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不動産売却の必要書類を徹底解説!入手方法もまとめてチェック

不動産売却時には必要な書類が多く、戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか?
専門的な書類や取得までに時間がかかる書類もあるので、不動産売却を考えている人は事前に必要書類をチェックしておきましょう。
この記事では、不動産売却に必要な書類をチェックリストで紹介しています。
さらに不動産売却後の確定申告書類についても説明します。

遠鉄の不動産・浜松ブロック長
石岡 靖雅(いしおか やすまさ)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、家族信託コーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

不動産売却時の必要書類

まずは不動産売却に必要な書類をひとつずつ解説します。

本人確認書類

不動産を売却するときは、運転免許証やマイナンバーカード、パスポート、各種健康保険証などの本人確認書類が必要です。
所有者が複数いる共有名義の物件は、共有者全員の本人確認書類が必要になる場合があります。
相続物件などで共有者が遠方に住んでいる場合は、本人確認書類をそろえるのに時間がかかることもあるため早めに準備をしましょう。

住民票

売主の現住所が登記上の住所と違う場合には、住民票が必要です。発行から3ヶ月以内の住民票しか使用できないので、取得のタイミングには気をつけましょう。

実印

実印とは市区町村役場で印鑑登録をした印鑑のことです。印鑑登録が済んでいない場合は、8〜25mm角の正方形に収まる印鑑を用意して、市区町村役場で事前に登録を行ってください。

印鑑証明書

印鑑証明書は市区町村役場で発行依頼します。
マイナンバーカードを持っている方は、コンビニやスーパーなどに設置された端末で発行することも可能です。

印鑑証明書の発行には、印鑑登録カードまたは印鑑登録証が必要です。
また住民票と同じく発行から3ヶ月以内が有効期限なので、取得のタイミングに注意しましょう。

登記済権利証(または登記識別情報)

登記済権利証とは、権利書に記載された名義人が物件の所有者であることを正式に記した書類です。

物件取得時に法務局から交付される書類で、これを売却後に買主へ渡し移転登記されることで物件の所有者が買主へ移ります。

平成17年(2005年)以降に取得した不動産物件の中には「登記識別情報」として発行されている場合もあります。

固定資産税納税通知書(または固定資産税評価証明書)

固定資産税納税通知書は、固定資産税の納税額や評価額が記載されている書類です。
買主との税負担割合や登記費用の計算に使用されます。

不動産所有者あてに毎年送付されますが、紛失した場合は市区町村の役場にて「固定資産税評価証明書」の発行を依頼しましょう。

建築確認済証・検査済証

建築確認済証とは、物件が建築基準法に基づいて建築されていることを公的に証明する書類です。

検査済証は、現地での建築検査によって検査基準に適合していると確認された後に発行される証明書です。

改正建築基準法の施行前に発行されたものは、建築確認済証ではなく「建築確認通知書」と呼ばれています。

地積測量図・境界確認書

地積測量図は土地の面積を示しており、境界確認書は正式な土地の境界を記載した書類です。
購入後のトラブルを避けるためにも、土地の面積や境界線の位置は明確にされている必要があります。

古い測量図は現状と異なる可能性もあるので、3年以内に作成されたものを準備しましょう。

マンションの管理規約、議事録、長期修繕計画書

これらはマンションの売却に必要な書類です。

マンションの管理方法や入居者のルールについて記された書類です。
マンション購入後の生活に関する重要な情報が記載されているため、スムーズな売買契約のためにも契約前の提示が望ましいでしょう。

手元にない場合は、マンションの管理会社に連絡してください。

物件状況等報告書

物件状況報告書(告知書)とは、マンションや戸建て住宅の状況を買主に対して説明するために、売主が準備する書類です。
給水管・配水管の故障やシロアリ被害、リフォームの履歴など、土地や建物などの状況が詳細に記されています。

不動産を売却するときは、建物に床の傾きや雨漏りなどの欠陥がある場合、物件状況報告書で告知しなければなりません。

設備表

設備表は、物件の引渡し時点で設置されている設備の状況を記載する書類です。
給湯器やキッチン設備、トイレ設備などの有無や不具合の状況が記載されます。

不動産を取引する際に、設備表をもとに設備の状況を買主と共有することで、売却後のクレームを避けやすくなります。

引き渡しの際に必要な書類

次に、物件の引き渡し時に必要な書類をみていきましょう。

銀行口座書類など

不動産を買主に引き渡すときは、売却代金から手付金を引いた金額を、買主が売主の口座へ振り込みます。

代金が確実に振り込まれるように、振込先を買主に提示する際は、預金通帳やキャッシュカードなど銀行口座が分かる書類をもとに相違がないか確認するのが一般的です。

抵当権等抹消書類

住宅ローンを組んで購入した不動産には抵当権が設定されています。
抵当権は、ローン契約者が長期間にわたって返済を滞納したとき、担保になっている不動産を金融機関が差し押さえできる権利です。

不動産を売却する際は、一般的に住宅ローンを完済して抵当権を抹消します。
抵当権抹消登記には「登記申請書」「登記識別情報または登記済証」「登記原因証明情報」といった書類が必要です。

住民票

不動産の登記簿に記載された住所と売主の現住所が異なるときは、発行から3か月以内の住民票が必要です。

例えば不動産の売却前に新居へ引っ越して住民票を移したときは、不動産の売却時に住民票を準備する必要があります。

不動産売却時の必要書類チェックリスト

不動産売却時の必要書類をチェックリストにまとめました。必要な書類がそろっているか確認する際に活用してください。

 

項目 取得場所 戸建て マンション 土地
本人確認書類 (売主保有)
住民票 市区町村役場
実印 (売主保有)
印鑑証明書 市区町村役場
登記済権利証

(登記識別情報)

(売主保有・物件取得時に法務局から交付)
固定資産税納税通知書

(固定資産税評価証明書)

市区町村役場
建築確認済証・検査済証 市区町村役場 × ×
地積測量図・境界確認書 測量士・土地家屋調査士 ×
>マンションの管理規約、議事録、長期修繕計画書 マンションの管理会社 × ×
物件状況等報告書 仲介する不動産会社 ×
設備表 仲介する不動産会社 ×
銀行口座書類 (売主保有)
登記申請書 法務局
登記原因証明情報 住宅ローンを契約している金融機関
住民票 市区町村役場

(○:必要、△:任意または該当の場合のみ、×:不要)

不動産売却時の書類はいつまでに準備が必要?

不動産の査定時と媒介契約時で、必要な書類は異なります。

媒介契約とは、不動産の売却を仲介する不動産会社と結ぶ契約です。
「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、契約期間や不動産会社が負う義務などが異なります。

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媒介とは

査定依頼時に用意したい書類

不動産を売却するときは、不動産会社に価格を査定してもらうのが一般的です。
不動産会社に査定を依頼するときは、物件価格の判断材料となる書類を準備すると良いでしょう。
書類の例は、次のとおりです。

  • 登記済権利証・登記識別情報
  • 物件の図面(間取り図)・設備の仕様書
  • 土地測量図・境界確認書
  • 固定資産税納税通知書 など

媒介契約を結ぶ際に用意したい書類

仲介する不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。
不動産会社と媒介契約を結ぶときに用意しておきたい書類は、次のとおりです。

  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
  • 印鑑(認印で可)
  • 登記済権利証または登記識別情報通知書

また以下の書類は必須ではありませんが、用意することで広告の作成をはじめとした販売活動の準備に役立ちます。

  • 建築確認済証または検査済証(戸建て住宅の場合)
  • 管理規約・管理費や修繕積立金が分かる書類(マンションの場合)
  • 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
  • 物件購入時のパンフレット
  • 住宅ローンの残高証明書または返済予定表 など

不動産売却後の確定申告で必要な書類

不動産売却後には確定申告が必要な場合があります。確定申告では以下の書類を用意しましょう。

税務署から入手する書類

  • 確定申告書B
  • 確定申告書第三表(分離課税用)
  • 確定申告書付表兼計算明細書(譲渡所得の内訳書)

自分で準備する書類

  • 住民票(不動産売却時、登記名義人の現住所と登記上の住所が異なる場合)
  • 売却物件の売却時の売買契約書(コピー)
  • 売却物件の購入時の売買契約書(コピー)
  • 仲介手数料、印紙税などの領収書(金額が分かる書類)
  • 建築当時の請負契約書(注文住宅の場合)
  • 特例の利用に必要な書類

不動産売却後の確定申告について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

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特殊なケースの必要書類は?

成年後見人や法人が不動産を売却する場合など、特殊なケースの必要書類について説明します。

成年後見人が不動産売却をする場合

成年後見人とは、知的障害などの理由により判断能力が不十分とされる人(成年被後見人)に代わり、財産の管理・契約を行う人のことです。成年後見人が不動産売却を行う場合、物件が居住用か非居住用かで手続きが異なります。

非居住用の不動産であり売却理由が正当であると認められた場合は、通常の不動産売却と同じ流れです。

居住用の場合は、家庭裁判所への「住居用不動産処分許可申立て」が必要です。住居用不動産処分許可申立てに必要な書類は、一般的には次のとおりです。

東京家庭裁判所への申請の場合

  • 申立書
  • 収入印紙(800円分)
  • 郵便切手(84円分)
  • 物件の売買契約書
  • 固定資産税評価証明書
  • 不動産会社の査定書
  • 登記事項証明書
  • 推定相続人の同意書

家庭裁判所から許可を得た後に、不動産売却を行う際の必要書類もあります。

家庭裁判所の許可書

  • 後見登記事項証明書
  • 後見人の実印、印鑑証明書
  • 本人確認書類(住民票か戸籍謄本、住所・氏名・本籍に変更がある場合)

必要書類は自治体の裁判所ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。

法人が不動産売却をする場合

法人による不動産売却に必要な書類は、次のとおりです。

  • 登記済権利証
  • 法人の実印
  • 法人の印鑑証明書
  • 法人の登記事項証明書(登記簿謄本の全部事項証明書または代表者事項証明書、いずれも3ヶ月以内のもの)
  • 固定資産税納税通知書(あるいは固定資産税評価証明書)
  • 法人代表もしくは取引担当者の身分証明書

海外在住の非居住者が不動産売却をする場合

非居住者の定義は「日本国内に住所がなく、1年以上海外に在住している人」です。海外に住む非居住者が日本国内の不動産を売却する際に追加で必要な書類が2つあります。

  • 在留証明書
  • 署名証明書

在留先の国の日本大使館か領事館で取得できますが、取得に日数がかかるので早めに準備しておきましょう。

相続財産管理人が不動産売却をする場合

相続人がいない不動産を売却する場合は、相続債権者などにより相続財産管理人選任の申立てが行われます。

相続財産管理人による不動産売却時には、以下の書類が追加で必要になります。

  • 相続財産管理人の選任審判書(家庭裁判所が3ヶ月以内に発行したもの)
  • 相続財産管理人個人の印鑑証明書(市区町村が3ヶ月以内に発行したもの)
  • 相続財産管理人個人の実印
  • 家庭裁判所の不動産売却許可書

まとめ

不動産売却にはさまざまな書類が必要です。

普段使うことのない専門的な書類が多く、手元にそろえるだけでも手間や時間がかかります。
書類のチェックは早めに行うとともに、不動産売却の際は不動産会社の担当者に相談しながら準備をしましょう。

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