マンション売却では、必要書類の準備や査定の依頼、売却活動、契約締結などさまざまな手順を踏む必要があります。
スムーズに売却するためには、手順ややるべきことを把握しておくことが大切です。
本記事では、マンション売却の具体的な流れや、スムーズに売却するためのポイントを解説します。
遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級
マンション売却の流れ
マンションを売却するときの流れは、以下のとおりです
- 売却の目的と希望する条件を明確にする
- 必要書類を準備する
- マンションの査定を依頼する
- 付帯設備表や告知書を作成する
- 媒介契約を結ぶ
- 売り出し価格を設定し売却活動を始める
- 売買契約の締結
- 残代金の決済・マンションの引き渡し
1. 売却の目的と希望する条件を明確にする
最初になぜマンションを売却したいのかを整理しましょう。
「子育てがしやすい街に住み替えたい」「相続で取得したマンションを処分したい」など、売却の理由を考えることで、売却価格や時期などの希望が明確になります。
また、住宅ローンを返済している場合は、この時点で金融機関から送付される返済予定表や契約時の書類などで残債額を確認しましょう。
マンションを売却するときは、ローンを完済できるかどうかを必ず把握し、売却価格の下限を明確にしておくことが重要です。
2. 必要書類を準備する
マンション売却に必要となる書類を集めましょう。必要書類の例は、下記のとおりです。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- マンションの管理規約・議事録・長期修繕計画
- マンション購入時の契約書類、パンフレットなど
- 登記済権利証(登記識別情報通知書)
- 固定資産税の納税通知書(固定資産税評価証明書)
- 購入時の売買契約書
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 実印・印鑑証明書 など
紛失している書類がある場合は再発行に時間がかかるため、スケジュールに余裕を持って収集を開始しましょう。
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3. マンションの査定を依頼する
一般的に査定は無料で受けられるため、複数の不動産会社に依頼して査定額や根拠を比較し、相場観をつかむことが大切です。
査定額はあくまでも目安です。高く提示されたとしても、その金額で売却できる保証はありません。
4. 付帯設備表や告知書を作成する
付帯設備表は、マンションに備え付けられている設備を記載する書類です。
告知書(物件状況報告書)は、水漏れ、雨漏り、傾き、リフォームの履歴などの情報を記載します。
「契約不適合責任」への備えとして、付帯設備表や告知書を正確に作成し、売買契約後のトラブルを防ぎましょう。
5. 媒介契約を結ぶ
マンションの売却活動を始めるときは、不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約には、専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3種類があります。
一般 | 専任 | 専属専任 | |
---|---|---|---|
契約期間 | 制限なし | 3か月 | 3か月 |
契約できる不動産会社数 | 制限なし | 1社のみ | 1社のみ |
自己発見取引 | 可能 | 可能 | 不可能 |
活動内容の報告義務 | なし | 14日に1度 | 7日に1度 |
レインズへの登録義務 | なし | なし | なし |
専任媒介・専属専任媒介ではレインズへの登録が義務づけられ、全国の不動産会社が物件情報を閲覧できます。
一般媒介契約の場合は、レインズへの登録義務がないため、複数の不動産会社と契約することも可能です。
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6. 売り出し価格を設定し売却活動を始める
不動産会社と媒介契約を結んだあとは、売り出し価格を決めて広告を作成し、売却活動を開始します。
査定額や近隣相場、市場の動向を踏まえつつ、売り出し価格を慎重に決定することが重要です。
7. 内覧対応・条件の交渉
内覧希望があったときは、不動産会社の担当者だけでなく売主も対応が必要になる場合があります。
売却活動が始まったら、いつ内覧希望者が来てもよいように室内を整理し、特に玄関や水回りを入念に清掃しておきましょう。
購入希望者が前向きに検討しているようであれば、売買価格や引き渡しの時期などの交渉を進めます。
8. 売買契約の締結
購入希望者との交渉がまとまり、双方が条件に合意したら売買契約を締結します。
契約時には重要事項説明を受け、疑問点を解消してから署名・捺印するようにしてください。
売買契約書や重要事項説明書の内容にしっかり目を通し、不明点があれば担当者に確認しておきましょう。
9. 残代金の決済マンションの引き渡し
引き渡し日当日を迎えたら、売主と買主、不動産会社の担当者が金融機関に集まり、残代金の決済や鍵の引き渡しなどの手続きをします。
売主は残代金を受け取り、ローンがある場合は完済手続きを行い、鍵や関係書類を買主へ引き渡します。
マンションの売却にかかる期間
マンションの売却にかかる期間はさまざまな要因で変動するため一概にはいえませんが、一般的には3〜6か月程度です。
最初の1か月で必要書類の準備や物件の査定、不動産会社との媒介契約の締結などを行い、その後1〜3か月ほどで売却活動をして買い手を探します。
売買契約の締結から引き渡しまでには1〜2か月ほどかかるため、
全体としては少なくとも3〜6か月程度を見込んでおくとよいでしょう。
マンションをスムーズに売却するポイント
マンションをスムーズに売却するために押さえておきたいポイントは下記のとおりです。
- 売却するマンションのアピールポイントをまとめる
- 売り出し価格を適切に設定する
- 丁寧な内覧対応を心がける
売却するマンションのアピールポイントをまとめる
インターネットの不動産ポータルサイトやチラシに掲載するときに、
マンションの魅力が端的に伝わるようアピールポイントを整理しておきましょう。
アピールポイントの例は以下のとおりです。
- アクセスの良さ:駅からの距離が近く、複数の路線が利用できて通勤・通学に便利
- 周辺環境の充実:スーパー、病院、学校、公園などが近くにあり生活に便利
- 設備や内装の状態:「リフォーム済み」や「設備が新しい」など
売り出し価格を設定する
高すぎると売却期間が長引き、安すぎると損をする可能性があるため、査定結果や相場を参考に売り出し価格を決めましょう。
丁寧な内覧対応を心がける
物件の状態だけでなく、売主の印象も成約に影響します。質問にはわかりやすく丁寧に答え、良い印象を与えましょう。
【まとめ】マンション売却の際は流れを理解しよう
マンションを売却するときの流れと期間の目安は、以下のとおりです。
売却の準備(~1か月) |
|
---|---|
売却活動(1~3か月) |
|
契約の締結・引き渡し(1~2か月) |
|
売却には少なくとも3〜6か月かかることを念頭に、不動産会社選びから交渉・契約までの流れを把握しておくと安心です。
(執筆者:品木 彰)