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家の売却でやってはいけないこととは?手順ごとの代表的な失敗理由を解説

家の売却では「スケジュールを立てずに売却を進める」「相場と乖離した売り出し価格に設定する」など、いくつかの”やってはいけないこと”があります。

やってはいけないことを押さえた上で家を売りに出さないと、希望どおりの条件で売却できないかもしれません。

本記事では、家の売却でやってはいけないことを、準備段階、売却活動中、売買契約後に分けて解説します。

遠鉄の不動産・浜松ブロック長 石岡 靖雅(いしおか やすまさ)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、家族信託コーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

【準備段階編】家の売却でやってはいけないこと

希望どおりの条件で家を売却するためには、入念に事前準備をする必要があります。

まずは、家の予想売却価格を調べるときや、リフォーム・解体の必要性を検討するときなど、売却の準備段階でやってはいけないことをみていきましょう。

スケジュールを立てずに売却を進める

スケジュールを立てずに家の売却活動を進めるのは避けましょう。

家の需要がもっとも高まるのは、4月から新生活が始まる直前の2~3月ごろであり、次いで転勤シーズンの9〜10月ごろも需要が高くなります。

こうした家の需要が高まる時期を考慮せずに家を売りに出すと、買い手が見つかりにくくなるかもしれません。

家の売却には通常3〜6か月ほどかかります。
売却活動を始めるときは、家の需要が高まる時期から逆算してスケジュールを立てることが大切です。

1社のみに査定を依頼する

家を売却するときは、不動産会社に査定をしてもらい、予想売却価格を確認するのが一般的です。

家の査定を1社の不動産会社にのみ依頼すると、査定結果が適正かどうか判断できません。

そのため、複数の不動産会社に査定を依頼し、結果を比較するとよいでしょう。

査定額の高さのみで不動産会社を選ぶ

不動産会社選びで、査定額の高さのみを重視するのは避けたほうが賢明です。

査定額はあくまで予想売却価格であり、その金額で売れる保証はありません。

また査定額を意図的に高く設定し、契約を取ろうとする不動産会社もあります。

そのため、査定額だけでなく算出根拠もよく確認して、不動産会社を選ぶことが大切です。

大手の不動産会社にしか依頼しない

「大手のほうが信頼できる」といって、規模が大きな不動産会社のみを選択肢にすると失敗を招いてしまうかもしれません。

例えば、地域密着型の不動産会社であれば、家があるエリアのニーズや価格相場、交通事情、今後の開発状況などを把握しており、より適切な売却戦略を立てられることがあるためです。

会社の規模のみではなく、担当者の知識量や不動産会社の売却実績などもよく確認して、売却を依頼する不動産会社を慎重に選びましょう。

金融機関に相談せずに売却を進める

住宅ローンが残っている家を売却するのであれば、事前に金融機関に相談をする必要があります。
その理由は、金融機関が「抵当権」という権利を家に設定しているためです。

抵当権とは、住宅ローンを借りている人が返済できなくなった際、金融機関が担保となっている不動産を差し押さえられる権利のことです。

差し押さえられた不動産は「競売」によって強制的に売却され、得られた売却代金は、優先的に融資金の回収に充てられます。

住宅ローンが残る家を売却するためには、原則として債権者である金融機関に事前に相談をし、売却代金などでローンを完済して抵当権を抹消しなければなりません。

また、売却金額がローン残債を下回る場合は「任意売却」という方法で家を売却することができます。
ただし、任意売却で家を売る際は、金融機関と交渉をして承認を得る必要があります。

独断でリフォームや解体をする

高額な費用をかけてリフォームや解体をしたからといって、買い手が見つかりやすくなる保証はありません。

例えば、リフォームをした家の内装や間取りが市場のニーズに合っていないと、買い手の幅を狭めてしまうかもしれません。

また、建物を解体して更地にしてしまうと、リノベーションで家づくりをしたいと考えている人から選ばれにくくなってしまいます。

また、かけた費用の分だけ売却価格が高くなるとも限りません。

大規模なリフォームや解体をせず、設備の修繕・交換やハウスクリーニングなどをするだけでも、買い手が見つかりやすくなる可能性はあります。

不動産会社ともよく相談し、エリアのニーズや市場動向などをもとに、リフォームや解体をすべきか慎重に判断をすることが大切です。

【売却活動編】家の売却でやってはいけないこと

入念に準備をしていたとしても、家の買い手を探し始める際、売り出し価格の設定や内覧の対応などを誤ると、失敗を招いてしまうかもしれません。

ここでは、家の売却活動をする際にやってはいけないことを解説します。

売り出し価格を適切に設定しない

家の売却活動を始めるときは、売り出し価格を設定します。

売り出し価格が市場価格よりも高すぎると、マイホームを探している人から選ばれにくくなり、売却期間が長引いてしまう可能性があります。

一方、相場よりも安すぎる価格をつけると、損をしてしまうかもしれません。

家を売却するときは、不動産会社の査定結果をもとに、売り出し価格を適切に設定することが大切です。

内覧の準備を怠る・内覧対応が適当

家の立地や間取り、広さなどが購入希望者の好みに合っていたとしても、内覧の準備を怠ると、購入してもらう機会を逃してしまうかもしれません。

例えば、部屋が散らかっており、掃除が行き届いていないと、内覧をする人の目に家が魅力的に写りにくくなります。

目立つ汚れやシミ、ペットの臭いなどをそのままにしていると、内覧をする人の購入意欲を削いでしまいかねません。

また、質問に対する回答がいいかげんであると、印象を悪くする可能性があります。

そのため、売却活動がはじまったあとは、いつ内覧希望者が来ても対応できるように、室内の整理・整頓を心がけ、清潔に保つことが重要です。

また、内覧者からの質問には丁寧に答え、印象を損ねてしまわないように努めましょう。

値段や条件の交渉に応じない

不動産の売買では、売却価格や引き渡しの時期、修繕・クリーニング、建物の取り壊しなど、さまざまな条件が交渉されます。

交渉の余地をまったく設けていないと、購入希望者が条件に不満を感じて売買契約に至らず、売却期間が長引く可能性があります。

応じられそうな要望については柔軟に対応したほうが、家は売れやすくなります。

家を売却するときは、購入希望者との交渉ができるよう、譲れない条件と妥協できる条件を整理しておきましょう。

物件の不具合や不利な情報を隠す

物件に欠陥・不具合がある場合や、近くに嫌悪施設(ごみ処理場・墓地など)がある場合は、売買契約を結ぶ前に必ず購入希望者に伝えることが重要です。

不利な情報を隠して売買契約を結ぶと、買主との信頼関係が損なわれるだけでなく、引き渡し後にトラブルになる可能性もあるためです。

例えば、家にシロアリ被害があることを事前に伝えず、売買契約書にも明記していないと、あとでそれを知った買主から補修や売買代金の減額などを求められる可能性があります。

物件の不具合や不利な情報を隠さず、正直に伝えることが、トラブルを未然に防ぐ上でも重要です。

【契約・引き渡し編】家の売却でやってはいけないこと

売却活動を行い、購入希望者が現れたとしても油断はできません。

引き渡し後のトラブルを防ぐためにも、契約の際は以下のような行動に注意しましょう。

契約を結んだあとにキャンセルする

不動産の取り引きでは、売買契約を結ぶ際に買主から売主に「手付金」が支払われているのが一般的です。

売主の都合で契約を解除すると、受け取った手付金の倍額を買主に支払わなければなりません。

例えば、手付金が100万円の場合、売主の都合で契約を解除する場合は、買主に200万円を支払う必要があります。

また、契約を結んだあとに取り消しを申し出ると、買主との信頼関係が大きく損なわれてしまうかもしれません。

家を売却する際は契約内容をよく確認し、相応の理由がない限りは契約をキャンセルするのはやめましょう。

家財や残置物の処分をしないまま引き渡す

家を売却する際、買主に引き継がない家財や設備などは売主が処分する必要があります。

引き渡し日を迎えても残置物があると、契約違反となるだけでなく、買主とのトラブルになりかねません。
家具・家電や庭の植木などの処分には時間や労力がかかり、専門業者への依頼が必要になることもあります。

売却の際は、引き渡し日に間に合うよう、スケジュールに余裕をもって残置物を処分することが大切です。

確定申告を忘れる

家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、原則として確定申告が必要です。
申告期限は、譲渡した年の翌年の2月16日から3月15日までです。

確定申告が必要であるにもかかわらず手続きを忘れると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課せられます。

また、譲渡所得税の負担を軽減するための特例を受けるためには、確定申告をしなければなりません。

家を売却したときは、まず確定申告が必要かどうかを確認しましょう。

申告が必要な場合は、売買契約書や登記簿謄本などを準備して申告書類を作成し、期限内に手続きを済ませることが大切です。

自分で申告するのが難しい場合は、税理士や不動産の専門家に相談するのもよいでしょう。

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【まとめ】家の売却時は不動産会社に相談を

家の売却でやってはいけないことは、以下のとおりです。

準備段階 ・スケジュールを立てずに売却を進める
・1社のみに査定を依頼する
・査定額の高さのみで不動産会社を選ぶ
・大手の不動産会社にしか依頼しない
・金融機関に相談することなく売却を進める
・独断でリフォームや解体をする
売却活動時 ・売り出し価格を適切に設定しない
・内覧の準備を怠る・内覧対応が適当
・値段や条件の交渉に応じない
・物件の不具合や不利な情報を隠す
契約・引き渡し時 ・契約を結んだあとにキャンセルする
・家財や残置物の処分をしないまま引き渡す
・確定申告を忘れる

以上の点を押さえ、売却実績が豊富な不動産会社に依頼をして売却を進めることで、トラブルを防ぎながら、よりスムーズに買い手をみつけられるでしょう。
(執筆者:品木 彰)

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