家を売りに出しても、立地や物件の状態、価格設定などが原因で買い手探しが難航することがあります。
買い手がなかなか見つからないときは、売れない原因を考えたうえで、適切な方法を選んで対処することが大切です。
本記事では、家が売れない主な理由や効果的な対処方法などを解説します。
宅地建物取引士
家が売れない4つの理由
家が売れない原因はさまざまですが、代表的なものは以下の4つです。
- 駅から遠いなど物件の需要が低い
- 物件の印象が悪い
- 売り出し価格が適切に設定されていない
- 不動産会社の実力が不足している
1.駅から遠いなど物件の需要が低い
家の立地や住環境などが悪く、需要が低いために売れ残るケースは少なくありません。需要が低い物件の例は、以下のとおりです。
- 最寄り駅から15分以上かかる
- スーパーやコンビニ、病院、学校などから遠い
- 日当たりや風通しが悪い
- 近くに線路や幹線道路があり、騒音や振動がする
- 土砂崩れや洪水などの被害に合うリスクが高い など
上記に該当する物件は、築年数が浅く十分な広さがあっても、売れ残ってしまうことがあります。
2.物件の印象が悪い
建物や室内の印象は、家の購入を検討している人の第一印象を大きく左右します。
「外観が古い」「内装が汚れている」「室内に不要な物が散乱している」などに該当する物件は、マイホームの購入を考えている人から選ばれにくくなります。
また、実際には問題がなかったとしても、インターネット広告やチラシに掲載されている写真の写りが悪いために、よい印象を与えられていないケースもあります。
3.売り出し価格が適切に設定されていない
売り出し価格が相場よりも高すぎると、売れ残りやすくなります。
立地や間取り、築年数などの条件が類似した物件に比べて価格が割高であると、買い手から敬遠されやすくなるためです。
かといって、相場よりも著しく安くしてしまうと「この物件には何か問題があるのではないか」といった疑念を抱かれてしまい、売れ残る要因となります。
4.不動産会社の実力が不足している
家が希望通りに売れるかどうかは、不動産会社の実力次第といっても過言ではありません。
売却を依頼している不動産会社に「住宅の売却があまり得意でない」「積極的に買主を探してくれない」などの問題点があると、売却期間が長引きやすくなります。
家が売れないとどうなるのか
続いて、家が売れない状態が長引いたときに生じる可能性がある問題を3つ解説します。
ローンや固定資産税などの支払いが二重になる
新しい住まいを購入する際に住宅ローンを組んだ場合、旧居のローンも残っていると、売れるまでは2つのローンを返済しなければなりません。
固定資産税や都市計画税、水道光熱費などの支払いが重なり、家計にとって大きな負担となることがあります。
家の管理に手間がかかる
新しい住まいでの生活を始めていたとしても、以前住んでいた家が売れるまでは管理を続けなければなりません。
売却期間が長引けば長引くほど、定期的な換気や室内の清掃、庭の手入れなどの管理にかかる手間や時間が増えていきます。
また、管理を怠ると建物の状態や景観が悪化し、さらに売却が難しくなることもあります。
希望通りの住み替えができない可能性がある
家の売却代金を、新しい住まいの購入資金に充てる予定である場合、売却期間が長引くと新居の購入も後ろ倒しになっていくでしょう。
また、現在住んでいる家のローンが残っていると、新居を購入するためのローン審査に通りにくくなります。
残債がある状態で新たに住宅ローンを申し込むと、年収に占める年間返済額の割合が高くなり、金融機関の定める基準を超えやすくなるためです。
住んでいる家の売却が長引くと、自己資金の準備や住宅ローンの借り入れに支障が出て、希望通りの住み替えができなくなる可能性があります。
家が売れないときの対処方法6選
家が売れない状況が続いている場合、以下のいずれかの方法で対処をするとよいでしょう。
- 売り出し価格を適切に設定する
- 広告を見直す
- ハウスクリーニングをする
- 内見の事前準備や当日の対応を見直す
- ホームインスペクションを実施する
- 不動産会社を変更する
売り出し価格を適切に設定する
売り出し価格が相場とかけ離れてしまっている場合は、価格設定を見直しましょう。
不動産会社の査定結果や、同じエリア内にある条件が同等の物件の成約価格、競合物件の売り出し価格などを参考に、価格設定を見直すことが大切です。
ただし、頻繁に値下げをするのはおすすめできません。
購入希望者に「もう少し待てばさらに価格が下がるのではないか」と考えられてしまい、売却期間が長引く可能性があるためです。
不動産会社ともよく相談し、慎重に売り出し価格を設定しましょう。
広告を見直す
内見の申し込みがあまり入らないのであれば、インターネット広告やチラシに掲載している内容を見直すのもひとつの方法です。
以下の視点で広告の内容を見直してみましょう。
- 家の魅力や特徴が伝わる見出しと文章になっているか
- 付帯設備やアクセス、周辺環境などの詳細な情報が記載されているか写真の写りは悪くないか
- 掲載している写真の枚数は適切か
- 物件情報を掲載しているサイトが少なくないか
- チラシを配布するエリアは適切か
不動産会社とも相談のうえ、インターネット広告やチラシの問題点を洗い出し、適切に対策をすることで家を売却しやすくなります。
内見の事前準備や当日の対応を見直す
物件の内見は、購入を検討している人に家の魅力をアピールする重要な機会です。
内見にきた人に「この家が欲しい」と思ってもらえるよう、売却期間中は床や窓などの汚れやホコリは綺麗に取り除き、室内は整理・整頓をしておくことが大切です。
壁紙に空いた穴や床のキズなど、簡単に修繕できる箇所は直しておくのが理想です。
また、内見者に対しては、丁寧に接することを心がけましょう。
内見者の心象が良くなり、家の購入意欲が高められるだけでなく、売却価格や引き渡し時期などの交渉もスムーズに進めやすくなります。
ハウスクリーニングをする
自分自身では取りきれない汚れがある場合は、ハウスクリーニングを依頼するのもひとつの方法です。
専門の業者に依頼をすると、床や窓などをプロの目線で隅々まで清掃してもらえます。
特に、浴室やトイレ、キッチンなどの水回りは、付着したカビや水垢なども、丁寧に除去してもらえます。
ホームインスペクションを実施する
ホームインスペクションとは、専門家による住宅検査のことです。
住宅の専門知識を持つホームインスペクターが、建物の欠陥や修繕が必要な箇所などを調査してくれます。
事前にホームインスペクションが実施されており、建物の状態が第三者によって証明されていると、購入希望者に安心感を与えられます。
また、買主に家を引き渡したあとに、シロアリ被害や雨漏りなどの隠れた欠陥が発覚して、トラブルになる事態も防ぎやすくなります。
不動産会社を変更する
家が売れない原因が不動産会社にあると思われる場合は、他の不動産会社に変更するのもひとつの方法です。
選び直す際は、複数の不動産会社に物件の査定を依頼し、査定結果とその根拠、販売戦略を聞き比べるとよいでしょう。
家の売却が得意な不動産会社ほど、査定の根拠が明確であり、売り出したあとの戦略もわかりやすく解説してくれます。
また、不動産会社のホームページをよく確認することも重要です。
売却実績や会社の方針、サービス内容、お客さまの声などを確認することで、信頼できる不動産会社なのかが判断しやすくなります。
不動産会社とよく相談してから行うべき3つのこと
家が売れないからといって、十分に検討せずに「空き家にする」「建物を取り壊す」「リフォーム・リノベーションをする」で対策をするのはおすすめできません。
これらの3点については、不動産会社ともよく相談し、行うべきか慎重に判断することが大切です。
空き家にする
先に新居に引越しをし、空き家にしてから売りに出すと、購入希望者の都合に合わせて内見の日程を調整しやすくなります。
また、家を購入したあとすぐに入居してもらうことも可能です。
しかし、空き家にすると建物や設備の劣化が進みやすくなります。
家具や家電などが置かれていないことで、内見に訪れた人が生活をイメージしにくくなる可能性もあります。
空き家にしたからといって必ずしも売れやすくなるとは限らないため、新居に引越しをする前に不動産会社とよく相談することが大切です。
建物を取り壊す
建物の築年数が相当に経過している場合、それを取り壊して更地にしてから売却をするケースもあります。
土地のみで売りに出すと、購入した人は希望にあわせた建物を新築することができます。
ただし、建物を先に取り壊す場合、売却代金から費用を捻出できません。また更地にすると、固定資産税に住宅用地の特例という軽減措置が適用されなくなり、税負担が増えてしまいます。
エリアによっては、築古の建物を安く購入してリフォームをしたいというニーズが強いこともあるため、建物を取り壊すかどうかは不動産会社とよく相談することをおすすめします。
リフォーム・リノベーションをする
リフォーム・リノベーションをすると、間取りや設備が刷新され、物件の価値を高める効果が期待できます。
一方、リフォームやリノベーションをしても、必ずしも売れやすくなるとは限りません。
また、購入後に自分自身の好みに応じたリフォームやリノベーションをしたいと考えている人から選ばれなくなる可能性もあります。
不動産会社ともよく相談し、コストに見合うだけの効果があるかどうかは、慎重に判断することが大切です。
【まとめ】家が売れないときは売却が得意な不動産会社に相談を
家が売れない状況が続くと、ローンや固定資産税の二重払いや、管理の手間がかかり続けるなど、さまざまな問題が発生する可能性があります。
家を売れやすくするためには、不動産会社とも相談し、売り出し価格や広告の見直し、ハウスクリーニングの実施など、売れ残りの原因に応じた方法で対策をしましょう。
売れない原因が不動産会社にあると思われる場合は、他の不動産会社への変更も検討するのがよいといえます。
(執筆者:品木 彰)