住宅ローンを組んでマイホームを購入した方は、一定の条件を満たすと、住宅ローン控除を適用できます。
住宅ローン控除を受けるためには、必要書類をそろえて確定申告をしなければなりません(サラリーマンの場合は、初年度のみ。次年度以降は年末調整で対応)。
そこで今回は、住宅ローン控除のための確定申告のやり方・申請書の書き方を詳しく解説します。
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遠鉄の不動産・浜松北ブロック長 恒吉 俊哉(つねよし しゅんや)
宅地建物取引士
住宅ローン控除の確定申告書類の書き方
確定申告で住宅ローン控除を申請する場合、は以下の申告書類の記載が必要です。
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(以下、計算明細書)
- 確定申告書の第一表
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書の書き方
まずは(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(以下、計算明細書)から作成をしましょう。
令和6年分の計算明細書は、以下のとおりです。
※出典:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」
計算明細書の一面には、居住開始年月日や取得対価の額、年末時点の住宅ローン残高などを記載します。
二面は、一面に記載する金額を計算するときに利用します。
ここでは、計算明細書の主な項目の書き方を解説します。
「住所及び氏名」の書き方
住宅ローン控除を申請する人の住所と氏名を記入する欄です。住民票に記載されている住所と氏名を正確に記入しましょう。
また、共有者がいる場合は、その人の氏名を記載します。
「新築又は購入した家屋等に係る事項」の書き方
「2 新築又は購入した家屋等に係る事項」には、居住を始めた日や建物の総床面積、取得対価などを記入します。記入する内容は、以下のとおりです。
ア:新築等をした住宅に居住した年月日
イ:住宅の種類に応じた数字を記入(新築または新築住宅購入は1、買取再販住宅購入は3、中古住宅購入は4)
ウ:売買契約書(工事請負契約書)に記載された住宅の購入金額(請負金額)
エ:住宅の新築等に関して受けた補助金等の金額
オ:ウの金額からエの金額を控除した金額
カ:登記事項証明書(建物)に記載された床面積の合計
キ:居住用に使用している部分の床面積
不動産番号:登記事項証明書に記載された不動産番号
また、住宅の新築や購入などに伴って土地等を購入した場合は、家屋に関する事項の書き方を参考に「ク」から「シ」までを記載します。
「3 増改築等をした部分に係る事項」は、住宅ローン控除の対象となる借り入れをして増改築などをしたときに記載します。契約書類や領収書などを参考に、正確に記載しましょう。
「家屋や土地等の取得対価の額」の書き方
「4 家屋や土地等の取得対価の額」には、家屋や土地の取得するために支払った費用の金額を記入します。各項目に記入する内容は、以下のとおりです。
※共有者がいないのであれば記入は不要
②:「取得対価の額」×「①の割合」で計算した金額を記入
③:住宅の新築等に関し、住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合に、特例を受けた金額を記入
④:②欄に記載した金額から、③欄に記載した住宅取得等資金の贈与の特例を受けた金額を控除した金額
「7 居住用部分の家屋又は土地等に係る住宅借入金等の年末残高」は、基本的に金融機関から発行される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」をもとに記入します。
年末残高等証明書に記載された借入金等の区分に応じて、「住宅のみ」「土地等のみ」「住宅及び土地等」の欄に記入をします。
各項目に記入する内容は、以下のとおりです。
⑥:連帯債務がある場合のあなたの負担割合。連帯債務でない場合は「100.00」と記載
⑦:⑤×⑥で計算した金額
※連帯債務がある場合の⑥、⑦欄は、『(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書』により計算した金額を記入
⑧:④の金額と⑦の金額のいずれか少ない金額
⑨:キ÷カで計算した割合。店舗や貸付等に使用していない場合は、100.0と記載
⑩:⑧×⑨で計算した金額
⑪:⑩の欄の合計額
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」の書き方
「8 特定の増改築等に係る事項」には、住宅ローン控除の対象となる増改築等の工事をした場合に、工事費用を記入します。
「9 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」には、計算明細書の二面をもとに、控除額などを記入しましょう。
「10 控除証明書の要否」には、控除証明書の交付を希望しない場合に丸をします。
確定申告書の第一表
計算明細書を作成できたら、一面の「9.(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」の⑳に記載した金額を、確定申告書に転記しましょう。
記載箇所は、確定申告書の第一表にある「税金の計算」の「住宅耐震改修特別控除等」の欄です。
令和6年分の確定申告書は、以下のとおりです。
※出典:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」
ここまで解説した作成手順をみていただいてもわかるとおり、計算明細書や計算明細書を手書きで作成すると非常に手間がかかります。
そこで、確定申告書や計算明細書を作成するときは、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用することをおすすめします。
確定申告書作成コーナーでは、画面の案内に沿って必要項目を入力するだけで、 税額や控除額が反映された申告書類を作成できるので大変便利です。
住宅ローン控除の確定申告の必要書類は?
住宅ローン控除の確定申告を行う際は、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(以下、計算明細書)と確定申告書の第一表以外にも、用意するべき必要書類があります。
基本的な必要書類は、下記のとおりです。
必要書類 | 入手先 |
確定申告書 | 国税庁のサイト・税務署 |
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 国税庁のサイト・税務署 |
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(原本) | 国税庁のサイト・税務署 |
土地・建物の登記事項証明書(原本) | 法務局 |
土地・建物の不動産売買契約書や建物の工事請負契約書(写し) | 契約先の不動産会社・建築業者 |
本人確認書類(以下のa.bのどちらかの写し) a.マイナンバーカード(個人番号カード) b.マイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票+運転免許証やパスポートなどの本人確認書類 |
市区町村役場 |
※出典:国税庁「マイホームを持ったとき」
そのほか、補助金の交付を受ける場合や住宅の種類に応じた必要書類なども必要になります。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
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また、年末調整での確定申告については、以下の記事をご覧ください。
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【まとめ】住宅ローン控除の確定申告は期日までに済ませましょう
住宅ローン控除を受けるためには、確定申告が必要です(サラリーマンの場合は、初年度は確定申告、次年度以降年末調整)。
始めて確定申告をする場合、申請書類の書き方や申請のやり方で悩んでしまう方も多いでしょう。
ぜひこの記事を参考に、スムーズな対応で期日までに申告を済まてください。