証やパスポートなど顔写真付きの本人確認書類を司法書士に提示するのが一般的です。

また司法書士は、印鑑証明書や不動産の登記識別情報など所有権移転登記に必要な書類も確認します。

2.残代金の支払い

司法書士による確認が終わったあとは、買主が売主に残代金を支払います。

不動産の取引では、売買契約を結ぶときに買主が売主に手付金を支払うのが一般的です。
決済の場では、不動産の購入代金から手付金を差し引いた残りを支払います。

また買主から、売主に各種精算金が支払われるのもこのタイミングです。
精算の対象となるものや、買主が支払う金額の決まり方は以下のとおりです。

  • 固定資産税・都市計画税:引き渡し日から起算日(1月1日または4月1日)までの日割り又は月割りで計算した金額
  • 管理費・修繕積立金:引渡し日から月末までの日割り又は月割りで計算した金額

なお買主が住宅ローンを組む場合は、このタイミングで金融機関から融資が実行され、そのお金で売主に残代金を支払います。

3.領収書の発行

残代金が支払われたあと、売主は買主に領収書を発行します。

領収書は、売主側の不動産会社が用意してくれるのが一般的です。

4.不動産仲介会社への仲介手数料の支払い

残代金の支払いが完了したあとは、不動産会社に仲介手数料を支払います。
仲介手数料の金額は不動産会社によって異なりますが、法律で定められた上限額を超えて請求されることはありません。

物件価格が400万円を超える場合、仲介手数料の法定上限額は「物件価格×3%+6万円+消費税」です。

不動産の取引では、売買契約を締結するときに仲介手数料の50%を不動産会社に支払うのが一般的です。
そのため決済が行われたあとは、残りの50%を不動産会社に支払います。

5.抵当権抹消手続き

売主が住宅ローンを組んでいる場合、買主から受け取った残代金でローンを完済します。
ローンを完済したあとは、抵当権を抹消する手続きが行われます。

抵当権とは、住宅ローンを契約した人の返済が滞ったときに、金融機関が担保となっている不動産を差し押さえられる権利です。

抵当権が付いたままでは、不動産の売買契約が成立しません。
そのため抵当権が設定された不動産を売却するときは、原則として住宅ローンを完済し、法務局で抵当権抹消登記をする必要があります。

抵当権抹消登記は売主自身でも手続きできますが、5万〜10万円ほどの報酬を支払って司法書士に依頼するのが一般的です。
また抵当権抹消登記をする場合は、登録免許税もあわせて司法書士に支払います。

6.鍵や書類の引き渡し

最後に売主は買主に、物件の鍵を引き渡します。
物件の購入時に受け取った鍵だけでなく、購入後に作成した合鍵も含めたすべてを渡しましょう。

また物件の取扱説明書や購入時のパンフレットなどの書類もこのタイミングで買主に引き渡します。

不動産の決済時に必要となる書類や持ち物

不動産 決済 流れ

不動産売却時の決済では、以下のようなものが必要となります。

  • 権利証(登記済証・登記識別情報)
  • 実印
  • 印鑑証明書(発効後3か月以内)
  • 写真付き身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード(個人番号カード)・パスポートなど)
  • 固定資産評価証明書
  • 物件の鍵(合鍵も含む)
  • 物件の取扱説明書・購入時のパンフレットなど
  • 買主からの入金が確認できるもの(通帳・キャッシュカード・スマートフォンやPCなどオンラインバンキングにアクセスできる端末)

決済当日に必要なものがそろっていないと、引渡しができない可能性があります。
決済時に必要となる資料は状況によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

不動産売却の決済方法や場所、日時

不動産売却の決済は、いつどこで誰と行われるのでしょうか。
主な決済方法とあわせて解説します。

決済の方法

不動産の決済方法は、銀行振込と現金手渡しのどちらかが一般的です。
売主と買主で話し合いをして、どの方法で決済をするのかを決めます。

また銀行振込で決済をする場合、振込金額に応じた手数料がかかります。
振込手数料を買主と売主のどちらが負担するのかを事前に確認しておきましょう。

決済の場所や日時

不動産売却時の決済が行われる場所は、一般的に買主が指定します。
買主が住宅ローンを組む場合は、金融機関の個室で決済が行われることが多いです。

現金やネット銀行の振り込みで決済をする場合、仲介を依頼する不動産会社や司法書士事務所の事務室などで行われます。

決済の日時

決済が行われる時間帯は、金融機関の営業日である平日の午前中が一般的です。
決済時に何らかの理由で残代金の振込ができなかったとしても、午前中であれば金融機関は午後の時間に対処できるためです。

また午前中に決済が行われれば、司法書士が所有権移転登記をするために法務局へ移動する時間や、登記書類の補正をする時間などを確保できます。

決済にかかる時間の目安は、1時間〜2時間程度です。

決済をする際の立会人

決済の際に立ち会う人は、以下のとおりです。

  • 売主
  • 買主
  • 司法書士
  • 不動産会社
  • 買主の住宅ローンを担当する金融機関の担当者
  • 売主の住宅ローンを担当する金融機関の担当者

マイホームを購入する人の多くが住宅ローンを利用するため、決済の場には買主が住宅ローンを組む金融機関の担当者が同席するのが一般的です。

また売主が不動産を売却して住宅ローンを完済する場合、売主に融資をしている金融機関の担当者も同席します。

不動産売却時の決済前にやること

不動産 決済 流れ

不動産売却では、決済の当日を迎える前に事前準備が必要になることがあります。
決済の前に準備することの例をみていきましょう。

抵当権抹消の準備をする

住宅ローンを返済中である不動産を売却する場合、売主は金融機関に連絡をして、抵当権を抹消するための書類を準備しなければなりません。

金融機関に連絡をしてから、書類が準備できるまで2週間ほどかかります。
不動産売却の決済日が決定したときは、すみやかに金融機関に連絡して抵当権抹消の書類を準備しましょう。

隣地境界線を確定する

土地や戸建て住宅を売却するときは、隣地との境界線を必ず確定させましょう。
隣地境界線とは、建物がある敷地と他の敷地との境界を示す線のことです。

境界が確定されていない状態で売却してしまうと、後でトラブルに発展しかねません。

土地の境界が曖昧である場合、土地家屋調査士に依頼して境界確定測量をしてもらったうえで、地積測量図や境界確認書を作成してもらう必要があります。

引越しを済ませる

決済当日になると、所有権は売主から買主に移転されます。
そのため売主は、決済日を迎える前に引越しを済ませておきましょう。

また建物の解体や廃棄物の撤去が必要な場合、決済日にはそれが完了していなければなりません。

不動産を売却するときは、遅くとも決済日の前日には売主の所有物や不要なものをすべて取り除いた状態にしておきましょう。

【まとめ】不動産の売却時は決済の流れを事前に把握しておこう

不動産売却の決済は、以下のような流れで進みます。

  1. 司法書士による本人確認と登記関連書類の確認
  2. 残代金の支払い
  3. 領収証の発行
  4. 不動産会社への仲介手数料の支払い
  5. 抵当権抹消手続き
  6. 鍵や書類の引渡し

決済当日までに、さまざまな資料を準備しなければなりません。
また司法書士への報酬や不動産会社の仲介手数料も準備する必要があります。

必要なものがそろっていないと、決済手続きが完了しない可能性があります。
そのため売買契約を結んだときは、決済時に必要なものを確認し、計画的に準備することが大切です。
(執筆者:品木彰)

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