マンションを売却するときは、不動産会社に対象の物件を査定してもらうのが一般的です。
「希望する価格で売却できなかった」「すぐに買い手が見つからず売れ残ってしまった」などの失敗を防ぐためには、マンション査定に関する注意点を押さえることが大切です。
本記事では、マンション査定時に注意すべき点や査定の流れなどを解説します。
遠鉄の不動産・浜松北ブロック長 恒吉 俊哉（つねよし しゅんや）
宅地建物取引士
マンション査定とは売却時の参考価格を算出すること
査定とは、不動産がいくらで売却できそうなのかを不動産会社に算出してもらうことです。
マンションを売却するときは、不動産会社に売却予定の物件を査定してもらい、その結果をもとに価格を決めて売却活動を開始します。
不動産の査定方法は「机上査定（簡易査定）」と「簡易査定」の2種類があります。
- 机上査定：売却する物件を見ずに情報のみで査定する方法
- 訪問査定：不動産会社の担当者が実際にマンションを見て査定をする方法
机上査定では、立地や築年数、専有面積などの物件情報や、条件が似た物件の過去の取引事例をもとに、マンションの価値を査定します。
一方の訪問査定では、担当者が現地に訪問し、物件の内装や外装、設備の状態や周辺環境なども確認するため、机上査定よりも精度の高い査定が期待できます。
机上査定とは、不動産会社が売却予定の不動産を訪問せずにデータのみで価格を査定する方法です。 実際に不動産を訪問して査定する「訪問査定」と比較して、売却価格の目安を手軽に知ることができる一方で、査定の精度は劣る傾向にあります。 […]
マンション査定の流れ
マンション査定の流れは、以下のとおりです。
- 必要書類を準備する
- 机上査定を依頼する
- 訪問査定を依頼する
- 売却を依頼する不動産会社を選ぶ
1.必要書類を準備する
不動産会社に査定を依頼するときは、事前に必要書類をそろえておきましょう。
査定時に必要となる書類の例は、以下のとおりです。
- 運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなどの本人確認書類
- マンションの権利証または登記識別情報
- パンフレットや図面などの資料
- 固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
- 管理費や修繕積立金が分かる資料
- マンションの管理規約
2.机上査定を依頼する
必要書類がそろったら、いくつかの不動産会社に机上査定を依頼しましょう。
机上査定は、不動産会社のホームページから依頼できるのが一般的です。
また不動産会社に直接電話をしたり訪問したりする方法もあります。
3.訪問査定を依頼する
机上査定の結果や担当者の対応などを比較し、訪問査定を依頼する不動産会社の候補を絞り込みましょう。
その後、不動産会社に訪問査定を依頼して訪問の日程調整をします。
訪問当日を迎えると、担当者が実際にマンションを訪問し、室内・外壁・廊下などの状態や周辺環境を確認します。
4.売却を依頼する不動産会社を選ぶ
担当者による訪問が終わると、数日で査定結果が届きます。
各社の査定結果や査定の根拠、販売戦略を聞き比べて、マンションの売却を依頼する不動産会社を選びましょう。
マンションの査定を依頼するときの注意点
マンションの査定を依頼するときは、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
査定時の主な注意点をみていきましょう。
価格相場を把握する
査定を依頼するときは、売却予定のマンションと間取りや広さ、立地などの条件が似ている物件が、いくらで売りに出されているのかを把握しておくと良いでしょう。
条件が似た物件の価格相場を把握していれば、不動産会社の査定結果が妥当かどうかを判断しやすくなるためです。
インターネットの不動産ポータルサイトやチラシなどを確認し、近隣にある類似物件の売却価格を調査しておくことをおすすめします。
複数の不動産会社に査定を依頼する
立地や間取りなどの条件が同じマンションであっても、査定結果は不動産会社によって異なる可能性があります。
1社のみに査定を依頼しても、結果が適正かどうかを判断するのは困難でしょう。
そこでマンションを売却するときは、複数の不動産会社に査定を依頼し、結果を比較することが大切です。
最低限の掃除や整理・整頓をする
マンションの査定を依頼するときは、不動産会社の担当者が訪問する前に清掃や整理・整頓をしておきましょう。
訪問査定の前にマンションの室内を清潔にすることで、不動産会社の担当者がスムーズに査定をしやすくなります。
また床や扉などが破損している場合は、事前に修繕をしたうえで査定に出した方が査定額は高くなることがあります。
ただし清掃や整理整頓の有無が、査定結果に大きく影響するわけではありません。
そのため査定の段階では、室内の念入りな清掃は基本的に不要です。
査定前のリフォームは必須ではない
マンションをリフォームすると、物件価値を上げられる可能性があります。
しかしリフォーム費用に見合うだけの結果が得られるとは限りません。
また中古マンションの場合は、購入希望者が自分の好みの室内にするために、リフォームやリノベーションをしたいと考えるケースもあります。
そのため独断でリフォームをするのではなく、事前に不動産会社に相談することをおすすめします。
物件の瑕疵（欠陥）はすべて伝える
マンションを査定してもらうときは、瑕疵を必ず伝えることが大切です。
瑕疵とは、汚損や故障など物件にある欠陥のことです。
瑕疵の存在を隠してマンションの買主と売買契約を結んでしまうと、引渡し後に不具合が発覚したときにトラブルとなってしまいかねません。
売買契約が無効になったり、賠償責任を問われたりする可能性もあるため、マンションの瑕疵がある場合は、必ず不動産会社の担当者に伝えておきましょう。
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マンションを査定してもらったあとの注意点
マンションを査定してもらったあとは、不動産会社と契約を結んで買主探しを始めます。
続いて、マンションの査定後から売却活動を始めるまでに注意すべき点をみていきましょう。
査定結果が高いからといって良い不動産会社とは限らない
売却を依頼する不動産会社を、査定金額の高さだけで選ぶのはおすすめできません。
マンションの査定額が他社よりも高い不動産会社に売却を依頼すると、かえって売却に失敗する可能性を高めてしまうことがあるためです。
査定を依頼する目的は、あくまでマンションの適正価格を知ることです。
そのため査定結果を高く不動産会社に売却を依頼したとしても、実際の売却価格が高くなるとは限りません。
不動産会社を選ぶときは、査定の根拠を必ず聞き、算出された査定額が妥当であるかどうかをよく確認することが大切です。
査定額がローン残債を下回っていないか確認する
住宅ローンを返済中である場合、売却時にローンを完済できなければマンションの売買契約は成立しません。
売却代金がローン残債を下回ってオーバーローンの状態になっているときは「預貯金で不足分をカバーする」「住み替えローンを利用する」などの対策が必要です。
そのためマンションの売却を検討するときは、査定額とローン残債を比較しましょう。
査定額がローン残債を下回ってオーバーローンの状態になる可能性が高く、自己資金や住み替えローンで対策をするのが困難なときは、売却を見送った方が良いかもしれません。
査定結果をもとに売り出し価格を適切に設定する
マンションを売却するときは、査定結果をもとに売り出し価格を決めます。
売り出し価格が相場よりも高すぎると、マンションが売れ残ってしまい、結局は値下げをしなければ売れなくなるかもしれません。
かといって売り出し価格を安くしすぎると、高値で売却する機会を逃してしまうでしょう。
マンションを希望する価格で売却するためには、査定結果や競合物件の価格をもとに売却価格を適切に設定することが大切です。
査定結果や説明の内容などをよく比較して不動産会社を選ぶ
マンションを売却するときは、売却が得意な不動産会社に依頼をすることが大切です。
売却が得意な不動産会社を探すときは、査定の根拠とマンションの販売戦略を比較すると良いでしょう。
売却実績が豊富な不動産会社ほど、査定の根拠が明確なだけでなく、買主を見つけて売買契約を結ぶまでの流れもわかりやすく提案してくれるためです。
不動産会社ごとの査定結果や提案内容を比較し、もっとも高額でマンションを売却してくれそうな不動産会社を探しましょう。
査定はマンションを売却する際の重要なステップです。 査定結果をもとに、売却の可否や今後の資金計画を決定するためです。 この記事では、マンション売却前の査定について、ポイントや成功のコツを紹介します。 […]
【まとめ】マンション査定の注意点を抑えると失敗しにくくなる
マンションを査定してもらう前に、自分自身で価格相場を調べておくと、不動産会社の査定結果が妥当かどうかを判断しやすくなります。
また不動産会社によって査定基準が異なるため、複数の不動産会社に査定を依頼し、結果を比較すると良いでしょう。
各不動産会社の査定結果に加えて、算出の根拠や販売戦略を聞き比べることで、買主探しをサポートしてもらう不動産会社を選びやすくなります。
査定結果をもとに信頼できる不動産会社を選び、適切な売り出し価格を設定することが、マンション売却の失敗を防ぐうえで重要なポイントといえます。
（執筆者：品木 彰）
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